化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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50 巻, 10 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 絶食やPair-feedingに伴うさらなる混乱
    池田 郁男
    2012 年 50 巻 10 号 p. 710-716
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
    肥満や脂質代謝改善を目的として食品成分の機能性を調べる研究において動物試験は必須である.最近の多くの研究では,肝臓での脂質代謝関連タンパク質のmRNA発現量や酵素活性を測定し,代謝変動の機構を推定している.しかし,これらのパラメータの変動は必ずしも実際の代謝と一致しない.さらに,多くの動物試験において屠殺時に実施される絶食や,食品成分摂取により摂食量が変化する場合に摂取エネルギー量を一致させるために施されるPair-feedingは,脂質代謝に極めて重大な影響を与えるため,誤った結論を導く可能性がある.少なくとも研究者はこれらの点に十分配慮し,研究をすすめることが肝要である.
  • 吉川 宗一郎, 烏山 一
    2012 年 50 巻 10 号 p. 717-722
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
    好塩基球は,末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない極少細胞集団であるが,進化的に多くの動物種で保存されており,その存在も古くから知られている顆粒球の一種である.しかし,アレルギーの原因細胞として注目されてきたマスト細胞と特徴が多く共通しているため,好塩基球はマスト細胞のバックアップ的存在であると考えられ,長い間ほとんど研究の対象とされることはなかった.ところが近年,好塩基球を解析するツールが次々と開発され,これまで知られていなかった好塩基球のユニークな働きが次々と明らかにされた.まさに,好塩基球研究のルネサンス時代の到来といってもよい.今では好塩基球は,マスト細胞とは全く異なる固有の機能を有した,慢性・即時性アレルギー,および,寄生虫感染にも重要な役割を果たす,Th2型反応のキープレーヤーとして認知される存在である.
  • 渡辺 大輔
    2012 年 50 巻 10 号 p. 723-729
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
    清酒は,世界の醸造酒の中で最もアルコール度数の高い飲料の一つであり,長年育まれてきた高い醸造技術によりその製造が可能となった.特に,清酒中のエタノールやさまざまな香味成分を生産する「清酒酵母」については,先人たちがより旨い清酒をより効率的に造るために多くの試行錯誤を繰り返した結果,現在のような優れた醸造特性を有する菌株群にたどり着いたのだろうと推測される.では,この清酒酵母を清酒酵母たらしめる原因とは一体何であろうか? 近年行われた清酒酵母のゲノム解析およびトランスクリプトーム解析の結果を活用することにより,清酒酵母の特長を生み出すメカニズムが遺伝子レベルで徐々に明らかになってきたので,現在までに得られた知見について紹介する.
  • 玉木 秀幸, 鎌形 洋一
    2012 年 50 巻 10 号 p. 730-741
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
    21世紀最初の10年は,環境微生物学・微生物生態学における第二の革命期であったと言えるだろう.言うまでもなく,それは次世代シークエンサーの登場とそれを活用した環境ゲノム解析技術の驚くべき発展によるものである.1990年代の16S rRNA遺伝子に基づいた培養に依存しない複合微生物系解析技術の誕生による第一の革命期から,大規模シークエンシング技術による環境ゲノム科学の時代を経て,今後期待される第三の革命は何であろうか.筆者らは,環境微生物の分離培養技術の革新がそれにあたるのではないか,と考えている.本稿では,環境ゲノム解析の現状を概観しつつ,この大規模シークエンス解析時代の中で少しずつ光の見えてきた未知微生物探索の現状と課題について述べる.
セミナー室
「化学と生物」文書館
  • 植物と光の関係を調べて,脂肪酸合成の鍵酵素に出会う
    佐々木 幸子
    2012 年 50 巻 10 号 p. 756-760
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
    21世紀は生命科学の時代と言われる.20世紀には物理学と化学の基本原理が明らかにされ,それに基づき分子のレベルで生命体を研究できるようになり,多くの発見が期待できるからである.20世紀後半の生命科学の発展初期に遭遇した私は,胸をときめかして研究生活を過ごした.しかし,「女は賄をやっとれ」とか「女でしゃばるな」という考えの方々が学界運営の中心におられた時代であったため,女性が自由に研究できるような雰囲気はなく,学界は男社会であった.このような時代に,好奇心に引っ張られて,逆風を気にせずに試行錯誤を繰り返して漂流した.それらの研究の一部が定説を偶然書き換えることになった.ここではその経緯をたどってみる.
  • 佐々木 隆造
    2012 年 50 巻 10 号 p. 761-767
    発行日: 2012/10/01
    公開日: 2013/10/01
    ジャーナル フリー
鈴木梅太郎博士 ビタミンB1発見100周年祝典・記念シンポジウム
バイオサイエンススコープ
農芸化学@High School
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