第四紀研究
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32 巻, 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • シンポジウムの趣旨と経過
    小池 一之, 籾倉 克幹, 陶野 郁雄, 遠藤 邦彦
    1993 年 32 巻 5 号 p. 245-247
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    The Japanese Islands located along northwestern rim of the Circum-Pacific orogenic zone have been suffered from several kinds of natural disasters. Therefore, the researches on the mechanism and the predictions of natural disasters are the serious problems for Japanese.
    The purpose of this symposium is to discuss the possibility of natural desaster predictions and of making the comprehensive hazard maps through the Quaternary studies.
    The main parts of the symposium were composed of 8 presentations. They are 2 papers related to earthquake disaster, 2 to volcanic eruption, 1 to disaster with slope failure, 1 to measures against river mitigatton, and 2 to hazard map. Besides these 8 papers, 7 comments were also presented during the symposium. This special issue is, therefore, composed of 15 papers. These papers will show us the present status of Japanese Quaternary studies concerning to the natural disaster prediction.
  • 寒川 旭
    1993 年 32 巻 5 号 p. 249-256
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    遺跡の地震跡を用いて古地震研究を行った場合, 次のような意義・研究上の利点が考えられる. (1)遺構・遺物との前後関係から, 地震跡の年代がわかる. (2)年代の判明した地震跡は地震の予知に役立つ. (3)遺跡内で液状化跡などの地盤の変動跡をくわしく観察できる. (4)年代の判明した地震跡は考古学上の時代尺度となる. (5)歴史・考古学上の謎のいくつかを地震跡を用いて解明できる.
  • 社本 康広
    1993 年 32 巻 5 号 p. 257-261
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 第四紀研究の役割
    松田 時彦
    1993 年 32 巻 5 号 p. 263-266
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    災害の軽減のために地震の予知・予測が, 各専門分野から行なわれている. その一つとして, 第四紀の地層・地形学的方法で全国の活断層が調査されてきた. 地震予測に役立つ活断層の4つの性質をあげ, それによる予測の実例を紹介する.
  • 岩崎 好規, 諏訪 靖二, 山本 浩二
    1993 年 32 巻 5 号 p. 267-269
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 上杉 陽
    1993 年 32 巻 5 号 p. 271-282
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    テフラ層序学的データを主たる根拠として, 経験論的~帰納法的に富士火山の次期噴火を推理した. (1)1707年, 宝永大噴火以降の287年という活動静穏期・休止期は姶良丹沢火山灰(AT)降下以降の平均大噴火間隔270年をすでに超えている. 次期噴火は大規模であろう. (2)新富士火山のテフラ噴火間隔は, 山頂火口が詰まったとされる約2,200年前以降は延びる傾向にある. 次期噴火までの間隔が287年以上になっても異常ではない. (3)3,100年前以降は北西部と南東部が交互に側火山噴火の主噴火域となってきた. 次期噴火は北西側が主噴火域であろう. (4)富士火山の噴火は, 東海~南海大地震, 伊豆半島を南北に縦断する平山断層~北伊豆断層系での地震発生, 伊豆諸島北部の諸火山・箱根火山中央火口丘群の噴火と関係が深く, それらの監視は有益である.
  • 藤井 敏嗣
    1993 年 32 巻 5 号 p. 283-284
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 町田 洋
    1993 年 32 巻 5 号 p. 285-287
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 籾倉 克幹
    1993 年 32 巻 5 号 p. 289-295
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 西垣 好彦
    1993 年 32 巻 5 号 p. 297-304
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    斜面崩壊と斜面災害の違いについて述べ, 斜面災害の誘因が何にあり, その特徴はどこにあるかについて述べた. そして, 斜面災害の典型的な例として道路切土のり面の崩壊を, 斜面災害の周期性の例として岩盤崩壊を紹介し, その周期性の特徴について考察した. また, 斜面災害と第四紀研究のかかわりについて論じ, 第四紀の研究が斜面災害を減ずることにどのように機能すべきかについて論じた. 結論として, 人類の利便性追求が現状のままでは斜面災害の増加を招き, その工事費は莫大となることから, 新しい視点に立った人類と自然との調和を模索することについて述べた.
  • 福岡 捷二
    1993 年 32 巻 5 号 p. 305-307
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 清水 惠助
    1993 年 32 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    陸域と海域 (水域) の境界地帯に立地する臨海部は, 高潮等の自然の猛威を受けやすく, また軟弱地盤地帯に位置し, さらにその軟弱地盤の上には広大な埋立地が分布しているために, 災害の上からはきわめて不利な環境にある. 臨海部における災害の原因のうち, 異常な自然現象としては, 地震 (地震動・液状化等) と台風 (高潮・高波等) があり, 人為的な原因 (人工改変) としては, 地下水揚水・埋立造成・浚渫等による諸影響がある.
    東京港付近の軟弱地盤を構成する沖積層の下には, 最終氷期までに形成された埋没地形が分布しており, 軟弱地盤の地盤評価をさらに複雑に規定している. また, その軟弱地盤上に造成された埋立地は, 地盤特性からも地震時に液状化しやすい条件を備えている上に, 埋立造成そのものによっても, 地盤域・水域・空域の各環境にさまざまな影響を及ぼすため, 防災や環境回復のためには十分な対策が不可欠となる.
  • 新藤 静夫
    1993 年 32 巻 5 号 p. 315-322
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    本文は斜面地中水の集中流の機構に関して, 水文地形学および災害科学の立場から論じたものである. 集中流のタイプには, その発生因からみて次のようなものがある.
    1. 地形支配型集中流: 1-1. 谷頭凹地に発生するもの, 1-2. 斜面末端部に発生するもの.
    2. 地質支配型集中流: 2-1. 風化帯または運積土層下部に発生するもの, 2-2. 透水性の異なる地層の境界に発生するもの.
    3. 複合型集中流: 上記の要因が複合したもの.
    筆者は, 上記各種の集中流の例を紹介し, これらが斜面の発達とどのように関係しているかについて論じた. また, 地中流に関する野外実験の結果を紹介した, 実験によれば, 降雨流出の繰り返しとともに, 地中水の流出率が増加し, またピーク流量にいたる時間が短縮することが示された. これは溶流, あるいは浮流として斜面物質が排出して, パイプなどの大間隙が発達したことを意味する. このような過程は“斜面の疲労”としてとらえることができ, 斜面の不安定性を評価する上で重要である.
  • 松島 信幸, 村松 武
    1993 年 32 巻 5 号 p. 323-327
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1961 (昭和36) 年の6月末, 伊那谷を襲った梅雨前線の活動に伴う集中豪雨は史上稀な大災害となった.「サブロクサイ」と呼ばれ, 毎年6月には「三六災害」を教訓として郡市町村や県・建設省などの連携による広域的な防災行事が実施されている. 1991年は「三六災害」の30周年にあたり, 関係諸機関を中心に大々的な防災行事が行われた. 伊那谷自然友の会と飯田市美術博物館では, ガイドブック『伊那谷の土石流と満水』の発行と, 企画展示「伊那谷の災害-自然の猛威-」を開催し, 行政機関とは異なった立場から, 伊那谷特有の土石流災害の見なおしと, 災害に対しての科学的な認識, 今後の災害予測への理解や心構えなどについて郡市民への普及活動を実施した. そこで, この成果を中心に, (1)三六災害の概要, (2)伊那谷の土砂災害の実態, 特に, 土石流災害の再認識, (3)どうして伊那谷に土石流災害がおきやすいか, (4)災害・活断層図の作成, (5)災害現場へのガイドブックの作成, (6)土石流災害の予測への提言などについて紹介する.
  • 松島 義章, 渋谷 孝, 川島 祐
    1993 年 32 巻 5 号 p. 329-337
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    神奈川県が作成した自然災害回避図 (アボイドマップ) は, 県下における自然災害が過去にどのようなところで発生したか, どのようなところで起こりやすいかといった既存の資料を収集整理したもので, 各市町村ごとに縮尺1万分の1のカラー地図と解説書で構成される. その内容は (1) 過去の被害区域 (浸水, 崖崩れ, 土石流), (2) 法指定危険区域 (急傾斜地崩壊危険区域, 地すべり防止区域, 砂防指定地, 宅地造成工事規制区域), (3) 土砂災害予想危険箇所 (斜面崩壊, 地すべり, 土石流), (4) 地震被害想定区域 (液状化, 津波) の自然災害情報をのせてある. これらの情報を理解してもらい, 自然災害による被害の未然防止や軽減をめざしたものである. さらに, 新アボイドマップは, 浸水予想や土砂災害について危険度ランクなどの予測評価を表示したものである. 調査は (1) 河川氾濫, (2) 高潮, (3) 崩壊, (4) 土石流の項目について行っている. これらの情報をもとに, 安全な土地利用を誘導するためにつくられた.
  • 陶野 郁雄
    1993 年 32 巻 5 号 p. 339-352
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    地震災害・火山災害などの単独で取り扱える災害でも, その規模が大きくなるに従って, 個別の取り扱いでは不十分となり, 総合的に考えていく視点が必要となる.
    一つの災害事象が別の災害事象の発生誘因となって災害が拡大していく場合, 一次災害の拡大要因となる場合, 複数の災害事象が同時に発生する場合, 一つの災害事象から二次災害・三次炎害へと発展する場合などを総称して「複合災害」と呼んでいるが, これらの事例を整理することは総合的な災害予測を考えるために重要である.
    別の災害の発生誘因となる場合として, 火山活動に伴う地震災害, 火山活動に伴う津波災害, 地震による地盤沈下, 人工的な原因による誘発地震, 海面上昇による相対的な地盤沈下などがある. 一次災害の拡大要因となる場合として, 降雨後の地震災害, 地震後の降雨災害, 地盤沈下地域の降雨災害, 地盤沈下地域の地震災害, 地震による火山性堆積層の崩壊, 降雨による火山性堆積層の崩壊, 流氷による津波災害, 火山活動による泥流災害, 火山火災, 湖岸・海岸・海底での噴火災害などがある. 二次災害・三次災害へと発展していく場合として, 地震火災, 地震水害, 火山噴出物の上層大気への注入, 火山泥流・土石流, 火山灰・火山ガスの影響, 火山活動の地下水への影響などがある.
    また, 積雪・凍結時の地震あるいは地震火災中の降雨のように, 複数の災害事象が同時に発生したため, 災害が低減される場合もある.
    このような複合災害の事例を考慮し, 総合的な災害予測図を作成する際の取り入れ方を考察し, 作成手法の一案を示した.
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