症例は68歳男性。左頸部リンパ節腫脹に対する生検にてT細胞性リンパ腫と診断され当科紹介受診となった。初回入院後,末梢血中にリンパ球様異型細胞が出現,急速な増加傾向であり,末梢血細胞表面マーカー解析を施行したところ,CD7(+), cCD3(+), CD56(+), CD33(+), CD34(+), HLA-DR(+)とT細胞系のみならず,骨髄球系やNK細胞系マーカーを発現していることが判明した。その後,診断時のリンパ節生検及び骨髄生検検体を用いて免疫組織学的解析を追加し再検討した結果,骨髄/NK前駆細胞性急性白血病と確定診断された。この病型はNK細胞系腫瘍としては最も未分化段階に由来し,またAML M0の範疇にも属するとされているが,近年独立した疾患概念として注目されてきている。今回我々は細胞表面マーカー解析により,この稀な疾患の診断に至った経緯や臨床的特徴や経過等を文献的考察を踏まえ報告する。
抄録全体を表示