化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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51 巻, 11 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 機能性脂肪酸生産と腸管内脂質代謝制御への展開
    岸野 重信, 小川 順
    2013 年 51 巻 11 号 p. 738-744
    発行日: 2013/11/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    乳酸菌は,プロバイオティクスとして様々な機能が報告されている馴染みの深い腸内細菌の一種である.しかし,腸内細菌に特異な様々な代謝についてはあまり研究がなされていない.筆者らは,乳酸菌の脂肪酸代謝を活用した共役脂肪酸生産について詳細に解析していく過程で,乳酸菌の不飽和脂肪酸飽和化代謝の解明に至った.本代謝は,複数の酵素が関与する複雑な代謝であり,特異な構造を有する希少脂肪酸を中間体としていることを明らかにした.また,これらの中間体の効率的な生産法を検討し,新たな希少脂肪酸ライブラリーの構築に成功した.
  • 黒田 公美
    2013 年 51 巻 11 号 p. 745-753
    発行日: 2013/11/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    人間を含め,哺乳類の子は幼弱に生まれるため,哺乳をはじめとして身体をきれいに保つ,保温する,外敵から守るといったさまざまな親からの養育(子育て)を受けなければ成長することができない.そのため親の脳には養育行動に必要な神経回路が生得的に備わっている.一方,子の側も受動的に世話をされるだけの存在ではなく,親を覚え,後を追い,声や表情でシグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行って親との絆を維持している.親の養育が不適切な場合でも通常子から親を拒否することはなく,親をなだめ,しがみつき,何とか良い関係を取り戻そうと努力する.社会や自然界でごく当たり前に営まれている親子関係は,実はこのように親子双方の日々の活動によって支えられているのである.親子関係はすべての哺乳類の存続に必須であるため,子の愛着・親の養育本能を司る脳内メカニズムも基本的な部分は進化的に保存されていると考えられる.したがってマウスモデルを用いた愛着・養育行動研究が,将来的にヒトの親子関係とその問題の解明に役立つことは十分期待できる.本稿では,マウスを用いた最近の研究を中心に,養育行動の概要とそれを制御する分子神経機構についてご紹介する.
  • 裏出 良博
    2013 年 51 巻 11 号 p. 754-762
    発行日: 2013/11/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    現在日本では睡眠に不満をもつ人の割合は20%以上にもなる.私たちは内因性睡眠物質であるプロスタグランジンD2 やアデノシンによる睡眠誘発の情報伝達系をさまざまな遺伝子操作動物を用いて解析し,睡眠覚醒調節の全体像を明らかにしてきた.さらに,実験動物の脳波測定システムを応用して,睡眠覚醒調節作用をもつ天然素材の探索を進め,自宅での睡眠測定が可能な人間用の携帯型脳波計を開発した.これらの研究は睡眠の科学的な理解を深め,医療費の削減や国民の公衆衛生に大きく貢献する.
セミナー室
化学の窓
農芸化学@High School
  • 山口 夏希, 長田 茉莉, 新谷 愛佳, 吉田 真歩子
    2013 年 51 巻 11 号 p. 777-779
    発行日: 2013/11/01
    公開日: 2014/11/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本農芸化学会2013年度大会(開催地:東北大学)での「ジュニア農芸化学会」において発表され,銅賞を表彰された.レインボー植物は,白い花の花弁を染料で着色して虹色に染め分けた一種の造花であるが,花弁ごとに異なる色で均一に染め分けることは難しいとされる.発表者たちは,植物の吸水・蒸散と花弁の染まり方との関係を調べるとともに,花茎から花につながる維管束構造を丹念に観察することで,花弁が均一に染色される条件および花弁ごとに染め分ける方法を追求しており,得られた結果は非常に興味深いものとなっている.
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