同種末梢血幹細胞移植(Allo-PBSCT)が骨髄移植(BMT)に代わりうる方法として行なわれている。われわれはgranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF)に対する動員不足(poor mobilization)の症例について検討した。16例の患者が骨髄破壊的治療後に血縁ドナーから移植を受けた。患者は平均年齢34歳(範囲6∼61歳)で,9例がstandard riskで7例がhigh riskだった。ドナーの平均年齢は37歳(範囲15∼68歳)であった。ドナーは10 μg/kg/day, 4∼6日間のG-CSFの皮下注射を受けた。1∼3回のアフェレーシスで末梢血幹細胞が集められ直ちに輸注された。患者は全員移植後G-CSFの投与を受けた。15例がAllo-PBSCTを受け,1例がAllo-PBSCT+BMTを受けた。Allo-PBSCTを受けた15例のCD34陽性細胞数は平均6.32×10
6/kg(範囲1.28∼14.20)だった。生着の結果を同じ治療を受けた9例のAllo-BMTと比較したところ,好中球500/μ
l以上,血小板20,000/μ
l以上の中央値は,Allo-PBSCT群はそれぞれ14日(範囲10∼17日)と15日(範囲11∼50日),Allo-BMT群ではそれぞれ17日(範囲13∼29日)と20日(範囲16∼160日)であった(p=0.0177, p=0.003)。3人のドナーがCD34陽性細胞が2×10
6/kg以下のpoor mobilization例と考えられた。3人のうち2人はCD 34陽性細胞が3回のアフェレーシスで1.28と1.78×10
6/kgだった。これらの患者の好中球の生着は速かったが,1例は血小板の生着が遅れ,1例は血小板が20,000/μ
l以上に達する前にgrade IVの急性GVHDで死亡した。残り1例はCD 34陽性細胞が0.17×10
6/kgのpoor mobilizationのために骨髄の追加採取が必要だった。Allo-PBSCTはより早い生着をもたらすが,完全生着のための最小CD 34陽性細胞数がさらなる規模の研究で明らかにされる必要がある。
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