副腎原発悪性リンパ腫は, 両側性やdiffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) が多く, 副腎機能不全の併発が特徴である。われわれは, 集学的治療が有効であった副腎原発悪性リンパ腫の1例を経験した。症例は62歳, 男性。腰背部痛を主訴に受診となり, 腹部CT検査で両側性の巨大副腎腫瘤を認め, 超音波ガイド下の左副腎生検にてDLBCLと診断した。放射線照射併用rituximab-CHOP療法後に, 左副腎摘出と自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行ったところ完全寛解に至り, 診断後2年を経た現在まで再発を認めていない。一般に副腎原発悪性リンパ腫の化学療法に対する反応性は乏しく, 予後は極めて不良である。B細胞性の限局期副腎原発悪性リンパ腫に対し, 初回治療として放射線療法, 抗体療法, 化学療法併用の有効性が示唆された。
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