日本小児外科学会雑誌

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1)小児悪性腫瘍の全国登録例についてみると1969年から1972年迄の間に合計98例の肝悪性腫瘍があり, その中94例が原発性肝癌で, この数は, 悪性腫瘍全登録例の2.3%を占めた.2)小児の原発性肝癌の小児全悪性腫瘍に対する比を, 地方別に比較すると, 全国では2.2%であるのに対して北海道では4.3%であった.他は特に地域による差はみられなかった.3)小児の原発性肝癌の性年令別頻度をみると, 肝癌は2才迄に60%が発症し, 特に生後1ヵ月以内に診断されたものが7例を占めていた.しかし一方年長児での発生もみられるので, 症例の90%を占めるのは7才を過ぎてであった.4)小児の原発性肝悪性腫瘍の全国発生数は正確には不明であるが, 全国登録数では, 昭和47年には26例となっているので, 仮に登録率を50%とすれば52例となり, 厚生省が同年に全国調査をした数と符号した.5)各国の死亡統計よりみた小児の肝悪性新生物を比較すると, 本邦では, 昭和46年の調査で37例となり, 小児の人口比として他の国と比較すると, 米国, 英国, フランス, 西ドイツ, デンマーク, スエーデンのいずれよりも高いと考えられた.

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小児の原発性肝癌診断に際しては, 一刻も早い確定診断を下して外科的適応を考えるべきで, その為には有効欠くべからざる検査を最短コースで行なわねばならない.初診時, 直ちに単純胸・腹部X線撮影, 血液生化学, 尿中VMA定量を先ず行なって, 結果を待つ間にIP, Echo, 次いでAngioを実施し, 必要あればScintiを行なう順と考えられる.αfとVMAにウエイトがあることは肝癌に限らず小児悪性腫瘍の鑑別診断方式として欠くことは出来ない.

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(1)5Fuの持続動脈内投与法はhepatoblastomaに抑制効果は示したが, 充分ではなかった.切除併用例でCollinsの危険期をはるかに越えて(4年)再発死したものがあり, 延命効果と考えられる.(2)照射療法を企図する場合5Fuの増感作用は評価されてよい.(3)5Fu動脈内持続投与法は使用薬剤が少量で済み, 従って毒性が著しく軽減され, 乳幼児新生児にも使用し得る.

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