日本小児外科学会雑誌
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おしらせ
追悼文
原著
  • 渡邊 峻, 松寺 翔太郎, 谷 有希子, 山口 岳史, 荻野 恵, 中島 政信, 森田 信司, 土岡 丘, 吉原 重美, 小嶋 一幸
    2022 年 58 巻 4 号 p. 706-711
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    【目的】小児化膿性リンパ節炎は切開排膿で治療しうる疾患であるが,小児外科医からの報告が乏しい.当院の本疾患症例を後方視的に検討した.2008年1月から2020年3月までに,初診時白血球数≧8,000/μl以上かつ画像検査で膿瘍形成を認め化膿性リンパ節炎の診断がついた,初診時年齢15歳以下の症例を対象とした.染色体異常,免疫不全を有する症例は除外した.

    【方法】診療録から対象症例の患者背景・検査所見・治療経過を収集した.また,切開排膿群と非切開群の比較検討,膿瘍径と抗菌薬使用期間の相関の検討も行った.

    【結果】対象症例は31例で,初診年齢:3.66±2.65歳,性別:男児21例・女児10例,膿瘍形成部位:頸部25例・腋下1例・鼠径部5例/片側25例・両側6例であった.初診時膿瘍径は23.3±7.8 mmで,年齢と初診時膿瘍径に負の相関関係がみられた.また,血中リンパ球数と初診時膿瘍径に相関はなかった.切開排膿は14例に対し行い,切開日は初診日から数えて6.2±5.9日で,培養菌種はMSSA 10例・MRSA 1例,3例は特定できなかった.切開群では非切開群より低年齢で発症し,初発部位が頸部リンパ節以外に多く,リンパ節腫大が起こってから病院を受診するまでの時間も長かった.また初診時に膿瘍径が大きくそのため入院期間が長く,抗菌薬の使用期間も長期に及んでいた.切開群では初診時膿瘍径と抗菌薬使用期間の間に有意な負の相関が認められた.

    【結論】小児化膿性リンパ節炎では年齢が低いほど初診時の膿瘍径が大きかった.切開排膿群では膿瘍径が大きいほど抗菌薬使用期間が短かった.これらの結果と今後の研究を踏まえ,的確な抗菌薬の選択と切開時期の判断を行うことが望まれる.

症例報告
  • 谷本 光隆, 尾藤 祐子, 大片 祐一, 西島 栄治, 前田 貢作
    2022 年 58 巻 4 号 p. 712-716
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    先天性気管狭窄症(CTS: congenital tracheal stenosis)の重症例は救命にしばしば難渋するが,これに気管支食道起始症を合併する症例は治療方針に苦慮する.我々は大動脈前方でのスライド気管形成術および右肺切除術を行い救命した症例を経験したので報告する.症例は7か月女児.右肺低形成及びCTSを指摘されており,生後すぐに挿管管理を要した.挿管管理中に急速に進行する換気不全のため,準緊急でスライド気管形成術を施行した.手術所見より右主気管支食道起始症と診断したが,右肺の温存は困難と判断し切除した.スライド気管形成における吻合はpostpneumonectomy syndromeに留意して大動脈の前方で行い,気管の吊り上げを追加した.CTSと気管支食道起始症の合併症例は換気不全による死亡例が多いため,まずはCTSに対する安定した気道確保を行うことが救命のために肝要である.

  • 北田 智弘, 春本 研, 高松 由布子, 山本 美紀
    2022 年 58 巻 4 号 p. 717-720
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は,特に既往のない7歳男児.嘔吐と下腹部痛とタール便を主訴に前医受診し腸炎の診断で入院した.絶食と点滴で腹痛軽快したため食事再開したところ食直後から腹痛再燃したため腹部CT検査を行い,急性胆囊炎の診断にて当院へ転院搬送された.血液検査では肝・胆道系酵素,白血球数,炎症反応は全て基準範囲内であった.腹部超音波検査では胆囊壁が1 cmまで肥厚していた.造影CT検査で腫大した胆囊を認め胆囊壁は造影されなかった.MRCP検査で胆囊が胆囊管の高さで反時計回りに360度捻転している像を認めたため,胆囊捻転症と診断し開腹胆囊摘出術を行った.胆囊捻転症は小児では稀であり特徴的な症状が少なく診断に難渋することが多いが本症例ではMRCPが診断および手術に有用であった.若干の文献的考察を加え報告する.

  • 辻本 琴音, 曹 英樹, 吉田 篤史, 久山 寿子
    2022 年 58 巻 4 号 p. 721-727
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は8歳女児.2歳から3歳にかけて原因不明の発熱,熱性痙攣を繰り返していた.今回,痙攣重積発作時の腹部造影CTにて両側重複腎盂尿管を認めたため当科紹介となった.腹部超音波,腎シンチグラフィにて右下半腎のみの高度の萎縮があり,排尿時膀胱尿道造影にて右腎の膀胱尿管逆流を認め,膀胱鏡検査にて両側完全重複腎盂尿管と診断した.後腹膜鏡下右下半腎および所属尿管切除を行い,術後半年の排尿時膀胱尿道造影では遺残した右下所属尿管以外に膀胱尿管逆流はなく,術後2年3か月が経過したが発熱,痙攣は完全に消失している.一般的に完全重複腎盂尿管は上半腎所属尿管の開口部は下半腎所属尿管開口部位より尾側に認められ,上半腎の萎縮,あるいは下半腎所属尿管の膀胱尿管逆流を認めることが多いとされている.本症例は上半腎ではなく下半腎のみが萎縮しており,逆流がその原因と考えられた.

  • 江里口 光太郎, 岡本 晋弥, 鹿子木 悠, 渡邉 健太郎, 片山 哲夫
    2022 年 58 巻 4 号 p. 728-733
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は10歳女児.新生児期の胎便性腹膜炎に対する2回の手術歴がある.腹痛と発熱を主訴に紹介受診となり,左卵管留膿症に対して抗菌薬治療で軽快した.外来経過観察中に両側卵管留水症が出現,12歳時に最大径11.5 cmと左卵管が著明に拡張し,腹痛の頻度増加と腹部膨満により食事摂取が低下したため,婦人科にもコンサルトを行い,自然妊娠が困難で再感染の可能性があること,生活の質改善と将来の生殖補助医療の成功率向上のため単孔式腹腔鏡下両側卵管切除術を施行した.右卵管は全摘できたが,左卵管は周囲との癒着が高度で,左尿管と左卵巣周囲に一部壁を残して亜全摘となった.術後は合併症なく経過良好である.小児の腹部及び骨盤腔の術後遠隔期には卵管留膿症や卵管留水症が発症する可能性があるため,骨盤腔の囊胞性病変を伴う腹痛の鑑別診断として,特に思春期以降には留意すべきである.

  • 祁答院 千寛, 春松 敏夫, 矢野 圭輔, 長野 綾香, 松井 まゆ, 村上 雅一, 杉田 光士郎, 武藤 充, 加治 建, 家入 里志
    2022 年 58 巻 4 号 p. 734-739
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    今回,IIIb型膵損傷後の膵仮性囊胞に対し,腹腔鏡下囊胞ドレナージが奏功した1例を経験した.【症例】症例は14歳男児.サッカーの試合中に他選手の膝で上腹部を打撲後に腹痛を訴え救急搬送された.Magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)では日本外傷学会分類IIIb型の膵損傷と診断した.全身状態は安定しており保存的に加療する方針とした.しかしその後に,3 cm大の膵仮性囊胞を認め,内視鏡的逆行性膵管造影を11病日に施行した.主膵管は膵体部で断裂し,膵管ステントを囊胞内へ留置したが数日で脱落した.その後,囊胞は横隔膜下から腎下極に及ぶまで増大したため,入院45日目に腹腔鏡下囊胞開窓ドレナージ術を行った.術後は腹部症状や囊胞の再発は認めず経過している.【結語】膵仮性囊胞に対する腹腔鏡下囊胞ドレナージは,腹腔内の観察ができ,確実なドレナージが可能である.病態に応じて膵仮性囊胞のドレナージ法の選択肢として検討されうると考えられた.

  • 花木 祥二朗, 中原 康雄, 大倉 隆宏, 高橋 雄介, 橋本 晋太朗, 石橋 脩一, 浮田 明見
    2022 年 58 巻 4 号 p. 740-746
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    IIIb型膵損傷は治療方針が確立されておらず,また小児例の報告が少ない.我々は受傷後早期に,膵空腸吻合にBlumgart変法を用いたLetton-Wilson手術を施行し,良好な転帰を得た小児例を経験したので報告する.患者は13歳男児で,上腹部打撲を主訴に受診した.腹部造影CTで膵頭部損傷を疑った.緊急内視鏡的逆行性膵管造影を試みたが,主膵管は造影されなかった.CT所見から主膵管損傷を疑い,緊急試験開腹術を施行した.術中所見では,膵頭部は上腸間膜静脈の右縁で主膵管を含めて断裂しており,IIIb型膵頭部損傷と診断した.Letton-Wilson手術の方針とし,膵体尾部空腸吻合はBlumgart変法を用い,膵頭部断端の縫合閉鎖および大網被覆を行った.術後は膵頭部断端閉鎖部に2 cm大の仮性膵囊胞形成を認めたが,徐々に縮小し,術後25日目に自宅退院した.術後1年現在,良好に経過している.

  • 田中 尚, 増本 幸二, 小野 健太郎, 村上 卓, 田川 学, 堀米 仁志, 森 健作
    2022 年 58 巻 4 号 p. 747-752
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    症例は14歳,女児.1か月時に高ガラクトース血症を指摘され,先天性門脈欠損症,肺高血圧症,心房中隔欠損症,多脾症候群,下大静脈欠損と診断した.肝移植を検討したが,肺生検の結果,肺小動脈形成不全があり移植不適合と判断した.肺高血圧症は重症であったが,症状の進行は比較的緩徐であった.14歳時に施行した血管造影で低形成ながら肝内門脈が確認され,外科的シャント血管結紮術の適応と判断した.術中門脈圧測定ではシャント血管のテスト結紮にて圧上昇は認めず,腸管うっ血所見もなかったことから,完全結紮とした.術後はシャント率の改善を認め,術後1年まで大きな合併症なく経過している.先天性門脈欠損症と診断されていても,本例のように安全にシャント結紮術を施行しうる症例があることから,有症状例では必要に応じて血管造影検査などの評価を繰り返し行い,治療適応を判断することが重要と考えられた.

  • 中林 和庸, 竜田 恭介, 山内 健
    2022 年 58 巻 4 号 p. 753-757
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    精巣捻転症は早期に診断し,治療を行うべき疾患であるが,外傷を契機とした場合は診断時期が遅れ,精巣温存できる症例は少ないとされる.症例は14歳の男児.左陰囊上部を打撲後より陰囊痛と腫脹を認め,痛みが持続するため受傷後5日目に当院救急外来を受診した.超音波検査とMRI検査で精索の浮腫と精巣破裂を疑う所見を認め,緊急手術を行った.術中所見では左精巣が外向きに720度捻転しており,外傷性精巣捻転症と診断した.精巣白膜の損傷は認めず,血腫も認めなかった.捻転の解除により精巣の色調が改善したため,両側の精巣固定術を行った.術後経過は良好で,術後2日目に退院し,術後6か月の超音波検査で患側精巣の血流は保たれ萎縮を認めていない.外傷性精巣捻転症はまれであるが,外傷後に疼痛が持続する場合は積極的に疑って加療すべきである.

  • 町野 翔, 近藤 公男, 大澤 義弘
    2022 年 58 巻 4 号 p. 758-762
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    乳児腸重積症の器質的病変では,回腸ポリープの頻度は稀である.今回小腸若年性ポリープによる乳児腸重積症の1例を経験したので報告する.3か月男児.哺乳不良ののち,血便をきたし,活気不良も伴ったため当院を受診した.左上腹部に腹部超音波上target signを伴う腫瘤を認め,腸重積症と診断した.非観血的整復を行ったが小腸小腸重積が残存したため緊急手術を施行した.術中所見では回盲弁から口側7 cmに回腸ポリープを先進部とする腸重積を認め,腫瘤を含めた回腸部分切除術を施行した.病理所見では,ポリープ基部間質に囊胞状の腺管構造を認め若年性ポリープと診断した.若年性ポリープはほとんどが結腸・直腸に発生するため,結腸結腸型腸重積症をきたす例が多いが,若年性ポリープによる小腸腸重積症は極めて稀で,検索し得た限り本邦の報告は自験例を含め8例のみであった.

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