臨床血液
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55 巻, 5 号
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Picture in Clinical Hematology
第75回日本血液学会学術集会
シンポジウム5
シンポジウム10
臨床研究
  • 森 鉄也, 深野 玲司, 齋藤 明子, 瀧本 哲也, 関水 匡大, 中澤 温子, 鶴澤 正仁, 小林 良二, 堀部 敬三, 日本小児白血病リ ...
    2014 年 55 巻 5 号 p. 526-533
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    欧州と日本の共同研究によるALCL99-R1は,小児未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma, ALCL)を対象とした最大規模の国際臨床試験である。試験治療の国内における有効性と安全性を示すことを目的として,国内登録例の集計を行い国際臨床試験の結果と比較した。国際臨床試験登録352例,国内登録44例の臨床的特徴は類似し,観察期間中央値,2年無イベント生存率,生存率はそれぞれ,3.8年,74%, 93%, および3.5年,81%, 96%であった。メトトレキサートの投与量・時間,および髄注の有無による無イベント生存率,化学療法コース毎の毒性発症割合を比較した無作為割付け試験の結果は,国内登録,国際臨床試験で同様であった。小児ALCLに対する標準治療に位置づけられるALCL99-R1の,国内における有効性と安全性は国際臨床試験の結果と同様と考えられた。国際臨床試験は頻度の低い小児リンパ腫に対する治療開発に貢献する方法と考えられる。
  • 宮村 耕一, 岡本 真一郎, 薄井 紀子, 日野 雅之, 赤司 浩一, 中世古 知昭, 高橋 直人, 中谷 中, 高橋 啓太, 登 勉, 直 ...
    2014 年 55 巻 5 号 p. 534-540
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    RT-qPCRを測定原理とし,キット内に包含されたWHO国際標準品に基づくキャリブレーターを用いて国際標準値(International Scale, IS)へ変換を行うMajor BCR-ABL mRNA/ABL mRNA比測定キット(M135R)の多施設臨床性能評価を実施した。その結果,M135RとConversion Factorを用いてISへ変換するHome-brew法との間には良好な相関関係が得られたが(r=0.90 (n=115)), M135RとAmp-CML法との間の相関係数はr=0.56 (n=108)であった。また,同一検体を対象に2施設で測定されたM135RのIS間の相関係数は極めて良好であり(r=0.94 (n=115)), ISとして1.0%以下の検体を抽出した解析においても,その関係は維持されていることが示された(r=0.98)。以上から,M135Rは安定して国際標準値に換算された結果を与えるとともに,測定感度も高く,施設間差の少ない結果を与える測定系であることが示された。本キットはCML患者の治療効果判定や再発の兆候を見出す上で,有用な検査ツールとなることが期待される。
症例報告
  • 桐原 健彦, 藤川 祐子, 武田 航, 栗原 太郎, 佐藤 慶二郎, 植木 俊充, 廣島 由紀, 住 昌彦, 上野 真由美, 市川 直明, ...
    2014 年 55 巻 5 号 p. 541-545
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    34歳男性。飛蚊症にて近医眼科を受診し,両側眼底出血および白血球増多を指摘された。当科紹介受診し,末梢血・骨髄で各成熟段階の白血球増多およびフィブリノゲン(fibrinogen, Fbg)低値を認めた。染色体・遺伝子検査にて慢性骨髄性白血病と確定診断し,nilotinibで治療を開始した。経過中,凝固異常は認められなかったがFbgは常に低値であった。Fbg抗原量は基準範囲であったが活性が低下していたため,Fbg異常症と診断した。遺伝子検査にてγ308AAT→AAGのヘテロ置換が同定された。同様の変異は患者の母親でも認められた。本症例のように無症状であれば日常生活において出血のリスクは低いと考えられるため治療の必要はないが,大手術や出血を伴う外傷時などには補充療法を必要とすることがある。原因不明のFbg低値の鑑別としてFbg異常症・欠損症を考慮し,必要に応じて精査する必要があると思われる。
  • 吉村 卓朗, 中根 孝彦, 亀崎 豊実, 稲葉 晃子, 西本 光孝, 向井 悟, 坂部 真奈美, 大澤 政彦, 藤野 惠三, 康 秀男, 中 ...
    2014 年 55 巻 5 号 p. 546-551
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は65歳女性,1992年5月にクームス試験陽性自己免疫性溶血性貧血と赤芽球癆の合併と診断された。その後赤芽球癆は改善したが,新たに血小板減少を認め,骨髄検査にて特発性血小板減少性紫斑病の合併と考えられ,Evans症候群と診断された。Prednisoloneおよびazathioprineを投与し軽快,以後約20年に渡り投薬を漸減しつつ寛解増悪を繰り返していた。2012年10月,溶血発作の再増悪とB症状及びリンパ節腫脹が出現した。リンパ節生検の結果DLBCLと診断された。一方クームス試験は陰性,精査にてクームス陰性自己免疫性溶血性貧血も否定的であり,リンパ腫に関連した他の原因による溶血の可能性が疑われた。CHOP療法を施行したところ,溶血およびB症状は改善し,リンパ節病変も縮小を認めた。Evans症候群後DLBCLの発症の報告は稀であり,示唆に富む症例と考えられ,今回報告する。
  • 西本 光孝, 康 秀男, 備後 真登, 吉田 全宏, 南野 智, 林 良樹, 中根 孝彦, 中前 博久, 下野 太郎, 日野 雅之
    2014 年 55 巻 5 号 p. 552-557
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は18歳男性。急性白血病に対して,大量シタラビンによる3回目の地固め療法を開始した。Day 15に発熱性好中球減少症を発症,翌日には敗血症性ショックによる急性呼吸窮迫症候群を合併し,抗菌薬に加えステロイドパルス療法を施行した。Day 22には薬剤性急性腎不全に対し人工透析を単回施行した。Day 24にステロイドが誘因と考えられる急性膵炎を発症,翌日に突然の痙攣発作を認め,人工呼吸管理となった。髄液検査は正常。頭部MRI検査で両側頭頂後頭葉にT2強調画像,FLAIR像で高信号病変を認め,みかけの拡散係数値の上昇から血管性浮腫を疑い,可逆性後頭葉白質脳症(PRES, posterior reversible encephalopathy syndrome)と診断した。痙攣,血圧ならびに体液量管理により改善を認め,day 49に軽快退院となった。高血圧やカルシニューリン阻害薬によるPRES以外に,報告は極めて稀であるが,急性膵炎後の発症も念頭に置いておく必要がある。
  • 竹村 兼成, 深津 有佑, 永田 泰之, 朝比奈 彩, 横田 大輔, 平野 功, 柳生 友浩, 小野 孝明, 勝見 章, 大西 一功
    2014 年 55 巻 5 号 p. 558-562
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    68歳女性。2007年,多発性骨髄腫(IgA-κ型,Bence Jones蛋白-κ型)及び全身性ALアミロイドーシスと診断。VAD療法3コース,自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行され,部分寛解となり,以後,病勢の進行を認めなかった。2011年12月から,PT 17.6秒と延長を認めた。2012年1月,直腸癌を併発し,外科で低位前方切除術及び人工肛門造設術を施行。術中に新鮮凍結血漿輸注を施行したが,周術期の出血傾向を認めた。2012年2月,人工肛門閉鎖術を施行するにあたり,出血傾向の原因精査を依頼された。クロスミキシング試験では,PTで凝固因子欠乏パターンを示し,第X因子活性が低下していたことから,後天性第X因子欠乏症と診断した。FFP 10単位を輸注し,人工肛門閉鎖術を終了した。多発性骨髄腫に合併した後天性第X因子欠乏症の発症は稀であるため,文献的考察を加えて報告する。
  • 宮澤 悠里, 田原 研一, 杠 明憲, 三原 正大, 外山 耕太郎, 横濱 章彦, 半田 寛, 神保 貴宏
    2014 年 55 巻 5 号 p. 563-569
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は40歳男性。2010年10月にランゲルハンス細胞組織球症と診断された。化学療法が無効であり,2011年5月にランゲルハンス細胞肉腫へ進行した。多剤併用化学療法を繰り返したが抵抗性で,初発病変である骨,リンパ節,皮膚に加え,肝,骨髄病変が出現した。治療中にカンジタ肝膿瘍,肺アスペルギルス症,敗血症などの重篤な感染症を発症した。2013年1月からbendamustine療法を施行し,部分寛解(PR)となった。治療中に重篤な副作用を認めなかった。2コース施行後,二次性骨髄異形成症候群を発症し,血球減少のためbendamustine療法を中断したが,4か月間PRを維持した。血縁ドナーが得られたため,現在同種造血幹細胞移植を予定している。本疾患は稀であり,標準療法は確立されていない。副作用が少なく,有効性が得られるbendamustine療法は,本疾患の治療として考慮されうるものと考えられた。
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