臨床血液
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51 巻, 5 号
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Picture in Clinical Hematology No.44
臨床研究
  • 足立 陽子, 角熊 俊也, 鏡 亮吾, 西尾 晃, 赤坂 浩司, 常峰 紘子, 小高 泰一, 平松 靖史, 多田 寛
    2010 年 51 巻 5 号 p. 315-319
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    抗真菌薬“イトラコナゾール内用液”は,造血器悪性腫瘍患者に対して真菌感染症予防を目的に投与されるなど,その有用性が知られている。一方で,同薬には固有の苦味があり,服薬困難となってアドヒアランス低下につながるケースが散見されていた。そこで,今回われわれは,同薬をオレンジジュースと一緒に服薬する方法(オレンジジュース群)を考案し,薬剤吸収(血中濃度)および飲みやすさ(5段階味覚評価)への影響を検討した。その結果,水で服薬した場合(対照群)と比べて,オレンジジュース群の血中濃度に差異は無く,飲みやすさで改善が認められた。本法は臨床現場で簡便かつ安全に実施でき,服薬アドヒアランスの向上に期待できるものと考えられた。
症例報告
  • 高井 和江, 新國 公司, 渋谷 宏行, 橋立 英樹
    2010 年 51 巻 5 号 p. 320-325
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    骨髄巨核球増加と軽度の骨髄線維化を伴う高度の血小板減少に,高熱,胸腹水,肝脾腫,リンパ節腫脹を伴い,診断・治療に苦慮した3症例を経験した。47歳女性は脾原発悪性リンパ腫の疑いでCHOP療法1コース施行後,ステロイドを継続し軽快した。減量による再燃を繰り返し,ステロイド維持療法中である。56歳男性はステロイドパルス療法,摘脾が無効で,肝・脾に特異な組織学的所見を認めず,Cyclosporin Aで寛解した。49歳男性はリンパ節生検で傍皮質過形成と血管増生,胚中心の萎縮を認め,Hyaline-vascular型Castleman病やPOEMS症候群に類似の所見を示したが非特異的所見で確定診断得られず。ステロイドパルス療法無効で多臓器不全で死亡した。剖検でCMV感染症と血球貪食性組織球症を認めたが悪性リンパ腫の所見は認めず。本病態は既知の疾患に該当せず,免疫異常を背景にした全身炎症性疾患に含まれる1病型と認識し,速やかな免疫抑制療法が必要と考えられる。
  • 根本 朋恵, 斉藤 友理子, 得平 道英, 富川 武樹, 佐川 森彦, Yuichiro HABA, 半澤 京子, Yasunobu SEK ...
    2010 年 51 巻 5 号 p. 326-331
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    症例は83歳,女性。1ヶ月前から動悸,倦怠感が出現,近医にて白血球増加を指摘され,当科入院となった。入院時,末梢血白血球数は186,300/μlと著増し,幼若な芽球様好酸球が9割以上を占めていた。この好酸球はCD7/13/33/34/DR陽性,染色体は47,XX,+8であり,末梢血におけるFIP1L1/PDGFRα融合遺伝子は陰性であった。原病による胸水が進行性に増悪し,prednisolone (PSL)およびhydroxyurea (HU)を開始したが,効果は部分的であった。ステロイドパルス療法を施行後,さらにimatinib 100 mg/日を開始したところ,急激な好酸球の減少を認め,腫瘍崩壊に伴う急性腎不全及び凝固異常が出現した。人工透析,輸血など行なうも全身状態は悪化し,肺胞出血が出現,呼吸状態の悪化を来たし死亡した。
  • 森 美奈子, 井上 大地, 有馬 浩史, 瀧内 曜子, 永野 誠治, 木村 隆治, 下地 園子, 永井 雄也, 田端 淑恵, 柳田 宗之, ...
    2010 年 51 巻 5 号 p. 332-338
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    Angioimmunoblastic T cell Lymphoma (AITL)は標準的化学療法に抵抗性のため予後不良である。代替治療としてcyclosporin A (CyA)の有効性が報告されている。我々は4例の治療抵抗性AITLに対しCyAを経口投与した。用量はCyA血中濃度がトラフ値で200 ng/mlになるように設定した。1例目は第1寛解期に自家移植を行い移植後3ヶ月で再発したが,CyAを使用し速やかに再寛解に至った。2例目は経過中に白血化したが,CyAで完全寛解に至り,1年以上寛解を維持している。しかし,3例目はCyAは無効で早期死亡した。4例目においてはCyAにより末梢血中の異常リンパ球が消失し,リンパ節腫脹も改善した。これまで多剤化学療法抵抗性AITLに対しCyAを単剤で使用し完全寛解に至った報告例は無く,また白血化AITLに対しても有効であることが示唆された。難治性AITLに対しCyAは有望な治療選択肢と考えられ,今後前向き臨床試験でその有用性が検討されるべきである。
  • 高崎 啓孝, 立花 崇孝, 田中 正嗣, 丸田 壱郎, 石ヶ坪 良明, 金森 平和
    2010 年 51 巻 5 号 p. 339-344
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    症例は47歳,男性。2009年6月に全身倦怠感を主訴に近医を受診した。末梢血に芽球を認め,急性白血病が疑われ,当科に紹介された。骨髄検査でミエロペルオキシダーゼ染色(MPO)陽性,エステラーゼ染色陰性の芽球を認めた。Flow cytometry (FCM)検査による細胞表面抗原はCD2, cyCD3, CD5, TdT, CD13が陽性,染色体分析は46,XY[18/20], 46,XY,t(1;11)(q21;p15)[1/20], 47,XY,+11[1/20]であった。また,左胸水貯留を認めたため,胸腔穿刺を行い,髄外浸潤と診断した。以上より,Mixed phenotype acute leukemia, T/myeloid, NOSと診断した。ALLに準じた治療で寛解導入療法を行ったが,CD13, CD33, MPOを発現している芽球の残存を認め,AMLに準じた治療で再寛解導入療法を行ったところ,完全寛解を得た。地固め療法後に同種骨髄移植を予定している。急性混合性白血病は稀な疾患群で標準的治療法はないが,本例では白血病細胞の表面抗原検査に基づいた治療選択が有用であった。
  • 小倉 妙美, 梶梅 輝之, 世羅 康彦, 川口 浩史, 小畠 牧人, 岡本 恭明, 大塚 欣敏, 松元 加奈, 森田 邦彦, 小林 剛, 大 ...
    2010 年 51 巻 5 号 p. 345-348
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    症例は慢性肉芽腫症の26歳男性。前医のCT検査で肝膿瘍を認め,β-Dグルカン,ガラクトマンナン抗原陽性,膿瘍の培養結果からアスペルギルス肝膿瘍と診断された。併発した多発性肝膿瘍のため肝切除,およびHLA一致同胞からの造血幹細胞移植を視野に入れ,治療目的で当院へ入院。抗生剤やドレナージでのコントロールは困難と判断し,肝後区域(S6, S1)切除後,膿瘍は一旦軽快した。しかし1ヵ月後に残存肝臓に膿瘍の再発を認め,HLA一致兄からの骨髄移植を検討した。骨髄移植時期の肝膿瘍増悪対策の一つとして,Liposomal Amphotericin B製剤25 mg/日の持続肝動注を開始,全身状態の悪化や副作用もなく安全に投与可能であった。その後も感染症の再燃は認めず,骨髄移植を施行し,移植後経過は良好で,肝膿瘍も消失した。L-AMBの肝動注療法は肝膿瘍の治療手段として有効な投与方法と考えられた。
短報
  • 川崎 泰史, 中空 達樹, 鈴川 宗弘, 富永 貴元, 王 占奎, 篠原 健次
    2010 年 51 巻 5 号 p. 349-352
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル 認証あり
    A 59-year-old man with primary myelofibrosis developed motor and sensory neurological disturbance of the legs. Magnetic resonance imaging (MRI) demonstrated a mass lesion of the thoracic vertebra at Th4-6, and in the thoracic vertebral canal at Th4-9, which compressed the spinal cord. Needle biopsy of the mass lesion demonstrated extramedullary hematopoiesis. Initial treatment with bolus methylprednisolone was ineffective and, after subsequent radiation therapy, the mass lesion disappeared and the neurological symptoms ameliorated; however, regrowth of the extramedullary lesion was observed one month later. Surgical resection of the extramedullary lesion, laminectomy, and subsequent radiation were performed. The clinical course after the final treatment was good with no neurological symptoms, although the follow-up period is still short.
  • 東山 明日美, 橋野 聡, 小野澤 真弘, 高畑 むつみ, 岡田 耕平, 加畑 馨, 谷口 菜津子, 南須原 康行, 久保田 佳奈子, 藤本 ...
    2010 年 51 巻 5 号 p. 353-356
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/09
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    A 61-year-old man was admitted to our hospital with dyspnea on effort. Neither computed tomography scan nor chest X-ray film detected any specific findings that could explain hypoxemia. Since 67Ga scintigraphy showed abnormal uptake in the bilateral lungs, transbronchial lung biopsy (TBLB) was performed. The TBLB specimen was diagnosed as intravascular large B-cell lymphoma (IVLBCL). There was no involvement of any other organ considered typical of IVLBCL. In cases showing clinical findings such as hypoxia despite mild pulmonary radiographic changes, a definitive diagnosis should be made using methods such as TBLB with consideration given to the possibility of IVLBCL.
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