症例は61歳の男性。2000年10月,発熱のため近医受診。芽球様細胞を含む白血球増加と血小板減少を認めたため,11月に当科紹介入院。身体所見では軽度の脾腫を認めたが,リンパ節腫脹は認めなかった。白血球数は10,520/μ
lと増加し,芽球様細胞が45.0%を占め,血小板数は5.1×10
4/μ
lと減少していた。骨髄でも芽球様細胞を82.0%認め,CD5, 10, 13, 19, 20が陽性であった。骨髄クロット標本の免疫組織化学ではCD5が陽性で,TdT, CD23, cyclin D1はいずれも陰性であった。以上より,CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の白血化と診断した。2コースのCHOP療法で完全寛解を得たが,絞扼性イレウスのため3カ月間治療を中断した。第3コースのCHOP療法後,再発し死亡した。CD5陽性DLBCLは高齢発症で,節外性病変が多く,予後不良であるという特徴をもち,適切な治療戦略の確立が望まれる疾患単位と考えられる。
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