68歳女性。白血球減少にて当科紹介受診,白血球数800/μ
l, 好中球数22/μ
lと高度の白血球・好中球減少およびIgM-kappa型のM蛋白血症が認められた。白血球の90%以上が顆粒リンパ球で占められ,表面マーカーCD3+CD4-CD8+CD16+とTCR遺伝子の単クローン性再構成の結果からT細胞性顆粒リンパ球増多症(T-GLPD)と診断した。G-CSF製剤投与なし。13年間の経過観察中に病態の進行は認められず,また高度の好中球減少にもかかわらず,入院を必要とする重症感染症は1回だけ(肺炎)であった。
白血球減少症やM蛋白血症の原因としてGLPDを念頭に入れ,顆粒リンパ球増多や表面マーカー解析の結果に注意を払うことが必要と考えられた。また,海外では好中球減少を伴うT-GLPDは感染を繰り返し死因となることも多いとされるが,本邦では感染は非常に稀と言われており,無治療に拘らず長期に渡り重篤な感染を惹き起こさない例も存在することが示唆された。
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