化学と生物
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59 巻, 6 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • In Vivoイメージングによって明らかになった拮抗作用と相乗効果の役割
    今井 猛
    2021 年 59 巻 6 号 p. 278-283
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    匂いは嗅神経細胞に発現する嗅覚受容体によって検出される.個々の匂い分子は,高々1,000種類程度の嗅覚受容体の応答の組み合わせによって識別されると考えられている.一方で,自然界の匂いの多くは匂い分子の混合物である.本研究では,2光子励起顕微鏡を用いてin vivoカルシウムイメージングを行い,嗅神経細胞の応答が,個々の匂い分子とその混合物とでどのように異なるのかを解析した.その結果,匂い分子を混合すると,その反応が拮抗作用によって抑制されたり,相乗効果によって増強されたりすることを見いだした.こうした末梢レベルでの現象が匂いのハーモニーを生み出す上で重要な役割を果たしていると考えられる.

  • 創薬シーズとしての細菌ゲノム由来DNA
    高谷 智英
    2021 年 59 巻 6 号 p. 284-289
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    微生物ゲノム由来のオリゴDNAは,病原体関連分子として宿主細胞の自然免疫系を調節することが知られてきた.他方,一部のオリゴDNAは非免疫細胞の分化にも影響することが散発的に報告されてきたが,その生理学的意義は不明であった.筆者は最近,乳酸菌ゲノム配列に由来するオリゴDNAが,骨格筋の前駆細胞である筋芽細胞の分化を著明に亢進することを報告した.この筋形成型オリゴDNAは,加齢や疾患が誘発する筋萎縮の治療に有用な,新たな核酸医薬品のシーズとして期待される.本解説では,筋形成型オリゴDNAのの研究を例に,微生物由来オリゴDNAによる細胞の運命制御について紹介する.

  • その普遍性,多様性と特異性
    高橋 卓, 本瀬 宏康
    2021 年 59 巻 6 号 p. 290-297
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    ポリアミンはアミノ基(–NH2)が2つ以上結合した脂肪族炭化水素化合物の総称で,生き物がもつ代表的なポリアミンとして,ジアミンのプトレシン,トリアミンのスペルミジン,テトラアミンのスペルミンがよく知られる.植物のポリアミンについては,生理学的な知見が数多く蓄積しているが,近年,シロイヌナズナを用いた分子遺伝学の隆盛により,研究も飛躍的に進展し,ストレス応答における働きやスペルミンの構造異性体であるサーモスペルミンの維管束木部分化に対する抑制作用など,興味深い生理機能が明らかになってきた.その最新知見について概説する.

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