日本小児外科学会雑誌
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49 巻, 6 号
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おしらせ
挨拶
プログラム
原著
  • 城田 千代栄
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1082-1086
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】創洗浄の手術部位感染(創感染)予防に対する有効性と埋没皮下縫合の安全性について検討した.
    【方法】2005 年から2011 年までに手術を行った15 歳以下の虫垂穿孔52 例に対し創洗浄を行い,創洗浄を行っていなかった2002 年から2004 年までの13 例と比較した.皮膚の縫合は全層結節縫合で行っていたが,創洗浄開始後は手術部位感染を起こさない症例が続いたため,2006年9 月からは埋没皮下縫合で閉創した.
    【結果】創洗浄を行った群の手術部位感染は2 例(3.8%)で,創洗浄を行わなかった群の4 例(31%)に対して有意に(P=0.0123)少なかった.創洗浄を行った52 例のうち全層結節縫合で閉創したのは15 例,埋没皮下縫合は37 例で,1 例ずつに手術部位感染が認められ有意差はなかった.
    【結論】創洗浄は,穿孔性虫垂炎の手術部位感染予防として有効であり,埋没皮下縫合での閉創は手術部位感染のリスクにはならないと思われた.
  • 堀池 正樹, 大野 耕一, 中村 哲郎, 東 孝, 中岡 達雄, 高間 勇一, 東尾 篤史
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1087-1090
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】小児がんの集学的治療では正確な病理診断が必須であり,腫瘍生検術後迅速に化学療法を開始する必要がある.そこで当科で行った悪性腫瘍生検術を後方視的に検討した.
    【方法】生検術を行った悪性疾患61 例(男/女:31/30,4.9±5.0 歳)を対象とした.疾患は神経芽腫25 例,悪性リンパ腫12 例,腎芽腫5 例,横紋筋肉腫5 例,肝芽腫1 例,その他13 例であった.手術時間,出血量,到達法,生検病巣,手術合併症,生検病理診断と最終病理診断の一致性,生検術から化学療法までの期間を検討した.
    【結果】手術時間は124±41 分,出血量は36±50 g であり1 例で輸血を要した.平均+SD 以上出血した8 例は腫瘍の脆弱性,複数個所の生検,長時間の剥離操作が出血の原因であった.到達法は開腹生検42 例,開胸生検2 例,体表リンパ節生検11 例,その他6 例であり,生検病巣は主病巣52 例,転移巣9 例であった.全例で手術合併症は認めなかった.生検術後に腫瘍摘出術を行った38 例では生検病理診断と最終病理診断は全て一致していた.生検術から化学療法までの期間は5.6±4.4 日であり,平均+SD 以上かかった症例は6 例であった.その理由はRS ウイルス感染1 例,インフルエンザ罹患児との接触1 例,血液腫瘍科転科後の計画4 例であった.
    【結論】腫瘍生検術で1 例のみ輸血を要したが手術合併症はなく,外科的理由による化学療法の遅延もなかった.生検病理診断と最終病理診断は全て一致しており摘出標本は適切であった.全身状態不良のため開腹または開胸生検術が難しい症例では,転移巣からの生検でも正確な病理診断が可能と思われた.
  • 佐々木 隆士, 奥山 宏臣, 野瀬 聡子, 阪 龍太
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1091-1095
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】誤嚥防止手術として一般に行われているLindemanの喉頭気管分離術に対し,副損傷や,縫合不全,気管腕頭動脈瘻等の合併症リスクを減らすために当科で行っている工夫を紹介し,その治療成績を報告する.
    【方法】当科では,喉頭側断端処理はLindeman変法に準じるが肺側気管の授動は断端の縫い代確保分の最小限に留め,頭側皮膚を皮下の剥離によりフラップ状にし,喉頭側断端を覆いながら肺側断端の背側へ落とし込むようにしてこれと縫合している.過去4年間にこの方法を行った12例を対象とし,術中・術後成績を後方視的に検討した.
    【結果】手術時年齢は中央値4歳7か月,男女比は5:7で9例は術前に気管切開が置かれていた.平均手術時間は99±31分,出血量は少量で,全例で術中偶発症,術後縫合不全を認めなかった.平均26 か月の術後観察期間において,狭窄,腕頭動脈瘻などの晩期合併症も認めなかった.
    【結論】本術式は小児に対する誤嚥防止手術として簡便・低侵襲であり,合併症のリスクも低いと考えられた.
  • 中原 康雄, 岩村 喜信, 新居 章, 河﨑 正裕, 秋山 卓士, 今治 玲助, 後藤 隆文, 青山 興司
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1096-1100
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】先天性食道閉鎖症(以下 EA)根治術後に吻合部の安静を保つため,鎮静薬や筋弛緩薬を用い一定期間の人工呼吸管理を行うことは広く行われている.元来吻合部の緊張が強い症例に限られていたこの管理法を標準的な Gross C 型食道閉鎖症(以下 C 型 EA)術後にも行う必要があるのかどうかを検討した.
    【方法】2005年4月から2011年12月までに4施設で根治術を施行したEA症例41例から,複雑心奇形合併例・1,500 g 未満の症例・一期的吻合不能のlong gap 症例を除外したC 型EA 症例を対象とした.対象を術後の鎮静なし(I 群)と,術後の鎮静あり(II 群)とに分類,両群間で術後経過,合併症を比較した.
    【結果】症例は21例(I 群10例,II 群11例)であった.術後の挿管期間とドレーン留置期間はII 群で有意に長かった.経口摂取開始日,術後入院期間は両群間で有意差は認めなかった.術後合併症は,吻合不全は I 群1例(10%),II 群0例(0%).吻合部狭窄は I 群1例(10%),II 群3例(27.2%),気管食道瘻の再発は I 群0例(0%),II 群1例(9.1%)でありいずれも有意差はなかった.また,鎮静,筋弛緩管理が関与する可能性のある合併症であるが,褥瘡は有意差はなかったが II 群のみで1例(9.1%)認め,術後無気肺は I 群1例(10%),II 群6例(54.5%)と II 群で有意に多かった.
    【結論】今回の検討では標準的な C 型 EA の術後の一定期間の深い鎮静もしくは筋弛緩下の人工呼管理の有効性は確認できなかった.術後の深い鎮静や筋弛緩は他の合併症の原因となる可能性もあり,症例を選択して行うべきと考えられた.
  • 三谷 泰之, 瀧藤 克也, 渡邉 高士, 窪田 昭男, 山上 裕機
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1101-1105
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】周産期医療の発達により救命される患児が増加した一方で,中枢神経障害などにより経管栄養が必要となる患児が増加し胃瘻造設の機会が増えている.小児の胃瘻造設術では簡便かつ安全な手技が求められる.今回我々は,当科にて行っている胃壁固定具を用いたSeldinger 法による経皮内視鏡的胃瘻造設術(S-PEG)についてその安全性と有用性を検討し報告する.
    【方法】当院にて2007 年1 月から2012 年12 月までに全身麻酔下にS-PEG を施行した小児(16 歳未満)15 例を対象とし,手術時間,合併症について検討した.
    【結果】手術平均時間は26.9±3.7 分であった.術中合併症は認めなかった.1 例で内視鏡の透過光が確認できなかったため腹腔鏡手術に変更した.術後合併症として,固定糸周囲の肉芽形成を2 例に認めたが保存的に軽快した.チューブ交換時の合併症は認めなかった.管理中の合併症として胃瘻チューブ周囲の肉芽を4 例に認めた.胃瘻周囲の感染,胃内容液の漏れによる皮膚障害は認めなかった.
    【結論】当科にて行っている経皮的胃壁固定具を用いたSeldinger 法によるPEG は簡便で安全な手技と考えられる.
症例報告
  • 竜田 恭介, 廣瀬 龍一郎, 川久保 尚徳, 豊島 里志, 白川 嘉継, 有馬 透
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1106-1111
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    症例は7 生月男児.在胎25 週,759 g にて出生し,脳室内出血後に水頭症を発症したため,3 生月にVP シャント造設術が施行された.6 生月より腹部膨満が出現し,哺乳不良,嘔吐を認めるようになり当科へ紹介となった.超音波検査と造影CT で腹腔内を占拠する,VP シャントチューブを内部に含む囊胞性病変を認めた.臍下の小開腹で囊胞内容液を吸引しながら,囊胞の内側および外側より腹腔鏡にて観察したところ,囊腫壁全体が薄い大網より形成され,手術所見上,炎症や癒着が殆どないことが確認されたため,囊胞全体を臍より体外に引き出し,囊胞切除を行った.VP シャントに関連した腹腔側合併症としては腹腔内仮性囊胞が知られているが,本例は大網内腔に脳脊髄液が貯留してできた二次性の大網囊腫と考えられた.同様の報告は本邦で1 例,欧米で2 例報告されているのみで,きわめてまれと考えられるが,VP シャントの腹腔側合併症として認識しておくべき病態と考えられた.
  • 高安 肇, 田中 潔, 渡辺 栄一郎, 渡邊 昌彦
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1112-1116
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    症例は男児であり在胎22 週に巨大膀胱を認めたため紹介された.下部尿路閉塞が疑われ,胎児膀胱穿刺,膀胱羊水シャントを施行したが膀胱は再拡張を繰り返した.生後,胎便排泄がなく注腸造影にて狭小化した結腸を,上部消化管造影では蠕動の乏しい拡張した胃を認め,造影剤は十二指腸で停滞した.直腸粘膜生検ではアセチルコリンエステラーゼ陽性線維の増生を認めず神経節細胞を認め,megacystis microcolon intestinal hypoperistalsis syndrome(MMIHS)と診断した.消化管出血のため日齢42 に緊急で開腹し胆囊瘻,チューブ回腸瘻,チューブ空腸瘻を造設した.経腸栄養は進まず,6 か月時に肝機能の急激な悪化と凝固能異常を来たし,7 か月時に大量の吐下血により失った.本症例は対光反射が鈍く,回腸におけるα smooth muscle actin(αSMA)免疫染色異常からacetylcholine receptor の異常が関連する平滑筋の機能不全が推察された.
  • 清水 裕史, 伊勢 一哉, 山下 方俊, 石井 証, 中山 馨, 吉野 泰啓, 金沢 幸夫, 後藤 満一
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1117-1121
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    Megacystis microcolon intestinal hypoperistalsis syndrome(以下MMIHS)は,Hirschsprung 病類縁疾患であり,予後不良とされる.今回我々は,外科治療が奏功したMMIHS の1 例を経験したので報告する.症例は1 歳10 か月の女児.出生後より胆汁性嘔吐を呈しており,検査所見からMMIHS と診断した.新生児期に双孔式空腸瘻及び胃瘻造設術を施行し,生後6 か月時に横行結腸瘻造設術,1 歳時に虫垂瘻造設術,そして1 歳3 か月時に結腸瘻を含む拡張結腸切除術を施行した.術後は,虫垂瘻からの順行性洗腸と経肛門的洗腸を実施した.経腸栄養と高カロリー輸液の併用により成長が得られ,退院可能な状態となった.MMIHS の重症度は症例により異なるため,腸液鬱滞の状態に応じて外科治療を選択することが,QOL および生命予後の改善に寄与すると考えられた.
  • 森田 圭一, 福本 弘二, 光永 眞貴, 矢本 真也, 納所 洋, 三宅 啓, 金城 昌克, 漆原 直人
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1122-1126
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    先天性気管狭窄症(以下,本症)に対して新生児期にスライド気管形成術を施行し抜管に至った低出生体重児の1 例を経験したので報告する.症例は在胎35 週1 日,体重1,777 g で出生した女児.出生直後から呼吸困難を来たし気管挿管を行ったが,内径2.5 mm(外径3.5 mm)の気管挿管チューブが声門を超えて気管内へ挿入できなかった.胸部CT で気管上部に限局した狭窄を認め,本症が疑われた.安定した呼吸管理ができなかったため,日齢4 に手術を施行した.気管上部に15 mm 長(全長の28%)の本症を認め,頸部アプローチによる術野換気を用いたスライド気管形成術を行った.術後15 日目に抜管し,現在術後3 か月が経過したが呼吸状態は安定している.スライド気管形成は,特に気管の絶対径が小さい場合に,狭窄が限局した本症に対しても有用な術式である.
  • 田浦 康明, 大畠 雅之, 稲村 幸雄, 小坂 太一郎, 永安 武
    2013 年 49 巻 6 号 p. 1127-1130
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    D 型食道閉鎖,先天性喉頭閉鎖症というともに極めてまれな発症率である疾患を合併した症例を経験したので報告する.胎児期に羊水過多を指摘されており,食道閉鎖が疑われていた.出生体重2,080 g,Apgar score 1 分後1 点,5 分後1 点で,啼泣は無くチアノーゼ著明であった.気管挿管が不能であったが,食道挿管によるバッグ換気で呼吸状態が安定した.胸腹部単純X 線写真,頸胸部CT および内視鏡の所見から,D 型食道閉鎖を合併した先天性喉頭閉鎖症と診断し,生後1 日目に気管切開術を施行して呼吸状態は安定した.先天性喉頭閉鎖症は,本邦報告例の半数以上に食道閉鎖や心奇形などの合併症を認めており,喉頭閉鎖が疑われる場合には胎児超音波検査やMRI などの画像を詳細に検討するとともに,喉頭閉鎖であった場合には適切な初期対応ができるよう,新生児医療に携わる医師は本疾患に関する知識を深めておくことが望ましい.
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