タンパク質
N-ミリストイル化は,タンパク質脂質修飾の一種であり,タンパク質を細胞膜へつなぎ止める膜アンカーとして働き,主として細胞情報伝達に機能することが知られてきた.最近,ケミカルバイオロジーの手法(クリックケミストリー)を用いた
N-ミリストイル化タンパク質の高感度の検出法が確立され,この手法と最新の質量分析法を組み合わせることでヒト細胞内に存在する
N-ミリストイル化タンパク質の網羅的解析が進んでいる.その結果,この脂質修飾が,細胞情報伝達以外に細胞内のタンパク質輸送やオルガネラ形成,アポトーシス,オートファジーの機構にも深く関与すること,さらにそれらの異常により,がんをはじめ神経変成疾患や感染症といったさまざまな疾患が誘導されることが明らかになってきた.本総説では,タンパク質
N-ミリストイル化に関する最近の知見をまとめて紹介する.
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