臨床血液
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35 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
臨床研究
  • 高崎 智子, 大塚 輝久, 権藤 久司, 嘉村 巧, 野本 摩利, 甲斐田 真弓, 下田 和哉, 高松 泰, 豊嶋 崇徳, 中村 稔, 岡村 ...
    1994 年 35 巻 12 号 p. 1349-1354
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    骨髄壊死を合併した急性白血病の2症例において,骨髄壊死の回復前後で骨髄MRI像を比較した。症例1は24歳女性。胸骨痛,腰痛,出血傾向を主訴に入院。骨髄はdry tapで,末梢血液像よりAML, 骨髄生検にて骨髄壊死と診断された。椎体のMRI, T1強調画像は低信号を示していた。寛解後の骨髄生検像は脂肪髄を示し,MRIは脂肪髄に典型的な高信号に変化した。症例2は19歳女性。胸背部痛,腰痛を主訴に入院。骨髄像よりALLと診断された。寛解導入療法中にDICを併発し,骨髄クロット標本にて骨髄壊死と診断された。椎体のMRI, T1強調画像では地図状の低信号域と高信号域を認めた。寛解後の骨髄クロット標本は脂肪髄を示し,MRIは低信号域が高信号に変化した。2症例の骨髄およびMRI所見より,一度壊死した骨髄は,脂肪髄化すると共に造血能が回復していくと考えられた。また,MRIは骨髄状態の検索に有用な画像診断法と考えられた。
症例
  • 千代田 晨, 森川 利則, 高原 耕
    1994 年 35 巻 12 号 p. 1355-1360
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は49歳,男性。頸部腫瘤および白血球増多にて,1989年5月入院。患者は2年前より白血球増多を指摘されていた。末梢血液は好中球アルカリフォスファターゼ低値,好酸球増多,未熟顆粒球をともなう白血球増多を示した。骨髄所見は巨核球が目立つほか異常を認めず。染色体分析では46, XY, t(12:13)(p13:q12)の核型のものがほとんどで,Ph1染色体やBCRの再構成は認めなかった。リンパ節に浸潤した細胞はリンパ球の形質を有せず,骨髄のclot sectionで認められた像と同じ所見であった。腫瘤形成をともなう慢性骨髄増殖性疾患と診断し,多剤併用による化学療法を行った。腫瘤消失および血液学的寛解は得られたが,細胞遺伝学的寛解には至らず,再度,全身のリンパ節腫大をきたし,1990年4月死亡。腫瘤形成を有する例にt(12:13)(p13:q12)が特徴的か否かはさらに多数例の検討が必要であると思われる。
  • —骨髄腫細胞の表面抗原解析およびその増殖におけるIL-6の関与について—
    辰巳 哲也, 岡田 雅邦, 米田 祐介, 槇 系, 浦 恭章, 澤田 克徳, 日野 良俊, 後藤 秀夫, 藤田 直久, 島崎 千尋, 中川 ...
    1994 年 35 巻 12 号 p. 1361-1365
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    患者は76歳の女性。平成元年10月頭部,背部の形質細胞腫にて発症したIgG・λ型・StageIIAの多発性骨髄腫(MM)。MCNUおよびMP療法により寛解を維持していたが,平成3年1月より腹水貯留のため入院。腹水は滲出性で多数の骨髄腫細胞を認め,VAD療法を施行したが無効で,2月23日死亡した。同細胞の表面抗原解析は形質細胞関連抗原であるCD38, PCA-1, BL 3以外にCD33, CD45, CD45RA, CD63, CD71陽性。接着分子ではCD11a/CD18 (LFA-1)やCD29 (VLA-β1), CD44 (H-CAM), CD49d (VLA-4), CD54 (ICAM-1), CD56 (N-CAM), CD58 (LFA-3)が陽性であった。腹水中のIL-6値は91.0 pg/mlと高値で,腫瘍細胞はin vitroでIL-6に増殖反応を示し,抗IL-6抗体,抗IL-6受容体抗体で増殖が抑制された。MMで腹水中に腫瘍細胞が出現することはまれである。本症例はIL-6がオートクライン機構により骨髄腫増殖因子として作用し,急激な経過をとった興味深い症例と思われた。
  • 林 国樹, 佐藤 雅志, 村上 純子, 土屋 達行, 中野 栄二, 河野 均也, 佐藤 幸裕, 村上 哲雄
    1994 年 35 巻 12 号 p. 1366-1370
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は35歳女性,糖尿病性網膜症の治療目的にて入院。術前の血液一般検査にて顆粒球,単球,リンパ球の細胞質に多数の空胞を認めた。空胞はPAS染色,ペルオキシダーゼ染色,アルカリフォスファターゼ染色で染色されず,Sudan IIIによる超生体染色で赤褐色に染まり,脂質沈着が考えられた。電子顕微鏡所見で空胞は,辺縁やや不正な無構造物として認められ細胞内構造物ではないと思われた。血液生化学検査では,軽度の高脂血症(IIa), 画像診断上は,脂肪肝を認めたが,ほかに明らかな臓器障害を示唆する所見はなかった。発端者の姉と娘に同様の血液形態異常を認め,Jordans' anomalyと考えられた。
  • 原田 芳巳, 栗谷川 紅子, 岡田 潔, 代田 常道, 伊藤 久雄
    1994 年 35 巻 12 号 p. 1371-1377
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は42歳,男性。鼻出血を主訴に当院入院。入院時神経学的に異常なし。急性リンパ性白血病(ALL) (L1)との診断で,修正L-10Mプロトコール開始。地固め療法中,骨髄は寛解状態であったが,左顔面神経麻痺が出現し,4日後には両側性となった。その後,左動眼・外転神経麻痺が出現し,同時に両眼底に乳頭浮腫,白斑,出血,Roth斑を認め,前房中に白血病細胞も認めた。髄注を含む化学療法と全脳照射にてこれらの症状は軽快,再燃を繰り返していた。7カ月後,前房蓄膿と続発性緑内障を併発し,線維柱帯切除術を施行。骨髄でも芽球の増加がみられ,各種化学療法を施行したが無効で,肺炎のため死亡した。本症例は骨髄は寛解状態であり,中枢神経系(CNS)白血病に対し髄注などの継続的予防および放射線療法が行われたにもかかわらず,白血病細胞のCNSおよび網膜・ぶどう膜への浸潤がみられ,多彩な脳神経症状・眼症状を呈したと考えられる。
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