臨床血液
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43 巻, 2 号
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第43回総会
教育講演4
教育講演5
教育講演9
シンポジウム2
末梢血幹細胞移植;臨床試験と免疫学的考察
症例
  • 平山 泰生, 坂牧 純夫, 辻 靖, 佐川 保, 中島 隆晴, 松永 卓也, 古川 勝久, 加藤 淳二, 新津 洋司郎
    2002 年 43 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は43歳女性,平成10年7月,発熱,LDH上昇,transaminase上昇,皮疹,咽頭痛,関節痛,貧血,血小板減少にて当科紹介入院となった。入院後の骨髄検査で組織球5.5%と増加しておりまた,活発な血球貪食像を認め血球貪食症候群(HPS)と診断した。入院後血球数は自然回復しHPSは沈静化したが,それ以外の症状は持続,さらに白血球が自然に増加(>15,000/μl)し,成人Still病と診断した。全ての症状はprednisolone 30 mg/day投与にて軽快した。血中TNF-α, IFN-γはHPSの期間著明増加していたが,その後,低下傾向を示し,Still病の症状の増悪とともにIL-6の著増がみられた。これらのサイトカインはprednisolone投与後正常化した。
  • 垣花 和彦, 水地 大輔, 山口 光子, 坂下 千瑞子, 福田 哲也, 山本 晃, 三木 徹, 東田 修二, 小山 高敏, 村上 直已, 三 ...
    2002 年 43 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は45歳の男性。1998年2月白血球増多を指摘され,慢性骨髄性白血病(慢性期)と診断。hydroxyurea, interferon-αを投与されたが,細胞遺伝学的効果は認められず,同年12月trisomy 8が出現した。2000年12月より脾腫が出現し,2001年1月12日腰痛と高カルシウム血症(16.0 mg/dl)を認め,入院となった。vincristine, prednisolone, incadronate投与により脾腫と高カルシウム血症は改善した。治療終了後に脾腫が再増悪,末梢血中にCD13, CD33陽性の芽球が31%出現したため,myeloid crisisと診断し,vindesine, cytarabine, prednisoloneによる化学療法を行い脾腫は改善した。高カルシウム血症出現時の血清副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein, PTHrP)が118.3 pmol/lと上昇し,また末梢血単核球細胞にRT-PCR法にてPTHrPのmRNAの発現を認め,培養上清中にPTHrPの分泌が確認された。以上より,本症例は慢性骨髄性白血病急性転化時に,白血病細胞が産生したPTHrPによる高カルシウム血症を呈したきわめて興味深い症例と考えられる。
  • 進藤 岳郎, 湯本 義一, 吉田 道明, 奥田 哲也
    2002 年 43 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳の女性で,2000年8月に腰痛と食思低下のため当科を受診した。血液検査にて貧血・高カルシウム血症・腎機能障害を認めたほか,末梢血中に形質細胞の出現を認めた。骨髄中有核細胞の49.6%を形質細胞が占め,これらはCD38陽性でCD19·CD56陰性であった。M成分は血中・尿中ともに検出されなかったが,骨髄クロット標本を用いた酵素抗体染色法にて形質細胞の細胞質中にIgGが陽性,κ鎖が弱陽性であった。よって非分泌型原発性形質細胞性白血病(IgG-κ型)と診断しVAD療法を施行したところ著効し,寛解が得られた。その後MP療法を継続中だが,初診より15カ月後の現在まで再発は認めていない。非分泌型の原発性形質細胞性白血病の報告はまれであり,本症例は形質細胞と骨髄ストローマ細胞との間の接着分子としてのCD56の生理的意義や,本疾患に対する多剤併用化学療法の有効性につき示唆に富む。よってここに報告するとともに,以上につき文献的に考察した。
  • 下川 高賢, 斉藤 稔, 小島 由美, 竹山 英夫
    2002 年 43 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は31歳の女性。平成12年1月末より全身倦怠感,食思不振を訴え,近医受診。白血球増多を指摘され,2月初旬に紹介入院となる。骨髄穿刺および表面マーカーの検査で,myeloid/natural killer cell precursor acute leukemiaと診断し,JALSG AML97プロトコールによる寛解導入療法を開始した。寛解後,地固め療法を繰り返し同年8月にHLA表現型一致の父親をドナーとして同種末梢血幹細胞移植をおこなった。移植後,急性GVHD (grade II)やthrombotic microangiopathyによる虚血性腸炎を合併したが治療により軽快した。移植後15カ月以上経過しているが現在まで再発を認めていない。myeloid/natural killer cell precursor acute leukemiaは,最近提唱された新しい疾患単位の白血病であるが再発が多く長期予後は不良であり,今後,造血幹細胞移植を含めた積極的な治療が必要と考えられる。
  • 安部 康信, 牟田 耕一郎, 平瀬 伸尚, 崔 日承, 松島 孝充, 原 敬一, 田口 文博, 末松 栄一, 柴田 恵介, 鵜池 直邦, 西 ...
    2002 年 43 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    白血病細胞株におけるアポトーシス誘導作用や分化誘導作用が報告されているビタミンK2(メナテトレノン45 mg/日)を骨髄異形成症候群(MDS)症例23例(RA13例,RARS2例,RAEB6例,RAEB-T2例)に対して使用し,その効果について検討した。有効例の定義としてヘモグロビン値が輸血なしで2 g/dl以上の増加を認めた例をgood response (GR), 1∼2 g/dlの増加を認めた例をpartial response (PR)とした。有効例はRAの6例(GR3, PR3)のみに認められ,いずれも貧血のみの改善であった。活性化ビタミンD3製剤や蛋白同化ホルモンとの併用あり,骨髄正~過形成および輸血非依存群において,有効例が多い傾向が認められた。効果発現までの期間も平均3月と比較的短く,また特に副作用も認めないことより,ビタミンK2はMDSに対して試みる価値があると考えられた。
  • 若尾 大輔, 川井 信孝, 桑山 善夫, 三角 素弘, 佐藤 泰隆, 島田 恒幸, 秋葉 美樹, 岸本 国也, 吉田 勝彦, 脇本 直樹, ...
    2002 年 43 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    Systemic capillary leak syndrome (SCLS)は,突然に血漿蛋白質が血管外に漏出することにより血圧低下,浮腫,ヘマトクリットの上昇をきたしmonoclonal gammopathyを伴う原因不明の疾患である。われわれは腹痛を主訴に救急外来を受診し,この際Hb 26.2 g/dlという著明な多血症を認め血液内科に入院となった30歳の男性症例を経験した。本例の多血症は血液濃縮による見かけ上のもの(偽性多血症)と考えられ,ヘマトクリットの上昇,下肢を中心とした全身性の浮腫,M蛋白の存在からSCLSと診断した。治療として細胞外液成分の輸液とアルブミンの投与を行い,一旦は寛解状態となったが,以後も多血症,浮腫,血圧低下の発作を繰り返している。発作予防として硫酸テルブタリン,テオフィリンやステロイドを投与し,その後は重篤な発作は起こらず治療効果を認めている。SCLSは重症多血症として血液内科に入院する可能性があり,著明な多血症を呈する疾患の鑑別には本症を常に念頭に置くことが,重要であると考えられたため報告した。
短報
  • 牟田 毅, 岡村 孝, 大島 孝一, 菊池 昌弘, 仁保 喜之
    2002 年 43 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/07/28
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    An 84-year-old man was admitted with pleural lymphomatous effusion and bone marrow infiltration. The abnormal cells from the effusion showed abundant basophilic cytoplasm, large atypical nuclei, and small nucleoli with frequent mitosis. The abnormal cells were found to be CD5+, CD10+, CD19+, and CD20+ by flow cytometry, and had clonal rearrangements of the IgH-JH gene, indicating the existence of a clonal B-cell population. No bcl-1, bcl-2, bcl-6, or c-myc rearrangement was found. Neither human herpesvirus 8 (HHV-8) nor Epstein-Barr virus was detected in the abnormal cells. Tetraploid chromosomal abnormality was present. After administration of prednisolone, transient disappearance of the effusion was obtained.
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