子宮内腸重積に起因した小腸閉鎖の本邦例24例を集計した.本症はvascular accident説の1つの証拠となるものである.この貴重な24例から本症の臨床像を検討し, つぎのような特徴がえられた.1) 本症の発生頻度は低率であるが, 今後注意深い切除標本の検索から増加の可能性がある.2) 本症は単発型低位小腸閉鎖の臨床像を示すものが多い.すなわち成熟児が多く, 合併奇形はほとんどみられない.したがって救命率は高く79.2%であった.3) 空腸閉鎖例では羊水過多が50%にみられた.4) 胎便は75.0%と高率にみられる.潜血反応の施行されている症例が少なく, 本検査が乳幼児の腸重積と同様にpathognomonicなものかは今後の検索にまちたい.5) 注腸レ線でnormosizedに近い像の得られた回腸閉鎖が6例あった.このことはmicrocolonが, 閉鎖部位の高さのみでなく, 閉鎖の時期にも関係すると思われた.6) 閉鎖部位は回腸66.7%, 空腸33.3%であった.閉鎖型(Louw)はII, III型がほぼ同数にみられた.7) 重積腸管は1例をのぞきすべて閉鎖肛門側にみられた.内筒が腸管の原形をとどめているものから, 壊死状あるいはポリープ様隆起のものまで千差万別であり, 注意深い観察が必要と思われた.
抄録全体を表示