臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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51 巻, 11 号
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第71回日本血液学会学術集会
シンポジウム2
シンポジウム7
症例報告
  • 中村 裕一, 茅野 秀一, 掛川 絵美, 内田 優美子, 島田 恒幸, 脇本 直樹, 伊藤 善啓, 別所 正美
    2010 年 51 巻 11 号 p. 1674-1679
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳男性。2003年12月,左眼瞼結膜腫瘤のため当院を受診。生検の結果,MALTリンパ腫と診断された。左眼瞼に放射線照射を行い,腫瘤は消失した。その後徐々にリンパ球増加を示し,2009年5月には白血球34,300/μl(異常リンパ球80%)となった。異常リンパ球は,表面に毛髪様突起を有し,核は円形で核小体は不明瞭であり,酒石酸抵抗性酸ホスファターゼは陰性~弱陽性,CD11c, CD19, CD20, CD103が陽性で,hairy cell leukemia Japanese variant (HCL-Jv)と診断した。骨髄では静脈洞内を主体とした異常リンパ球の浸潤が認められた。軽度の脾腫がみられているが,リンパ節腫脹・貧血・血小板減少はなく,無治療で経過観察としている。MALTリンパ腫とHCL-Jvとで,免疫グロブリン軽鎖の発現および重鎖遺伝子の再構成は異なっており,本例における2つの成熟B細胞腫瘍は別個のクローン由来と考えられた。HCL-Jvと他のリンパ系腫瘍との合併例の報告は検索した範囲ではこれまでになく,今後症例を蓄積しての解析が必要と考えられる。
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