化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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60 巻, 10 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 酸化反応の開発と天然物化学への展開
    若森 晋之介, 楠木 怜奈
    2022 年 60 巻 10 号 p. 502-508
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    エラジタンニンは,ポリフェノールの一部門であり,その抗酸化作用による健康効果が期待されている.19世紀から知られているエラジタンニンであるが,近年になってエラジタンニンを構成するビアリール構造の構築法が確立された.この手法により,多くのエラジタンニンの化学合成が可能になっている.本解説では,先駆者たちの成果を紹介しながら,エラジタンニンに関する研究の最先端について紹介する.

  • 腸管粘膜萎縮の回復
    内田 博之, 伊東 順太
    2022 年 60 巻 10 号 p. 509-517
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    絶食は小腸粘膜萎縮を伴い,粘膜バリア機能の喪失が起こる.その結果,bacterial translocation(BT)が発症し,感染症や敗血症に至る.これは経腸栄養治療に比べて,静脈栄養治療の患者に危惧されている.絶食誘導腸管粘膜萎縮は,粘膜のinducible nitric oxide synthase(iNOS)発現によるnitric oxide(NO)がreactive oxygen species(ROS)を介して,粘膜上皮細胞のアポトーシス誘導により生じる.絶食中の選択的iNOS阻害剤の投与や絶食後の再摂食により,絶食誘導腸管粘膜萎縮はiNOSの阻害や発現の抑制に伴うROSの減弱により予防できる.絶食誘導腸管粘膜萎縮の調節にはiNOSに加え,neuronal nitric oxide synthase(nNOS)も関与している.ここでは,これらのメカニズムを紹介し,絶食誘導腸管粘膜萎縮を予防する目的で,絶食中の栄養成分の投与や非消化性物質の摂食について説明する.

  • 多様な構造を生み出す生合成システム
    小谷 真也
    2022 年 60 巻 10 号 p. 518-526
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    バクテリアやカビは多種多様な二次代謝産物を生産する.その中に,生合成の特徴からリボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチドという名前で呼ばれるペプチドがある.その生合成において,リボソームで翻訳され生産されるペプチドが酵素による修飾を受け,異常アミノ酸の合成や環化が起こる.近年,この中に,ATP-graspリガーゼによって修飾を受け,エステルまたはイソペプチド結合の形成を通して環化されるペプチドの一群(graspetides)があることが知られてきた.このペプチドの中には,強力なプロテアーゼ阻害活性を有するものがあり,注目を集めている.近年,ゲノムマイニングによって広くバクテリアが,このクラスのペプチドの生合成遺伝子クラスターを有していることが明らかとなり,分子内結合の架橋パターンによって分類がなされている.同時に,異宿主生産等の手法で,graspetideの生産および構造決定がなされるようになってきた.最近の知見を交えながら,その生合成と,それを利用した環状ペプチド生産に関して解説する.

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