日本心臓血管外科学会雑誌
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19 巻, 1 号
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  • 大嶋 義博, 山口 眞弘, 細川 裕平, 大橋 秀隆, 今井 雅尚, 鄭 輝男, 山本 哲郎, 西川 育志, 築部 卓郎, 前田 裕己
    1989 年 19 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    1980年12月より1987年8月までの6年9ヵ月の間に,新生児3例を含む16例の完全型心内膜床欠損(CAVC)症例に対して計17回の肺動脈絞扼術(PAB)を行った.手術時年齢は,15日~4ヵ月(平均1.7ヵ月),体重は2.5~4.9kg(平均3.5kg)で,うち3ヵ月未満症例は12例であった.病院死は1例(病院死亡率6%),心不全による遠隔死亡は1例(6%)と,きわめて良好な結果を得た.また術前房室弁逆流を7例に認めたが,術後逆流が増悪した症例はなく,全例軽快退院した.術後遠隔期(平均追跡期間4年4ヵ月)に心カテーテル検査を施行した5例のPP/PSは0.2~0.42(平均0.28)であった.また1例に右肺動脈狭窄および左肺高血圧遺残を認め,再PABを行った.新生児,乳児早期に重篤な症状を呈するCAVC症例に対するPABは,救命手段としてのみならず,その遠隔成績においても優れており,治療方針として2期的アプローチの有用性が示された.
  • 池田 義, 横田 祥夫, 岡本 文雄, 清水 明, 中山 正吾, 松野 修一, 大谷 成裕, 小田 勝志, 槙野 征一郎
    1989 年 19 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    近年,完全大血管転位症に対する動脈側スイッチ手術後,最も多くみられる合併症として肺動脈狭窄の発生が報告されている.われわれも12例の遠隔生存中4例に対し,進行性の肺動脈狭窄のため再手術を施行した.初回手術から再手術までの期間は平均2年6ヵ月であった.吻合部の狭小化または肺動脈絞扼部の発育不全による弁上狭窄を全例に認め,分岐部狭窄,弁狭窄を各1例に認めた.再手術は2例においてtransannular patchによる右室流出路再建,他の2例では主肺動脈,分岐部のパッチ拡大を行った.再手術による死亡はないが,再手術後も全例,軽度~中等度の圧較差が残存した.遠隔期の肺動脈狭窄は初回手術時の術式に起因する部分が大きいと思われ,最近では大血管の吻合を全周外面からのU字縫合とすること,冠動脈の移植に際しては,Valsalva洞の組織を可及的に温存したうえ,補綴には自己心膜を用いること,など術式の改良を試みている.
  • 稲村 俊一, 小出 司郎策, 川田 志明, 正津 晃
    1989 年 19 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    33歳,男性,大動脈弁閉鎖不全.手術時,大動脈4尖弁であることが判明,右冠尖と左冠尖の間に過剰尖があり,この三つはほぼ同大,無冠尖が小さかった.Björk-Shiley弁で置換,術後経過は良好である.大動脈4尖弁はまれで,報告は39例,大多数が成人になってから大動脈弁閉鎖不全となり,手術報告は9例である.最近,大動脈造影,心エコーにより診断可能となった.文献例の調査により,本症を過剰尖の位置により2群にわけることを提案した,I型は過剰尖が右冠尖と左冠尖の間,すなわち前方にあり,報告例はこれに属する.II型は過剰尖が右冠尖と無冠尖の間,すなわち後方にあり,この場合は全例,過剰尖が小さい.
  • 八百 英樹, 清水 幸宏, 末広 茂文, 北井 公二, 井上 和重, 向井 資正
    1989 年 19 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は16歳の女性で,嗄声と左背部痛を主訴として来院した.胸部単純X線写真にて左上縦隔に異常陰影が認められ,胸部大動脈造影では左総頸動脈分岐後の弓部大動脈は延長して峡部で軽度の狭窄を示し,その内側に二つの嚢状動脈瘤が並んで認められた.分離体外循環下に動脈瘤壁を楕円形に切除し欠損部をダクロンパッチにて閉鎖した.動脈瘤を合併した偽性大動脈縮窄症の手術報告例は文献上検索しえた限りでは,われわれの症例を含め16例であった.手術時年齢は16歳から51歳(平均34.1歳)であり,男性3例,女性13例であった.動脈瘤の存在部位に関しては下行大動脈7例,弓部大動脈8例,左鎖骨下動脈1例であった.術式に関しては,端端吻合術5例,人工血管置換術8例,パッチ閉鎖術はわれわれの症例を含め2例であった.以上,弓部大動脈瘤を合併した偽性大動脈縮窄症の1手術例について文献的考察を加え報告した.
  • 高齢者の1手術治験例
    川内 基裕, 松永 仁, 幕内 晴朗, 岡部 英男, 河野 匡, 古瀬 彰
    1989 年 19 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞後の心室中隔穿孔兼左室自由壁破裂(重複破裂:double rupture)の1治験例を報告した.症例は81歳女性.急性心筋梗塞(前壁梗塞)にて近医に入院した.第2病日には心室中隔穿孔の診断をうけ,第8病日には当科に転送され緊急手術をうけた.手術時,前壁側の径7mm大の心室中隔穿孔,左室の出血性解離型自由壁破裂,左室急性心室瘤と診断された.術後の経過は良好で,29日後,他院に転院した.
  • 湖東 慶樹, 鈴木 衛, 橋本 英樹, 富川 正樹, 上山 武史
    1989 年 19 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    上腹部痛にて発症した特発性上腸間膜動脈解離症例に対して,大動脈-上腸間膜動脈バイパス術(大伏在静脈グラフト)を行った.本疾患は急性期診断がむずかしい疾患とされていたが,本例では腹部超音波検査により診断することが可能であり,超音波検査の有用性を再認した.手術術式では動脈瘤化した解離腔の切除と腸管への血流温存を目的とし,上腸間膜動脈起始部(動脈瘤化した解離腔を含む)切除と大動脈-上腸間膜動脈バイパス術を施行した.術後2年を経過したが腸管虚血の症状はまったく認められず良好な結果を得ている.
  • 青柳 成明, 小須賀 健一, 田中 攻, 西 義勝, 犬塚 宏人, 安藤 文彦, 大石 喜六
    1989 年 19 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    僧帽弁裂隙を合併する二次孔心房中隔欠損症はきわめてまれな心奇形であり報告も少ない.最近,本症の1例を経験したので現在までの報告例を集計し報告した.症例は63歳の男性で,労作時の呼吸困難を主訴として来院した.心電図所見では右脚ブロックと不定軸の電気軸を認めた.心エコー図では二次孔心房中隔欠損と僧帽弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全を認め,心カテーテル検査では右房でのO2 step-upを確認した.左室造影像では僧帽弁前尖の裂隙による変形とSellors 2度の逆流を認めた.手術時,心房二次中隔中央部に存する直径1.6cmの欠損孔と僧帽弁前尖に深さ1.4cmの裂隙を認め,裂隙の直接縫合と僧帽弁輪縫縮術および心房中隔欠損孔の縫合閉鎖を行った.僧帽弁前尖に裂隙を有する本症では報告例19例中9例で心電図上,電気軸は左軸偏位あるいは不定軸を示しており,診断に有力な手がかりとなった.
  • 蜂谷 貴, 川田 光三, 四津 良平, 三角 隆彦, 志水 秀行, 井上 正
    1989 年 19 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性.健康診断で胸部異常陰影を指摘された,胸骨右縁第III肋間で拡張期逆流性雑音と収縮期駆出性雑音を聴取した.胸部X線では右房影と異なる右第2弓の突出を認めた.心臓カテーテル検査では,左室拡張末期圧18mmHgと上昇を認めるほかに異常はなかった.大動脈造影では大動脈弁輪直上の右Valsalva洞に一致して8×10cmの瘤を認め,大動脈弁閉鎖不全はII度であった.大動脈弁閉鎖不全を合併した巨大な心外型右Valsalva洞動脈瘤と診断した.体外循環下に瘤を切開すると,大動脈弁輪より上方に径約3cmの瘤口を有する右Valsalva洞動脈瘤で,右冠状動脈は閉塞していた.大動脈弁輪を挙上しつつ瘤口部をパッチ閉鎖した.右冠状動脈への血行再建は行わなかった.術後残存した軽度の大動脈弁閉鎖不全と右冠状動脈閉塞による虚血症状の発生に留意しつつ経過観察している.
  • 浜谷 秀宏, 渡辺 祝安, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1989 年 19 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    ファロー四徴症で,Blalock-Taussig (B-T)短絡手術後も肺動脈低形成や左室発育不全を伴う症例に対しては,直視下右室流出路拡大術が注目されている.しかし,本手術後の根治手術についての報告例は少ない.症例は35歳,女性.ファロー四徴症の診断にて,11歳時にB-T短絡術を施行した.28歳時よりチアノーゼが増強したため,30歳時,根治手術を目的に入院したが,精査にて,左室発育不全を認めたため,直視下右室流出路拡大術を施行した.術後チアノーゼは改善し,経過観察していたが,胸部X線写真上肺血管陰影の増強,聴診上肺動脈II音の亢進を認め,左室の良好な発育をも認めたため,肺動脈弁置換を伴う根治手術を施行し,良好な結果を得た.
  • 二宮 淳一, 新田 隆, 佐々木 建志, 萩原 俊彦, 田中 茂夫, 庄司 佑
    1989 年 19 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    部分肺静脈還流異常症のなかでも,心房中隔欠損を伴わない左全肺静脈還流異常症は,報告が少なく,非常にまれなものと思われる.本症を有する21歳男性に,体外循環を使用することなく,垂直静脈と左心耳とを端側吻合した.術後の肺静脈造影では,吻合口は十分の大きさを有し良好な開存を確認した.現在までに,本症の手術報告は,文献上,約20数例と少なく,おもに血行再建上の問題につき考察を加え報告した.
  • 高木 淳彦, 多田 祐輔
    1989 年 19 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    組織培養技術の進歩にともなって,高等動物,なかんずくヒトの血管内皮細胞の培養研究がさかんにおこなわれている.一方,血管外科領域では小口径人工血管の開存成績が不良で,自家静脈よりすぐれた素材は未だに見いだされていない.ここに,生体本来の抗血栓性を担う血管内皮細胞を人工の素材にむすびつけようとする,endothelial seeding,ハイブリッド人工血管の考えが生まれてきた.本論文では,われわれのおこなったイヌの静脈内皮細胞の培養実験,回転法を用いたin vitroにおける小口径人工血管への植付け,および動物実験と回収標本の組織所見について述べた.実験の結果,ハイブリッド人工血管の良好な内皮化と開存成績が明らかになった.臨床応用に向けてはなお問題が多いが,血管内皮細胞培養研究はバイオテクノロジーを心臓血管外科へ医療応用する可能性を示すものとして興味深いと考える.
  • 今西 幸男, 伊藤 嘉浩
    1989 年 19 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    人工臓器材料に要求される生体親和性を有する材料を得るためには,材料と生体成分との複合化が最も有効な手段である.材料と血液が接触して起こる血栓形成を防ぐために,血液凝固因子や血小板の活性化を抑制したり,線溶系を活性化するような生理活性物質と材料の複合化が行われている.また,2種類の生理活性物質を組み合わせて複合化することも有効である.細胞と材料の複合化の研究は,近年とくに盛んである.このため,細胞の植付けに好都合な,あるいは生体内で細胞との親和性を高める新しい複合材料が開発されつつある.材料の性質に応じて細胞機能を制御するもので,今後の発展が期待される.
  • 松田 武久
    1989 年 19 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    近未来の血液循環系医学においては人工臓器に代表される医学と工学の融合したシステムが治療の最前線を担うことが予想される.医用高分子は高機能の人工臓器の基本材料であり,生体適合性および機能性の両面にわたって期待されるところが大きい.本稿においては当センター研究所の人工心臓グループの医用材料部門の研究開発の一端を紹介する.
  • 中林 宣男
    1989 年 19 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    生体組織同士を合成接着剤で結合することは不可能であり,生体組織は自己治癒力で癒着,組織修復を行う.しかし組織と人工物を結合する場合で,縫合不可能な場合には接着剤の使用が必要な場合がある.本論文では,歯という特殊な組織ではあるが,自己治療力に乏しく,組織に欠損を生じた場合,人工物で修復せざるをえないが,このとき,歯と人工物を接着で結合することができるようになった.接着メカニズムは,接着剤が生体組織に浸みこんで,そこで重合硬化すること,すなわち歯と人工物のハイブリッドが歯質側に生成して接着が行われる.
  • Kazuo NAKAMURA
    1989 年 19 巻 1 号 p. 74
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • H.M. KIM, K.T. KIM, I.S. KIM
    1989 年 19 巻 1 号 p. 75-77
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • C.K. MOK
    1989 年 19 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • M.R. GIRINATH, M. CH
    1989 年 19 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • Akira FURUSE
    1989 年 19 巻 1 号 p. 84-85
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • Natural History, Etiology, and Results of Treatment
    Masayoshi OKADA, Kazuo NAKAMURA, Hisashi FUKUZAKI
    1989 年 19 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 19 巻 1 号 p. 91
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
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