症例は45歳の男性。1998年2月白血球増多を指摘され,慢性骨髄性白血病(慢性期)と診断。hydroxyurea, interferon-αを投与されたが,細胞遺伝学的効果は認められず,同年12月trisomy 8が出現した。2000年12月より脾腫が出現し,2001年1月12日腰痛と高カルシウム血症(16.0 mg/d
l)を認め,入院となった。vincristine, prednisolone, incadronate投与により脾腫と高カルシウム血症は改善した。治療終了後に脾腫が再増悪,末梢血中にCD13, CD33陽性の芽球が31%出現したため,myeloid crisisと診断し,vindesine, cytarabine, prednisoloneによる化学療法を行い脾腫は改善した。高カルシウム血症出現時の血清副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein, PTHrP)が118.3 pmol/
lと上昇し,また末梢血単核球細胞にRT-PCR法にてPTHrPのmRNAの発現を認め,培養上清中にPTHrPの分泌が確認された。以上より,本症例は慢性骨髄性白血病急性転化時に,白血病細胞が産生したPTHrPによる高カルシウム血症を呈したきわめて興味深い症例と考えられる。
抄録全体を表示