化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
49 巻, 11 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 塚本 佐知子, 横沢 英良
    2011 年 49 巻 11 号 p. 745-754
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    生命現象はタンパク質の生合成と分解のバランスの上に成り立っている.多くの機能タンパク質はユビキチン化され,プロテアソームによって分解される.このユビキチン依存的タンパク質分解は様々な生命現象に関与し,その破綻は病気につながることから,このタンパク質分解に関する研究が爆発的に進展している.さらに,この分解に関与する複雑な酵素系(ユビキチン-プロテアソームシステム)を標的とする創薬研究も新たな治療戦略として注目されている.
  • 濵田 季之
    2011 年 49 巻 11 号 p. 755-761
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    ポリセオナミド類は海綿から単離された強力な細胞毒性を示すポリペプチドであり,構造決定された二次代謝産物の中では最大の分子量を有する.多くの異常(非天然型)アミノ酸を含むこと,D体とL体のアミノ酸残基が交互に並んでいること,有機溶媒中において6残基で一回転するβヘリックス構造をとることなど,これまでに類を見ない天然有機化合物である.ここでは,ポリセオナミドBの化学構造および三次元構造の決定法について解説しながら,天然有機化合物の構造決定の意義や魅力について紹介する.
  • cell-in-cell活性を中心として
    竹内 誠人
    2011 年 49 巻 11 号 p. 762-769
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    免疫抑制機能をもつT細胞サブセットの一つ,制御性T細胞 (Treg : Regulatory T cells) の仲間に,新たに “HOZOT” と命名されたヒト細胞株が加わった.キラー活性,サプレッサー活性やヘルパー活性を同時に併せもち,抗炎症性サイトカインのIL-10を高産生し,RANTESなどのケモカインも高産生する多機能性の免疫細胞であるHOZOTは,癌細胞の細胞質に積極的に侵入する(cell-in-cell活性)というユニークな挙動を示す.この性質を利用した新しい癌治療法の開発に期待がかかっている.
  • 山口 雅利, 大谷 美沙都, 出村 拓
    2011 年 49 巻 11 号 p. 770-777
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    植物細胞の特徴の一つとして,細胞膜の外側に形成される細胞壁が挙げられる.特に維管束木部の道管細胞や繊維細胞などでは,通常の細胞壁に加えて,その内側に肥厚した二次(細胞)壁と呼ばれる構造が形成される.細胞壁の主要成分はセルロースやヘミセルロースなどの多糖であるが,二次壁にはさらにリグニンと呼ばれるフェノール性化合物が多く含まれており,細胞に機械的強度や化学的・生物学的抵抗性を与えている.近年の植物分子生物学の進展は,二次壁形成を制御する転写因子ネットワークの一端を明らかにしつつある.ここでは,これら転写因子に関する最新の知見を概説する.
  • 庄司 翼, 橋本 隆
    2011 年 49 巻 11 号 p. 778-783
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    植物アルカロイドには顕著な薬理活性を示す化合物が数多く含まれている.ニコチンは防虫性化合物としてタバコ属植物で合成,蓄積されるアルカロイドである.低ニコチン含量を示す変異株において,複数のニコチン生合成遺伝子が発現抑制されていることが知られている.最近,この変異体の原因遺伝子座の1つに,生合成遺伝子群を統括的にコントロールする転写因子をコードする遺伝子がクラスター化していることが明らかになった.マスター転写因子を利用した新たな代謝工学の可能性についても考察する.
セミナー室
「化学と生物」文書館
緊急企画
農芸化学@High School
  • 斉藤 有衣, 定守 加奈子
    2011 年 49 巻 11 号 p. 803-804
    発行日: 2011/11/01
    公開日: 2012/11/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,平成23年度日本農芸化学会大会(開催地,京都)での「ジュニア農芸化学会」において発表予定であったが,残念ながら東日本大震災によって大会が中止となったため,日本農芸化学会和文誌編集委員会によって本研究を選定し,掲載することとなった.本研究では,地元で盛んな醤油醸造に着目し,醤油のもろみをつくるタンパク質分解酵素の働きを調べることや,もろみづくりに手を加えてカラフルな醤油をつくることを試みている.「カラフルな醤油を着色料を使わずにつくることができれば地元に貢献できるのではないか」というユニークな着想が評価された.
feedback
Top