症例は77歳,男性。咳嗽,息切れのため他院入院。好酸球増多,肺野網状浸潤影を認めたことからステロイドパルス療法を受けたが,好酸球増多が持続するため当科へ転院。骨髄の異常好酸球増多,染色体4q12欠失,
FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を確認し,慢性好酸球性白血病(CEL)と診断した。低用量イマチニブ投与を開始したが,進行性の浮腫を生じたため中止。少量ダサチニブ20 mg/日で治療再開したところ浮腫は改善し,約3カ月の継続投与後に分子遺伝学的寛解を達成した。本症例は,CELに低用量のダサチニブを使用し,有効であった最初の報告である。ダサチニブ血中濃度はトラフ6.1 nM, ほぼピーク値(Cmax)と考えられる内服後1時間値は55.3 nMであり,
in vitroの50%細胞増殖阻止濃度をはるかに超えていた。高齢患者は薬剤不耐容となりやすく,標準量投与が困難な場合が多いため,薬剤血中濃度の評価が効果判定や有害事象の軽減に有用と考えられた。
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