小児(2カ月, 男子)の下肢に発生した悪性黒色腫を疑わせる症例を経験したので報告した.小児の悪性黒色腫は非常に稀な疾患であり, わが国ではその報告をほとんど見ない.本例では, 臨床的に悪性化を疑わせるビラン, 出血などの変化が見られたため, 根治手術を行なった.組織検査においては悪性黒色腫という確定診断はできなかったが, 悪性化の疑をもたせる組織像が見られた.このような症例は, 悪性の頻度がまれなことを考えると, 臨床的に悪性化の疑いを持っても, 直ちに根治手術に踏み切ることが躊躇される.また病理学的にも, 若年性黒色腫(良性)との区別は必ずしも容易ではないため, 早朝の確定診断にもかなりの困難が伴う.このような症例についての外科的治療上の問題について考察を加えた.なお, 本論文の主旨は第11回日本小児外科学会総会において報告した.
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