症例は20歳女性で,健診にて貧血を指摘され当科受診。現症では貧血,軽度の脾腫あり。末梢血は,WBC 5,200/μ
l, Plt 24.9万/μ
l, RBC 474万/μ
l, Hb 9.4 g/d
l, Ht 29.3%, MCV 61.7 fl, MCH 19.9 pg, 網赤血球2.4%と小球性・低色素性貧血があり,赤血球は大小不同が著明で奇形赤血球および標的赤血球を認めた。骨髄は赤血球系の過形成像を呈し,生化学検査では,血清鉄,フェリチンは正常内,ハプトグロビン10 mg/d
l以下,間接ビリルビン0.9 mg/d
lと軽度上昇。ヘモグロビン分画は,HbA2 6.5%, HbF 7.5%。以上よりβサラセミアを疑い,single strand conformation polymorphism (SSCP), amplification refractory mutation system (ARMS)による遺伝子分析で,β
+サラセミア ホモ接合体,-31 A→G変異と診断した。家系調査の結果,両親とも同一変異のヘテロ接合体と判明した。本邦における同変異のホモ接合体は本例が8例目であり報告した。
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