化学と生物
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51 巻, 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 天知 誠吾
    2013 年 51 巻 5 号 p. 286-293
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル フリー
    ヨウ素は人類の必須元素である一方,放射性ヨウ素のリスクに対する関心も高まっている.ヨウ素はさまざまな生物地球化学的プロセスを経て,地球環境中をダイナミックに循環している.近年,ヨウ素循環への環境微生物の関与が明らかになりつつある.ここでは,無機ヨウ素の酸化・還元を行う細菌について概説する.前者はヨウ素を化学兵器として,後者はヨウ素を呼吸の最終電子受容体として利用している.このような特異な細菌が,放射性ヨウ素を含むヨウ素の環境挙動や動態に寄与している可能性がある.
  • 肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病とのかかわり
    北田 宗弘, 古家 大祐
    2013 年 51 巻 5 号 p. 294-301
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル フリー
    栄養応答シグナルは,アミノ酸やグルコースなどの栄養素摂取や活動により刻々と変化する細胞内のエネルギー状態を認識し,個体のエネルギー・栄養代謝の恒常性を維持している.栄養過剰状態では,栄養応答シグナルの調節不全として,mTOR経路(栄養過剰シグナル)増強やSIRT1, AMPK(エネルギー不足感受シグナル)の減弱が生じることで,エネルギー代謝の恒常性が正の方向へ破綻する.その結果,肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病を引き起こしている可能性が考えられるため,栄養応答シグナル調節不全の是正,すなわちmTOR経路抑制やSIRT1, AMPK活性化が治療標的として期待できる.
  • 山村 健介
    2013 年 51 巻 5 号 p. 302-309
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル フリー
    近年脳血管障害の後遺症などで摂食・嚥下機能に障害をもつ患者が増加している。この私たちがふだん何気なく行っている「口から食べて飲む」という行為(摂食・嚥下)は、さまざまな運動要素が連続的・同時進行的に行われる複雑な運動である。また、それに伴いさまざまな感覚情報が生じ、これらは運動制御に利用されたり、大脳で認知され記憶にとどめられる。これらの機能を制御するのが脳であり、摂食・嚥下を営むためには脳のさまざまな部位の活動が必要不可欠である。本稿では摂食・嚥下機能を神経生理学の立場から解説したい。
  • イネにおけるファイトアレキシン生産の制御機構
    宮本 皓司, 岡田 憲典
    2013 年 51 巻 5 号 p. 310-317
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2014/05/01
    ジャーナル フリー
    自由に生息場所を移動できない植物は,外敵から身を守るためにさまざまな化学物質を生産しその侵略に対抗する.これらの化学物質のなかには病虫害などに対する防御物質として知られているものも存在しているが,それらの生合成を担う遺伝子はそのほかの代謝産物の生合成遺伝子と同様に,ゲノム中に散らばって存在していると考えられてきた.しかし,近年,ある種の防御物質生産に関与する一連の生合成遺伝子がゲノム中において集中して存在し,遺伝子クラスターを形成していることが報告された.さらに,その存在は複数の植物種において見いだされていることから,生合成遺伝子のクラスター化は植物のゲノム構造における特徴の一つとして理解され始めている.本稿では,植物の遺伝子クラスターの最新の知見について述べるとともに,われわれが現在進めているイネの生合成遺伝子クラスターの転写制御機構の研究成果について解説する.
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