過去3年3ヵ月間に鶴見大学歯学部小児歯科外来に外傷を主訴として来院した患児81名について,臨床統計的観察を行い,乳歯の外傷に対してわれわれが施した処置法を紹介するとともに,良好な結果を得た3症例について報告した。その結果を要約すると次の通りである。
I小児の歯の外傷についての臨床統計的観察
1)受傷頻度は1.94%で,その年令別発現数をみると1才6ヵ月および3才6ヵ月未満が半数以上を占めた。
2)外傷の原因は転倒によるものが大多数を占めた。
3)外傷の種類は乳歯外傷64例中,破折22例,脱臼35例,脱落喪失7例であった。乳歯の破折がみられたものも比較的多くみられたが,そのうちの多くはう蝕罹患歯であった。
4)歯種別および部位別に分類すると乳歯,永久歯ともに上顎前歯部が大多数を占めた。
5)乳歯外傷の処置法については,乳歯外傷の多くは脱臼であり,これらに対しては整復固定を行った。整復固定には結紮線固定法とプラスチックスプリントを用いたが,プラスチックスプリントを用いた症例の方が良い結果をもたらした。
抄録全体を表示