化学と生物
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58 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • ゴム廃棄物からの有価物生産の可能性
    笠井 大輔
    2020 年 58 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    ポリcis-1,4-イソプレンを基本骨格とする天然ゴムや合成イソプレンゴムは,幅広い工業分野で利用されている不可欠な資源であり,それらの需要は増加し続けている.しかし,それらの廃棄物は燃焼や埋立によって処分されており,将来的な増加が予想される廃棄物による環境汚染が危惧されている.本研究では,微生物機能を用いた廃ゴム処理の技術革新を目指して,ゴム分解菌の機能解析と分解メカニズムの解明に取り組んでいる.微生物機能を利用した廃ゴム処理が確立できれば,従来の処理法の課題を解決できるだけでなく,有機性廃棄物の再資源化に繋がる可能性があり,持続可能社会の形成に貢献できると期待される.

  • ユニークな酵素でユニークなモノを創る
    渡邊 光, 山本 拓生, 阿賀 創, 西本 友之
    2020 年 58 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    食物繊維は,生活習慣病の予防に重要な役割を果たす栄養素として知られているが,推奨される量を摂取することは容易ではなく,慢性的な食物繊維不足となっている(1, 2).われわれは微生物酵素の高度利用を目指し,特に澱粉から高付加価値糖質の生産を目的に糖質関連酵素の探索を行ってきた.その過程で多分岐α-グルカンの一種であるイソマルトデキストリン(IMD)を生成する新しい酵素系を見いだし,それを利用したIMDの工業生産に成功した.IMDは,新しい水溶性食物繊維の一種であり,さまざまな食品に無理なく配合できるため,上述のような慢性的な食物繊維不足を簡単に補うことができる.本稿では,IMDの生成にかかわる酵素の発見からその生理機能および水溶性食物繊維の新たな選択肢としての利用例について解説する.

  • 細菌カロテノイド研究からの発見
    髙野 英晃
    2020 年 58 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    非光合成細菌の光応答現象として,光が誘発するカロテノイド色素合成が知られていたが,最近になって分子メカニズムの詳細が明らかにされた.それによりビタミンB12をクロモフォアに利用する新しいタイプの光センサー型転写調節タンパク質LitR/CarHファミリーが発見された.さまざまな細菌種ゲノムに見つかることからLitR/CarHは普遍性の高い光センサーと考えられる.ここでは,非光合成細菌におけるカロテノイド光応答現象とその分子メカニズム,およびオプトジェネティクス(光遺伝学)における応用について解説する.

  • 食用油を使い分けてより健康に
    長竹 貴広, 國澤 純
    2020 年 58 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    脂質は生体膜の構成成分やエネルギー源として利用されるだけでなく,脂質メディエーターに変換されることでさまざまな生理活性を発揮することから,物理的・化学的・生物学的に極めて重要な栄養素であると言える.筆者らは,食事性脂質の量や質に着目し,これらが免疫・アレルギー・炎症反応の制御において重要な役割を果たすことを見いだし,個体・細胞・分子レベルで作用機序を解明してきた.本稿では,最新のメタボローム解析によって明らかになりつつある食事性脂質の体内代謝と代謝物の機能,また腸内細菌の関与を含め,筆者らの最近の研究成果を中心に概説したい.

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学界の動き
農芸化学@High School
  • 中原 明日美, 福原 古都音
    2020 年 58 巻 2 号 p. 131-133
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー

    本研究は日本農芸化学会2019年度大会(開催地:東京農業大学)での「ジュニア農芸化学会」において発表されたものである.研究チームは,身近に存在するツツジの花から,近年社会問題ともなっている,食用油などによる環境汚染に立ち向かえる(かもしれない)力をもつ「酵母」を単離することに成功した.目指すゴールは必ずしも近くはないが,若いパワーでその可能性を手繰り寄せていただきたい.なお,本研究は参加者から高く評価され,ジュニア農芸化学会「銀賞」を受賞した.

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