化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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50 巻, 8 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 平田 拓, 大西 利幸, 渡辺 修治
    2012 年50 巻8 号 p. 570-576
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    バラの主要香気成分である2-フェニルエタノールは,アミノ酸L-フェニルアラニンから生合成される.重水素標識化L-フェニルアラニンをバラへ投与することで,バラにおいて2-フェニルエタノールは夏季と冬季で異なる経路によって生合成されていることを明らかにした.季節に応じて植物二次代謝産物の生合成経路がシフトする現象は報告例がない.本解説ではバラにおける2-フェニルエタノール生合成経路シフトの発見の経緯と最近の知見を紹介する.
  • 小山 泰二, 金 鋒杰, 原 精一
    2012 年50 巻8 号 p. 577-583
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    麹菌は伝統的な醸造産業だけでなく,酵素生産などバイオテクノロジー分野にも幅広く利用されている.近年,ゲノム情報が容易に入手できるようになり,相同組換え効率が向上した変異株を用いた遺伝子ターゲティングなどの技術が開発されたことから,染色体レベルでの操作が可能になり,育種研究のスピードアップが期待されている.ここでは,われわれが開発した染色体上の任意の領域を大規模に欠失させる技術を用いて,麹菌の生育に不要な遺伝子の除去による「染色体の最小化」を目指した取り組みと,これを遺伝子の機能解析に利用した例を紹介する.
  • 古典的なミエロイド系/リンパ系二分法からの脱却
    河本 宏, 桂 義元
    2012 年50 巻8 号 p. 584-591
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    血液細胞や免疫細胞は,細胞分化の研究材料として久しく用いられてきた.にもかかわらず,本質的な問題,すなわち「どのような系列決定を経てつくられるか」という事象に,長い間手が付けられていなかった.最近,ようやく真の姿が浮かび上がってきた.それは,多くの教科書に描かれている仮想的なモデルとは異なるものであった.
  • 小笠原 渉, 志田 洋介
    2012 年50 巻8 号 p. 592-599
    発行日: 2012/08/01
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    地球温暖化,化石資源の枯渇から世界的に低炭素化社会の実現が求められており,太陽光,風力,地熱発電などの自然エネルギーが注目されている.その中で,セルロース系バイオマスは,バイオ燃料などのエネルギー源としての利用だけではなく,将来の脱石油社会の中で化成品のカーボン原料として利用可能な炭素循環型の原料として期待されている.アメリカでは,セルロース系バイオマスからの「糖」を原料とした化成品を作る体系を「バイオリファイナリー構想」として進めており,EUにおいては,「ホワイトバイオテクノロジー構想」が展開されている.そのような背景のなか,日本における「バイオリファイナリー構想」においてキーとなるセルロース分解酵素生産微生物「トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)」の開発は,約30年前のオイルショック後から進められている.最新の次世代シークエンサーを駆使した比較ゲノム解析によって,古典的な変異処理によって改良されてきた「トリコデルマ・リーセイ」の日本型系統樹進化の謎が解明されつつある.
セミナー室
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追悼
農芸化学@High School
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