日本小児外科学会雑誌

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目的 : 悪性腫瘍の増殖・転移には血管新生が不可欠であり, 血管新生を抑制することは悪性腫瘍の新しい治療法として注目されている.そこで4種類の血管新生抑制物質[TNP-470, FR 118487, thalidomide, platelet factor-4 (PF-4)]の神経芽腫に対する転移抑制効果をマウス神経芽腫細胞(C1300)を用いた肝転移モデルにおいて検討した.方法 : A/Jマウスの脾臓内にC1300細胞を1×10^6個移植して作製した肝転移モデルにおいてTNP-470を30 mg, 60 mg/kg/week, FR 118487を1.5 mg, 2.5 mg, 3.5 mg/kg/week, PL-4を100μg, 200μg, 300μg/kg/week腹腔内投与した.また, thalidomideは250 mg, 300 mg, 350 mg/week経口投与した.転移抑制効果は肝重量をt検定を用いて比較検討した.さらに同様の実験群において, 生存率をKaplan-Meier法で検討した.なお, 各群のnは10匹とした.結果 : TNP-470を30 mg, 60 mg/kg/week, FR 118487を2.5 mg, 3.5 mg/kg/week腹腔内投与した群では, 肝重量の平均±標準偏差が2.6±0.5 g, 0.8±0.1 g, 2.3±0.7 g, 0.9±0.3 gとなり, thalidomideを300 mg, 350 mg/week経口投与した群においては1.6±0.2 g, 1.4±0.3 gとなり, コントロールと比較して肝重量は有意に低値を示した.PF-4では肝重量に有意差を認めなかった.TNP-470およびFR 118487投与群では生存率にも有意差を認めた.結語 : マウス神経芽腫肝転移モデルにおいてTNP-470, FR 118487投与により肝転移が抑制され, 生存率の改善が認められた.

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著者は総排泄管異常症の治療において最も重要な問題の一つである, 排尿機能を重視した独特の分類を主張してきた.すなわち, 排尿機能の確立は膀胱頸部の括約筋機構に依存することが多く, そのためこの部位を中心にしてそれより上部すなわち膀胱内まで総排泄管の及ぶものを高位, それより下部のものを低位, 頸部付近のものを中間位と分類したものである.この分類は非常に単純で分かりやすいことを特徴とする.本文ではこの分類に沿って分類した自験例15例(高位例 : 6例, 中間位例 : 1例, 低位例 : 8例)においてその分類の妥当性を検討した.排尿機能, 腎機能に関しては高位例と低位例の間には明らかに差を認めた.排便機能, 生殖機能においてもある程度の差をみることができた.以上よりこの分類は総排泄管異常症の治療に際し有用な分類であると考えられる.

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気管切開された脳性麻痺の症例では, 舌咽神経障害による喉頭機能不全から唾液や食物を持続的に誤嚥し, そのために激しい咳嗽発作や気道感染を繰り返すことがある.このような症例に対し声帯側が盲端になっているTチューブを気管内に留置すれば, 誤嚥物の侵入を防ぐことができるのではないかと考えた.そのための特殊Tチューブを開発し, 10例に試み, 9例で咳嗽発作が減少し, 穏やかな呼吸状態が得られ, 家族も頻回に必要であった気管内吸引から開放された.この特殊Tチューブに関する形態の概要, 採寸方法, 挿入方法を中心に報告した.

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症例は7カ月の男児.3カ月時に肺炎で入院加療を行ったが, 肺野異常陰影が残存したため当科紹介となった.単純X線では右下肺野縦隔よりに約3 cmの淡い円形の陰影を認めた.胸部CTでは右肺S 9, 10に境界明瞭, 円形な陰影を認め内部に気管支様構造が確認できた.MRIでも同様の陰影が認められ, 造影上は異常血管を同定できなかったが, 先天性疾患を疑い開胸した.術中, 充実性の肺腫瘍を疑いS6, 9, 10の区域切除を行った.術後の病理組織診断は軟骨性肺過誤腫であった.小児の原発性良性肺腫瘍は非常にまれであり, 本邦報告例は自験例を含め10例認めるのみである.炎症性偽腫瘍が最も多く, 過誤腫が続く.小児原発性良性肺腫瘍は症例数が少なく自然経過は不明であるが, 炎症性偽腫瘍の肉腫様浸潤や過誤腫の悪性腫瘍との関連を考慮すると, 現時点では可及的切除が望ましく, 核出術や区域切除などの縮小術式が推奨される.

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