通常,バクテリアは性をもっていない.次世代への遺伝情報であるDNAの継承は,クローン産生(細胞分裂)によって行っている.細胞分裂においては親も子もなく,クローンは全遺伝情報が同一なので,クローンの増加によって遺伝情報は多様化(DNA塩基配列の違い)しない.しかし,実際には,バクテリアは人類が把握できないほどの多様性をもっている(種レベルにおいて99%程度が未知と考えられている).この多様性の主因は,異種バクテリア間における遺伝情報の水平伝播にある.この水平伝播が40億年にわたり繰り返されたため,現在の多様性がある.
スフィンゴ脂質は,生体膜成分として19世紀末に初めて発見された.当時知られていたどの脂質にも当てはまらない異質な構造と謎に包まれた存在意義から,ギリシア神話に登場する謎かけの怪物「スフィンクス」にちなんで命名されたといわれている(1).発見から一世紀以上にわたり,この脂質は数々の難解な謎を脂質生物学者に問いかけてきたが,近年,分子レベルでの理解が急速に進み,生物ごとに多様な分子構造と,それが裏打ちする特異な機能が明らかになってきた.本稿では,植物で独自に発達したスフィンゴ脂質のユニークな糖鎖構造を中心に,その分子実体を捉える最新技術と,生合成酵素の同定により解明が進んだ機能多様性について,最近の研究動向を解説する.
私たちは,雑草の生命力を調べるためタンポポとハルジオン,万年草の根を無菌培養した.実験としては,無菌培養に失敗してしまいタンポポと万年草はカビが生えてしまった.しかしながらハルジオンだけがカビが生えてない状態であった.この現象から私たちは,ハルジオンには抗菌効果があるのではないかと考えた.そこで大腸菌や黒麹菌,納豆菌を用いて抗菌効果を調べたところ各微生物の生育を阻害していることがわかった.次に,ハルジオンの抗菌効果のメカニズムを解明するためモデル生体膜を用いて実験を行った.その結果,ハルジオンの成分は脂質二重層を傷つけることがわかった.最後にHPLCにて分析し,ハルジオンにはクロロゲン酸が含まれていることがわかった.