成人開心術17症例を術前正常群 (10例) と脳血管障害群 (7例) に分類し, 経頭蓋ドプラ血流計を用いて体外循環中の CO
2 reactivity の維持に関して比較した. 全例一定体灌流量の定常流, 中等度低体温体外循環下で, α-stat strategy で導入維持された後, high PaCO
2 state と low PaCO
2 state を設定し, 両群において脳血流変化および脳酸素消費量の変動を検討した. その結果PaCO
2の上昇に従い両群とも脳血流変化は, 有意な増加を認め, CO
2負荷に対しての脳血管反応性は維持されていた. しかし脳酸素消費は, 正常群では両 PaCO
2 state 間で有意な変動はないが, 脳血管障害群ではCO
2負荷時には脳血流の増加に対し逆に脳酸素消費の抑制が認められた. この原因として動脈硬化の強い領域と正常領域の血管反応性の相違が, 脳組織血流の不均等性を増幅するためではないかと推測された.
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