臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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55 巻, 2 号
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Picture in Clinical Hematology
特集:造血器疾患 ―最新の治療戦略(造血幹細胞移植)―
特集:造血器疾患 ―最新の治療戦略(リンパ系疾患)―
症例報告
  • 藤井 輝久, 齊藤 誠司
    2014 年 55 巻 2 号 p. 234-238
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は30歳代男性。交通外傷にて本院救命救急センターに搬送された。出血性ショックの状態であり,緊急CTにて骨盤骨折と診断した。赤血球,血小板,新鮮凍結血漿の大量輸血にもかかわらず,血圧を含めたバイタルサインが安定せず,検査上も血小板数の低下と凝固障害が継続していたため,出血が持続していると考えた。通常の補充療法では救命困難と判断し,適応外の使用になるが,止血を得るためにフィブリノゲン製剤と遺伝子組み換え型活性化第VII因子製剤(rFVIIa)を投与した。投与直後から検査値の改善に伴い出血性ショックから離脱した。重症の外傷による止血困難に対し,海外ではrFVIIaにより難治性出血をコントロールしたという報告も見られるが,本邦では同様な報告が少ない。今回我々が経験した症例はフィブリノゲン製剤やrFVIIaを使用することにより止血が行われ救命できたと思われる。
  • 三森 徹, 末木 侑希, 川島 一郎, 山本 健夫, 野崎 由美, 中嶌 圭, 桐戸 敬太
    2014 年 55 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル 認証あり
    Bendamustineは再発・難治低悪性度B細胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫に対して有用性を示す新規薬剤であり,rituximabとの併用により治療効果の改善が期待されている。Bendamustineを含む治療はCHOP療法と比較して重症感染の頻度が少ないとの報告が多いが,サイトメガロウイルス(CMV)感染を含む日和見感染の報告もみられる。今回,我々は,再発・難治の低悪性度B細胞性リンパ腫3例にBendamustine単剤療法を行い,3例にCMV抗原血症を認めた。いずれの症例も3コース目以降に認め,valgansiclovir投与にて改善した。Bendamustine単剤療法は再発・難治性低悪性度リンパ腫に対し,高い治療効果を発揮するが,CMV再活性化を引き起こすリスクがある。リスク因子は不明であるが,bendamustineを含む治療レジメンを行う場合は,十分注意する必要があると考えられる。
  • 神尾 直, 横濱 章彦, 林 俊誠, 外山 耕太郎, 小屋 紘子, 星野 匠臣, 斉藤 貴之, 羽生田 直人, 向井 亮, 半田 寛, 村上 ...
    2014 年 55 巻 2 号 p. 244-248
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳女性。右眼の原発性眼内悪性リンパ腫(PIOL)と診断され,methotrexate (MTX), procarbazine, vincristineによるMPV療法に加えて全脳と右眼に照射を行ったが4ヶ月後に右眼に再発。cytarabine, etoposide, rituximabによる救援療法およびMTXの眼内注射を行なった後,busulfanおよびmelphalanを前処置とした自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行し,その後1年以上にわたり明らかな再発はない。本症例ではMTXの眼内注射および自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行し,かつ白質脳症の悪化や認知機能に異常を来す事もなく経過している。再発PIOLの治療を考える上で貴重な症例と考えられた。
  • 早瀬 英子, 杉田 純一, 藤本 勝也, 江端 浩, 山川 知宏, 吉田 美穂, 竹村 龍, 岩﨑 純子, 高橋 正二郎, 白鳥 聡一, 近 ...
    2014 年 55 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は22歳女性。20XX年1月より発熱,胸部絞扼感,咳嗽が出現し,胸部CTにて前縦隔腫瘍を認め,経皮的針生検にてT細胞性リンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)と診断された。呼吸困難の増悪のため,胸水中リンパ球の免疫表現型の判明後にCHOP療法を開始し,T-LBLと確定診断後,急性リンパ性白血病に準じ寛解導入療法を施行した。寛解導入療法後に麻痺性イレウスを発症し,さらに1週間後に急激な視力低下,頭痛,嘔気の出現を認めた。髄液は異常所見を認めず,脳MRIで両側後頭葉から頭頂葉背側の皮質と皮質下白質にT2強調像とFLAIR像で高信号,T1強調像で軽度低信号領域を認めたことから,posterior reversible encephalopathy syndrome (PRES)と診断した。造血器腫瘍に対する化学療法においては麻痺性イレウス後や腫瘍崩壊症候群に伴ってPRESを発症する症例が報告されており,化学療法中にそのような症例において神経学的異常を認めた場合はPRESの可能性も考慮すべきである。
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