臨床血液
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50 巻, 3 号
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Picture in Clinical Hematology No.35
特集:骨髄系腫瘍—新WHO分類(第4版)はどのように変わったか—
第70回日本血液学会総会
シンポジウム1
症例報告
  • 渡邉 健, 新井 文子, 高瀬 博, 高橋 任美, 岩永 洋一, 菅本 良治, 杉田 直, 望月 學, 三浦 修
    2009 年 50 巻 3 号 p. 182-186
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/07
    ジャーナル 認証あり
    症例は57歳男性。霧視出現後約5か月で当院を紹介された。右硝子体混濁と網膜の増殖性病変を認め,硝子体液細胞診はClass IIであったがIgH再構成とIL-10/IL-6比の高値を認め全身検索で他部位に病変は認めず原発性眼内リンパ腫(PIOL)と診断した。硝子体へのMethotrexate (MTX)局所注入療法(局注)が著効した。治療開始2か月後,左眼に病変が出現,硝子体液細胞診でClass Vの大型異型リンパ球を認めた。左眼病変もMTX局注で軽快した。しかし2か月後,眼病変出現から10か月後,左前頭葉腫瘍が出現,生検でdiffuse large B-cell lymphomaと診断,MTX大量療法を施行したが進行し全経過約1年8か月で死亡した。PIOLの病理診断は困難であるが本例は比較的早期に診断し得,MTX局注が眼病変に著効した。しかし局注のみでは不十分と考えられ今後適切な治療法の開発が必須である。
  • 村上 雄一, 山之内 純, 東 太地, 池田 祐一, 成見 弘, 藤原 弘, 薬師神 芳洋, 羽藤 高明, 安川 正貴
    2009 年 50 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/07
    ジャーナル 認証あり
    症例は66歳,女性。2007年5月,右鎖骨部腫瘤が出現。6月,腫瘤が増大したため入院した。同部位より生検を施行し,CD20陽性diffuse large B cell lymphomaの診断が得られた。病期診断のために行ったGaシンチグラフィーで右鎖骨,右大腿骨,右膝関節,右足関節,左下腿に異常集積が認められた。しかし,単純X線及びCTでは明らかな異常所見を認めなかった。一方,MRIでは右大腿骨にT1強調画像で低信号域,T2強調画像で低信号域の中に一部高信号域を示し,同部位にも病変があることが示唆された。CHOP療法を開始し,速やかに鎖骨部腫瘤は縮小した。開始後7日目にリツキシマブを投与した。その深夜,トイレから立ち上がった際に左脛骨,腓骨遠位部および右大腿骨転子部を骨折した。両部位ともにGaシンチグラフィーで異常集積があり,病的骨折が考えられた。骨原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,その治療中に病的骨折をおこすという特異な経過であり,報告する。
  • 斉藤 誠, 盛 暁生, 入江 達朗, 田中 雅則, 森岡 正信
    2009 年 50 巻 3 号 p. 192-196
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/07
    ジャーナル 認証あり
    11q23異常はDNA topoisomerase II阻害剤による治療関連急性骨髄性白血病(t-AML)においてしばしば認められる。また,paclitaxelは乳癌の化学療法におけるkey drugとしてすでに確立されているが,単剤でt-AMLを発症した報告はほとんどない。われわれはpaclitaxelによる乳癌治療後にその骨髄転移と共存して発症した,11q23異常を有するt-AMLの1例を経験したので報告する。症例は61歳,女性。54歳時に乳癌を発症し,切除4年後に肺転移と骨転移をきたしたためにpaclitaxel 80 mg/m2を毎週,計10クール投与され(総投与量1,200 mg),放射線治療が追加された。その後も骨転移は広がる一方,paclitaxelの投与から3年後に汎血球減少が出現した。骨髄検査により,t(11;19)(q23;p13)染色体異常を伴うAML-M4と診断し,また,病理組織学的には同一骨髄内に乳癌の骨髄転移が認められた。本症例は他に抗癌剤の使用歴はなく,臨床経過からpaclitaxel投与にともなうt-AMLと推測された。
  • 窪田 良次, 脇 正人
    2009 年 50 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/07
    ジャーナル 認証あり
    症例は61歳女性。1987年8月,本態性血小板血症と診断(45歳時)され,心筋梗塞の既往があるためbusulfanおよびranimustine投与が行われた(総投与量は,378 mgおよび700 mg)。2000年6月頃より,貧血の進行と末梢血中に数%の芽球を認めるようになった。骨髄生検にて骨髄線維症と診断し,蛋白同化ホルモンの治療を開始した。2003年2月,腹部膨満感を自覚するようになり,腹部CT検査にて径6 cmの傍大動脈リンパ節腫脹を認めた。リンパ節生検による免疫組織染色にて,CD20およびCD79a陽性であり,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断(臨床病期はstage I)。表面マーカーは,CD10+CD19+CD20+κ+であった。rituximab併用多剤併用化学療法と局所への放射線照射により57ヶ月間寛解を維持している。ET治療後に発症する二次性悪性リンパ腫は稀であり発症機序や臨床像の解明には症例の蓄積が必要である。
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