臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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64 巻, 12 号
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Picture in Clinical Hematology
症例報告
  • 内海 紗江, 島 隆宏, 久原 千愛, 仙波 雄一郎, 林 正康, 瀧川 健, 吉野 明久, 南 満理子, 松尾 弥生, 栗山 拓郎, 赤司 ...
    2023 年 64 巻 12 号 p. 1503-1507
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル 認証あり

    27歳女性。汎血球減少を認め入院,骨髄検査でmyeloperoxidase陽性芽球を52.2%認め急性骨髄性白血病と診断した。白血病キメラスクリーニング検査でCBFB::MYH11を含むキメラ遺伝子は検出されなかったがG-band法による染色体分析でinv(16)(p13.1q22)を認め,fluorescence in situ hybridization(FISH)検査でCBFBのsplit signalを認めた。PCRプライマーを変更しキメラスクリーニングの再検討を行いCBFB::MYH11が検出された。RNA-sequencingによる融合遺伝子検索にて稀なtype I CBFB::MYH11が同定された。本症例はキメラスクリーニングで陰性になりうるCBFB::MYH11の一亜型が存在することを示し,その検索にPCRプライマーの変更やFISH検査,RNA-sequencingが有用であることを示す貴重な症例である。

  • 角野 萌, 惣宇利 正善, 下村 壮司, 黒田 芳明, 宗正 昌三, 尾崎 司, 一瀬 白帝
    2023 年 64 巻 12 号 p. 1508-1513
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル 認証あり

    症例は88歳男性。意識消失を伴う高度な貧血と胸背部の広範囲な皮下出血および大胸筋出血で緊急入院した。凝固スクリーニング検査で凝固第XIII/13因子(FXIII)の軽度低下を認めた。その後もショックを伴う消化管出血や筋肉内出血を繰り返したため,FXIIIの輸注試験を行ったところ,FXIIIに対するインヒビターの存在が示唆された。酵素免疫法でAサブユニット対する自己抗体は検出されなかったが,フィブリン架橋の交差混合試験でα鎖の多量体化およびフィブリンへのα2-プラスミンインヒビターの取り込み阻害が確認された。またトロンビンで活性化したFXIIIに反応するIgG抗体が検出されたため,活性化したAサブユニットの触媒作用を阻害するいわゆるAb型抗FXIII-Aサブユニット自己抗体と判断した。軽度のFXIII活性の低下であっても本症例のような重篤な出血性後天性凝固第13因子欠乏症が存在することを念頭におく必要がある。

  • 工藤 大輔, 鈴木 大志, 阿部 尚美, 平井 理泉, 谷村 聡, 竹下 昌孝, 三輪 哲義
    2023 年 64 巻 12 号 p. 1514-1518
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル 認証あり

    症例は50歳女性。慢性骨髄性白血病に対しnilotinibで初回治療中,約2年後に頭痛,視力障害,意識障害,著明な高血圧が認められた。可逆性後部白質脳症症候群(posterior reversible encephalopathy syndrome, PRES)と診断され,nilotinibによる血管系有害事象が強く疑われた。人工呼吸器管理を要したが,nilotinibの中止と血圧コントロールで速やかに軽快した。PRESは高血圧などを契機として中枢神経領域の血管内皮障害から脳血液関門障害をきたし血管性浮腫を生じることで発症すると考えられており,一部のチロシンキナーゼ阻害薬で報告されているが,nilotinibによる報告は検索の範囲で認められず,報告する。

第83回日本血液学会学術集会
  • 奥田 瑠璃花
    2023 年 64 巻 12 号 p. 1519-1522
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/12
    ジャーナル 認証あり

    der(1;7)(q10;p10)は,DNA複製時に生じる1番染色体と7番染色体の不均衡転座である。初めてder(1;7)(q10;p10)が血液疾患で報告されたのは1980年と40年以上も前であり,3症例の骨髄繊維症(myelofibrosis)と骨髄化生(myeloid metaplasia)において同定された。現在では,この不均衡転座は骨髄異形成症候群でしばしば認められる特徴的な異常の一つであることが明らかになっている。近年になって,der(1;7)(q10;p10)陽性の骨髄異形成症候群症例は,−7/del(7q)陽性症例と比較して予後良好であり,遺伝子プロファイルも特徴的であることが示されている。本稿では,我々の最新の研究の知見も踏まえながら,der(1;7)(q10;p10)陽性の骨髄異形成症候群の臨床的・遺伝学的特徴について論じる。

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