症例は77歳,女性。1993年Sézary症候群と診断され,prednisolone, interferon α, methotrexate, cyclosporin A等で治療を受けてきた。2002年7月,肺炎と心不全で当院に入院した。白血球数は23,900/μ
lで28%がSézary細胞であった。抗生剤により肺炎は軽快し,それに伴って心不全も改善した。しかし,血清クレアチニンが上昇し始め,種々の治療に抵抗性で4.0 mg/d
lまで上昇し,同年9月無尿となり死亡した。剖検では腎尿細管や血管周囲に異常リンパ球の高度な浸潤を認め,著明な尿細管壊死がみられた。他に皮下,肝,脾,肺,骨髄に同様の細胞浸潤がみられた。浸潤細胞は免疫染色ではCD45RO, CD3, CD4, CD5が陽性であった。類縁疾患の菌状息肉症では少数の腎浸潤の報告がみられるが,Sézary症候群では腎浸潤の報告は見当たらず,本例が最初の報告例と考えられる。
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