化学と生物
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54 巻 , 7 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 内藤 健
    2016 年 54 巻 7 号 p. 464-470
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
    Vigna属とはアズキのなかまである.リョクトウやササゲなどの栽培種も同じVigna属に分類されるが,野生種の多様性はマメ科植物の中でも突出して高い.特に適応している環境の幅広さは驚異的であり,砂浜や砂漠,石灰岩カルストや酸性土壌など,作物の栽培が不可能な環境条件に自生する野生種が多数存在する.これらの環境適応性は農地の拡大や,農業生産の安定化を通して食糧問題を改善に導く可能性を秘めている.本稿では,これらVigna属野生種の具体例を紹介するとともに,われわれが進めている適応機構の解明や応用に関する研究について紹介する.
  • 西山 啓太, 向井 孝夫
    2016 年 54 巻 7 号 p. 471-477
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
    乳酸菌は,哺乳類の小腸から大腸に広く棲息するグラム陽性細菌である.乳酸菌を構成する最大の属であるLactobacillus属は,多岐にわたる有用効果が報告されており,近年では,民間伝承的な健康増進効果にとどまらず予防医学への応用も期待されている.一般に乳酸菌は積極的に摂取され宿主消化管で定着することが求められることから,複雑な腸内フローラを形成する消化管において,摂取された乳酸菌がどのようなプロセスを経て定着・共生することができるのか興味深い点である.本解説では,乳酸菌の生存戦略の一つである腸粘膜への付着に着目し,特にアドヘシン(付着因子)の細胞表層への提示機構とその役割について解説する.
  • 千葉 一裕
    2016 年 54 巻 7 号 p. 478-483
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
    有機電解法とは電極によって有機化合物の電子移動を引き起こし,生成した活性種の反応を制御する化学の一手法である.電極を用いた電子移動は,基質となる有機化合物から電子を奪う(陽極酸化),あるいは電子を与える(陰極還元)ものであり,酸化剤や還元剤を使わずに化学反応を開始することができる方法である(1).そのため,「試薬は電子」と表現されることもあり,環境負荷の少ない一つの方法として期待されている.また,電極表面で電子移動を引き起こすために通常は極性の高い溶媒中で解離する支持電解質を溶解させるが,これは電極表面に電気二重層を形成するために働く.電極に一定の電位を印加することによって形成された電気二重層内に有機化合物が入ると分子と電極の間で電子移動が誘起され,この過程を経て得られた活性種の化学反応が電極表面近傍または電極表面から離れたバルク溶液中で進行する.このように基質となる有機化合物の活性化過程が反応容器内の特定の場所に限定されていることは,均一系とは異なるさまざまな反応システムの構築が可能となることを意味する.また電極は外部から電圧を印加するため,外部からの機械的制御によって電子移動の開始,停止をコントロールできることも一つの特徴である.本稿では,筆者がこれまでに実施した有機電解法の特徴を活かした化学合成反応を中心に紹介し,その非天然型のペプチドおよび核酸誘導体の化学合成への応用について解説する.
  • 内海 俊彦, 守屋 康子
    2016 年 54 巻 7 号 p. 484-492
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
    タンパク質N-ミリストイル化は,タンパク質脂質修飾の一種であり,タンパク質を細胞膜へつなぎ止める膜アンカーとして働き,主として細胞情報伝達に機能することが知られてきた.最近,ケミカルバイオロジーの手法(クリックケミストリー)を用いたN-ミリストイル化タンパク質の高感度の検出法が確立され,この手法と最新の質量分析法を組み合わせることでヒト細胞内に存在するN-ミリストイル化タンパク質の網羅的解析が進んでいる.その結果,この脂質修飾が,細胞情報伝達以外に細胞内のタンパク質輸送やオルガネラ形成,アポトーシス,オートファジーの機構にも深く関与すること,さらにそれらの異常により,がんをはじめ神経変成疾患や感染症といったさまざまな疾患が誘導されることが明らかになってきた.本総説では,タンパク質N-ミリストイル化に関する最近の知見をまとめて紹介する.
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