非Hodgkinリンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma; NHL)に自己免疫性溶血性貧血を合併することはまれではない。今回われわれは,NHLに寒冷凝集素症を合併した2症例を経験した。症例1: 38歳,男性。頚部リンパ節生検により瀰漫性中細胞型NHLと診断。また,Hb 7.6 g/d
l, 直接・間接クームス陽性,寒冷凝集素32,768倍,血清ハプトグロビン10 mg/d
l以下,IgM 890 mg/d
l(I特異性)より寒冷凝集素症と考えられた。COP-BLAM療法により完全寛解(CR)となり,寒冷凝集素の低下および貧血の改善を認めた。症例2: 68歳,女性。鼠径部リンパ節生検にて濾胞性混合型NHLと診断。また,Hb 8.2 g/d
l, 直接・間接クームス陽性,寒冷凝集素51,200倍,IgM 920 mg/d
l(I特異性)より寒冷凝集素症の合併と考え,Biweekly COP-BLAM療法を施行。CRとなり寒冷凝集素の低下,貧血の改善を認めた。2例ともNHLの寛解と共に寒冷凝集素が低下していることより,リンパ腫による抗体産生系の異常により赤血球自己抗体の産生が起こったと考えられた。
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