小児歯科学雑誌
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24 巻 , 4 号
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  • 山田 和昭, 宮沢 裕夫, 今西 孝博, 赤羽 章司
    1986 年 24 巻 4 号 p. 621-632
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本実験は,近年歯科臨床分野で欠くことのできない術式として,広く応用されている酸処理を幼若歯と成熟歯に施し,その口腔内経時変化から反応性の違いを検索する目的で行われた。
    実験対象は,萌出直後の幼若永久歯と萌出後20年以上経過したいずれも下顎第一大臼歯頬面とし,口腔内で近心半分を酸処理し,直後からの経過をレプリカ法により電顕観察した。同時に表面を肉眼的に観察するとともに,写真撮影も行った。その結果,幼若歯と成熟歯では,酸処理直後の形態の差異,及びその後の口腔内経時変化による歯面の平坦化にかかる期間に差が認められたことから,萌出後に歯面の反応性に変化がある,いわゆるpost-eruptive maturationの存在が示唆された。
    また,酸処理歯面の口腔内での平坦化及び光沢の回復には従来報告されている以上に,ブラッシング等による機械的な摩耗の関与が認められた。
  • 杉山 久, 村上 あつ子, 上杉 滋子, 三浦 みつ子, 菊池 進
    1986 年 24 巻 4 号 p. 633-642
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳臼歯の歯冠修復は近年コンポジットレジンによる修復が増加しているが,乳臼歯修復に必要な諸条件を満たした材料はみられず,種々な改良がなされてきている。そこで,我々は,操作性と材料学的性質を改善するために,臼歯部用コンポジットレジンBellfeelをベースにして,稠度を5段階に変化させたレジンを試作し,材料学的性質を検索した。
    実験項目は,無機質フィラーの電顕像の観察,無機質フィラー含有率と稠度の測定,表面硬さ,圧縮強さ,引張強さ,曲げ強さ試験である。その結果,
    1)試作レジンの無機質フィラーの含有率が低下すると,稠度も段階的に減少し,両者はほぼ比例関係を示した。
    2)ヌープ硬さはフィラー含有率が低くなると,圧接面では低くなる傾向があり,研磨面では変化がなかった。
    3)圧縮強さは試作レジン間では差がみられなかった。
    4)引張強さおよび曲げ強さは試作レジン間で,フィラー含有率によって差がみられ,フィラー含有率が低下するにしたがいその値は上昇した。以上よりフィラー含有率を調整し,稠度を低下させることで,シリンジ等の操作性はより容易になった。また,研磨面の硬さや圧縮強さには特に変化はなく,引張強さ,曲げ強さでは良好な結果が得られたことから,乳臼歯2級窩洞の体部破折等の不快事項の減少にもつながると思われた。
  • 伊藤 雅子, 野坂 久美子, 守口 修, 山田 聖弥, 印南 洋伸, 山崎 勝之, 小野 玲子, 甘利 英一
    1986 年 24 巻 4 号 p. 643-652
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    岩手医科大学歯学部附屈病院小児歯科で行った開窓牽引症例56例,67歯について,処置の難易度を左右する因子を解明する目的で,臨床的に種々の点から再検討を行った。
    埋伏の原因では,位置異常が最も多かった。性別の出現頻度では,女子は男子の約2倍であった。歯種別の出現頻度では,上顎中切歯が最も多くを占めていた。上顎中切歯の彎曲歯では,その歯冠軸傾斜角度が100°前後,歯根彎曲度が60°以上でも90°以内であれば,根尖部が骨質から露出しない程度まで誘導し,その後補綴的処置をする事で誘導可能であった。
    処置開始年齢は,どの歯種も正常な萌出時期より約2年過ぎていたが,歯根未完成歯が85%を占めていた。処置法は,大臼歯部では全て開窓のみであり,上顎中切歯・犬歯は全て開窓後,牽引を行った。誘導期間は,平均約1年であったが,同じような条件の埋伏歯の場合,歯根未完成歯の力が誘導期間が短かったことから,正常な萌出時期と上ヒベ遅延傾向を認めたら,幽根完成前に処置を開始した方が得策と思われた。処置後の状態は,歯髄死,歯根の吸収,歯槽骨の吸収を認めた症例はなかった。歯肉部膨隆は,上顎中切歯4歯の根尖部に認めたが,根尖が歯槽粘膜上に露出するものはなかった。歯頸部歯肉の退縮は約20%に認められたが,ほとんどが0.5mmから1.0mm以内であった。なお,これらの退縮に手術法による差異はみられなかった。
  • 大野 秀夫, 大野 和夫, 小椋 正, 木村 光孝
    1986 年 24 巻 4 号 p. 653-660
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯生活歯髄切断処置後,乳歯の生理的歯根吸収が健全乳歯の場合と同様に進行しているか否かを検討するため,生後3カ月前後の幼犬の乳歯に,覆髄剤として,水酸化カルシウムを主成分とするCalvitalを使用し,生活歯髄切断処置を施し,病理組織学的に検索した。
    乳歯生活歯髄切断処置後の生理的歯根吸収は,健全な対照歯と比較し,組織学的にはほぼ同調した吸収状態を示した。このことは,乳歯生活歯髄切断処置が生理的歯根吸収に対して,何ら影響を与えているとは考え難く,乳歯の歯髄処置として,非常に意義あるものと考えられた。
  • 久保 勝史, 佐藤 美樹, 加我 正行, 小口 春久, 及川 清
    1986 年 24 巻 4 号 p. 661-668
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,市販されている9種類のコンポジットレジンの引張強さ,曲げ強さ,ブリネル硬さを比較検討した。37℃人工唾液に浸漬した場合と, 20℃実験室中に保存した場合とに分け,試料作製後1日後,7日後および30日後にそれぞれ試験した。また,試料を37℃人工唾液に浸漬した場合の重量変化についても調べ, 以下の結論が得られた。
    1.超微粒子配合型コンポジットレジンは,引張強さ,曲げ強さ,ブリネル硬さのいずれについても従来型および臼歯部用コンポジットレジンに比較すると,有意に劣った(p<0.01)。
    2.従来型コンポジットレジンと臼歯部用コンポジットレジンの間には引張強さ,曲げ強さ,ブリネル硬さについて,有意差が認められなかった(p>0.05)。
    3.人工唾液に浸漬した場合の重量変化については,Microrest APの増加量が著しいこと,および,P-10とClearfil Posteriorでにおいて7日目に減少することが特徴的であった。
  • 細矢 由美子, 古豊 史子, 國松 尚美, 後藤 讓治, 馬場 輝美子
    1986 年 24 巻 4 号 p. 669-682
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者病棟に入院中の5 歳5 カ月から3 5 歳3 カ月( 平均年齢1 7 歳9 カ月)の患者62名(脳性麻痺:44名,その他:18名)について,各種齲蝕活動性試験(カリオスタット,RDテスト,改良MSBB,エナメル生検)を行い,患者の齲蝕罹患状況,病状並びに生活状況との関連性について調査した。
    1)患者の齲蝕罹患状況は,def歯率43.6%,1人平均def歯数3.8,DMF歯率49.6%,1人平均DMF歯数11.5であった。
    2)カリオスタットの判定結果とDMF歯率及び1人平均DMF歯数間に有意な関連性がみられ,スコアの高い者ほど高い齲蝕罹患度を示した。しかしながら,RDテスト並びに改良MSBBの結果と齲蝕罹患度との間には,関連性がみられなかった。
    3)食事の形態別にみた齲蝕活動性試験の結果,RDテストでは,普通食に近い群ほどスコアがHの者が有意に少なかった。
    4)ブラッシング回数別にみた齲蝕活動性試験の結果,RDテストでは,1日3回群の方が1日1回群よりもスコアがHの者が有意に少なかった。
    5)エナメル生検の結果,患者とコントロール群間の溶出Ca量に有意差はみられなかった。
    6)エナメル生検法による溶出Ca量とDMF歯数間にr=-0.43で負の相関がみられ,歯質の溶解性が大きい者ほど齲蝕経験指数が高いというような傾向は認められなかった。
  • 辻 甫
    1986 年 24 巻 4 号 p. 683-703
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    学童期は生涯を通して健康な生活を営むための基本的な知識や習慣を育成する時期であり,保健教育の一環としての歯科保健指導の重要性が指摘されている。
    そこで本研究は岐阜県各務原市立某小学校(調査校)の昭和55~58年度の在校児童約1,000名と,同市立某小学校(対照校)の昭和56・57年度の児童約900名を対象として行った。調査校では歯科医師が児童教育の専門家である教職員に歯科保健指導を行い,これら学級担任が学級指導の中で歯科保健教育を行った場合の教育効果について,AinamoらのVisible Plaque Index(VPI)とGingival Bleeding Index(GBI)を指標として検索した。その結果VPI,GBIともに経時的に有意な減少を示し,その回帰曲線は学習曲線における消極的加速度曲線と相似していることが認められ,対照校と比較しても有意に低い結果を得た.性差についても男子のほうがVPI,GBIともに有意に高いか,高い傾向をみとめ,女子のほうが刷掃習慣を身に付けやすい結果ではないかと考えられた。また,VPI,GBIに0を示す児童の頻度も経時的に増加を示した。
    以上のことより,教職員らが歯科医師の協力のもとに十分歯科保健について学習を行ったうえで,小学校児童に対し継続的な歯科保健指導を実施した場合,十分な指導効果が期待できることが示唆された。
  • 大橋 健治
    1986 年 24 巻 4 号 p. 704-724
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼児の育児環境因子と齲蝕との関わりの程度を数量的に表し,また,齲蝕要因相互の関連を明らかにし,患者の口腔衛生指導のための資料を得る目的で,幼稚園児138名を対象に口腔検診および育児環境についてのアンケート調査を実施し,数量化I類を用いて分析した。併せて経年的研究をも実施し次のような結果を得た。
    1.育児環境の各因子と齲蝕のかかわりに関して数量化することができた。(1)就寝前に毎日確実に歯を磨く(8点),(2)間食時間を決める(8点),(3)間食回数は一日(2回:8点,1回以下:12点),(4)冷蔵庫の中に甘味飲料が入っていない(5点),(5)夜,就寝前の歯磨のあと水,お茶以外何も与えない(27点),(6)貿食いをしない(8点),(7)飲物は牛乳手作りジュース,お茶,水(4点),(8)三度の食事をよく食べる(1点),(9)齲蝕,あるいは齲蝕になりかけだと言われた事がない(20点),(10)カリオスタットの結果(0~7点)。
    2.育児環境因子など10項目よりなる要因によって,d歯数の50%以上が説明できることが分った。(寄与率R2=0.518)
    3.齲蝕の要因相互の関連とその程度を求め,諸要因の連関構造の鳥緻図を得ることができた。
    4.規則正しい生活をする事が,齲蝕要因の多くと関連していることが明らかとなり,この事が包括的な齲蝕抑制に寄与する事が裏付けられた。5.育児環境のうち,特に就寝前の飲食の抑制こそ齲蝕予防のためのfirst choiceである事が強く示唆された。
  • 大多和 由美, 藤居 弘通, 久保田 一見, 町田 幸雄
    1986 年 24 巻 4 号 p. 725-732
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    健全歯根未完成永久歯を被検対象として,歯根の形成状態と電気歯髄診断器の刺激に対する反応との関係について検討した。被検対象は,86名の小児の健全な上顎永久中切歯169本である。被検歯の歯根の形成程度は,規格撮影を行ったX線写真により未完成なものからI,II,IIIの3段階に分類した。測定に使用した電気歯髄診断器は“Pulp Tester”と“Dentotest TB-08”の2機種であり,電導性糊剤としては歯磨剤と電極糊の2種を用いた。
    その結果,電気歯髄診断器の最大出力に対しても反応しなかったものは“Dentotest”では電導性糊剤として歯磨剤を用いた場合,歯根形成I群では58例中13例(22.4%),歯根形成II群では51例中2例(3.9%)であり,電極糊を用いた場合,歯根形成I群では58例中7例(12.1%),歯根形成II群では51例中1例(2.0%)にみられた。歯根形成III群では両糊剤とも60例全ての歯牙において反応が認められた。
    “Pulp Tester”では歯根形成I群で最大出力において歯磨剤の場合58例中5例(8.6%),電極糊の場合58例中2例(3.4%)が反応しなかった。II群,III群においては全ての歯牙に反応が認められた。“Pulp Tester”,“Dentotest”の両者ともに歯根の成長発育に伴い低い値で反応する傾向を示した。
  • 辻 裕子, 川俣 純子, 浜地 宏哉, 溝呂木 英二, 岩淵 法一, 上保 一之, 井上 俊明, 萩原 洋子, 関本 恒夫, 坂井 正彦
    1986 年 24 巻 4 号 p. 733-741
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    正常咬合の乳歯列が,正常咬合の永久歯列に推移した小児の歯列弓,歯槽基底弓についてフーリエ解析を用いて,乳歯列と永久歯列の関連性を求めた。資料は,正常咬合の乳歯列16症例,永久歯列16症例の経年歯列石膏模型である。その結果,以下の結論を得た。
    1.形態における個体差は,歯槽基底弓においては乳歯列,永久歯列とも少ないが,歯列弓では上顎は永久歯列になるとその個体差は多くなり,下顎では少なくなる傾向がみられた。
    2.上顎歯列弓の平均形態を,乳歯列と永久歯列で比べてみると,大きさでは永久歯列が大きくなり,形状では永久歯列が乳歯列に比べて歯列弓の前方部において,より平担になり歯列弓の形は半円形に近くなっていた。下顎歯列弓では,上顎に比べ乳歯列と永久歯列との間に違いは少ないように思われた。
    3.歯槽基底弓では大きさの変化は上顎で認められたが,下顎では認められず形状の変化は上顎,下顎とも前方部で舌側に入り,変化がみられた。
  • 三宅 雄次郎, 信家 弘士, 城所 繁, 長坂 信夫
    1986 年 24 巻 4 号 p. 742-750
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    EDTA鉛は安定なキレート化合物であり,酢酸鉛に比較して組織蛋白との結合が少なく,腹腔内注射,皮下注射においても使用でき,排泄も速く毒性も少ないと言われている。今回,EDTA鉛を用いて幼犬乳歯の象牙質における鉛ラベリング法を行い,実験にはEDTA鉛の投与方法,投与量および標本の包埋方法を変え,その鉛線標識を検討した。生後2~3カ月の健康な幼犬4頭を用い,EDTA鉛量は,体重1kg当たり10mg,20mg,30mg,40mg,50mgとし,皮下および腹腔内にそれぞれ1日ごと定時刻に計6回投与した。その後,10%中性ホルマリン液にて灌流固定後,0.2N塩酸で改良した脱灰装置を用い1週間脱灰を行った。脱灰後,標本包埋法は通法によりcelloidin包埋,paraffin包埋,celloidin-paraffin二重包埋,およびアルコールを使用しないcarbowax包埋を行い,薄切後,鍍金染色を行った。
    脱灰装置を改良した結果,硫化水素の特異臭は著しく軽減された。ラベリング線の出現は皮下および腹腔内共に,carbowax包埋とparaffin包埋に最も著明だった。また,アルコール脱水を行う包埋方法でも,ラベリング線に対する影響はあまりみられなかった。ラベリング線の出現の条件は全体的にみて, 皮下・腹腔内共にparaffin包埋30mgで確実に出現する結果を得た。
  • 泉谷 明, 藤原 卓, 安福 美昭, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1986 年 24 巻 4 号 p. 751-757
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Aspergillus terreusの培養上清より抽出されたムタステインのStreptococcusm utans誘発齲蝕に対する作用を,in vitroおよび実験動物を用いて調べた。
    S. mutans 菌体の平滑面付着は,ムタステインの添加量に比例して減少した。またその抑制効果は,B13R株において特に著明であった。粗GTaseを用いた不溶性グルカン合成は,ムタステインの添加量に比例して著明に抑制された。
    実験齲蝕によるムタステインの齲蝕抑制効果は,血清型cに属するS. mutans 誘発齲蝕に対しては,ムタステインの添加により抑制された。しかしその効果は著明ではなかった。一方,血清型dあるいはgに属するS. mutans 誘発齲蝕に対しては,ムタステインの添加により明瞭な抑制効果が認められた。
    以上の結果は,S. mutans 誘発齲蝕に対して供試ムタステインが抑制的に作用することを示唆している。
  • 杉山 恵子, 泉谷 明, 武井 勉, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1986 年 24 巻 4 号 p. 758-764
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    コーンスターチを酵素処理することにより得られるT G シロップ( 主成分: イソマルトース31.4%,パノース20.8%,イソマルトトリオース11.4%)の齲蝕誘発能を,供試菌としてS. mutans MT8148R(血清型c),6715(同g)株を用い,in vitroおよびラット実験齲蝕系で検討した。
    TGシロップはS. mutansの基質になり得たが,スクロース存在下で認められるS. mutans 菌体のガラス管壁への付着は,TGシロップの濃度の増加とともに抑制された。また,S. mutans より得られた粗GTaseはスクロースから多量の非水溶性グルカンを合成するが,TGシロップの添加により著明に抑制された。
    実験齲蝕におけるTGシロップ投与群の齲蝕スコアは,スクロース投与群の約1/3~1/5の程度で有意に低かったが,小麦粉投与群よりは有意に高い値を示した。以上の結果は,TGシロップが低齲蝕原性の代用甘味料として利用できる可能性の高いことを示している。
  • 西野 瑞穂, 今西 秀明, 沖田 裕治
    1986 年 24 巻 4 号 p. 765-776
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2~7歳の小児28名の歯垢および軟化象牙質からStreptococcus mutansを分離し,その血清型別分布ならびに菌体外バクテリオシン(mutacin)の活性について調べた。分離菌株数は288株で, そのうちc型は71.2%, d型は7.7%, e型は14.9%, f型と推定されるもの4.5%,g型が1.7% であった。a型, b型は分離されなかった。口腔内の齲蝕活動性が高いほど,また,齲蝕重症度が高いほど,c型以外の血清型菌株の出現が認められる傾向にあった。
    菌体外mutacinの活性は, 穿刺培養法でS. sanguis ATCC 10556 R, S. sanguis OMZ9HR1,およびS.salivarius HT 9Rを指示菌とした場合222株77.1%に,滴下法で上記と同じ菌株を指示菌とした場合33株11. 5%に, 滴下法で各血清型S. mutansを指示菌とした場合30株10.4%に活性が認められた。S.sanguis, S.salivariusに対しては菌体外mutacin活性を示し, S. mutansには全く活性を示さなかった菌株が3 株あった。菌体外mutacin は, 培養液によりその活性に差がみられ, S . m u t a n s に対するmutacin活性は, Todd Hewitt brothで最も広い抗菌スペクトルを示し, 次いでTryptose Phos-phate broth, Brain Heart infusion brothの順であり,Trypticase Soy brothが最も菌体外mutacinを産生しにくかった。
    指示菌S. mutansの血清型a 型およびf 型は, 多くの臨床分離S. mutans産生mutacinに感受性を示し, g型は少数のmutacinに対してのみ感受性を示した。
  • 武田 泰典, 黒田 政文, 八幡 ちか子, 甘利 英一
    1986 年 24 巻 4 号 p. 777-780
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯冠周囲線維性結合組織の過形成により上下顎の左右第二大臼歯の埋伏をきたした一症例を報告した。患者は15歳の男子で,X線的には上下顎の左右第二大臼歯部は濾胞性歯嚢胞(含歯性嚢胞)様の所見を呈したが,手術時,X線透過巣に相当する部分は灰白色の軟組織に満たされていた。この軟組織は病理組織学的には主として膠原線維からなる密で不規則な構築の成熟した線維性結合組織の増生よりなっていた。また,この中には退化歯堤と思われる歯原上皮の小塊が散見された。以上の様な歯冠周囲線維性結合組織の過形成をきたす要因について2,3の考察を加えたが,結論を得るにはいたらなかった。
  • 小野 玲子, 野坂 久美子, 山田 聖弥, 甘利 英一
    1986 年 24 巻 4 号 p. 781-786
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先行乳歯に用いたビタペックスの根尖孔外溢出によって,上顎左側中切歯歯胚の位置異常ならびに嚢胞形成を生じた3歳9カ月女児の稀な症例に遭遇した。根管充填時,X線写真所見で,永久歯歯胚の中央部に3×11mmの範囲で濫出したビタペックスが認められた。根管充填6 カ月後では, 自覚症状はなかったが, 上顎左側乳中切歯唇側歯肉部の異常な骨膨隆と,X線写真所見で,濫出したビタペックスは消失し,嚢胞と思われる透過像が認められた。そこで処置として,先行乳歯の抜歯と同時に開窓療法を行ったところ,消失したと思われるビタペックスが後継永久歯歯嚢の舌側に多量に残留し, 歯胚を唇側に圧迫していた。術後2年では,後継永久歯歯胚はやや香側へ移動し,永久歯歯胚周囲の透過像も消失し,歯根の形成が開始されていた。以上の結果から,ビタペックスを乳歯根管充填剤として用いた場合,過剰根管充填は極力避けるべきと思われた。また,後継永久歯歯冠のみが形成された段階での位置異常や嚢胞形成に対し, 将来の歯根彎曲や転位, さらには歯胚の死滅を防ぐためにも開窓療法を積極的に行うべきと思われた。
  • 河野 美砂子, 赤沼 克枝, 野田 忠, 鈴木 誠
    1986 年 24 巻 4 号 p. 787-792
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳児の口腔粘膜に発現する良性腫瘍状病変として先天性エプーリスが知られるが,それ以外の報告は著者らの調べた範囲では少ない。
    著者らは,新潟大学歯学部小児歯科外来を受診した生後9カ月の男児の上顎左側切歯乳頭付近の口蓋粘膜に生じた腫瘤を経験したので報告する。
    患児が生後11カ月の時に腫瘤をfibromaと臨床診断し切除した。病理組織学的には腫瘍様配列を示さない線維性組織が主体で,一部にfibromaを思わせるfibroblastのかなり密な増殖がみられたが,毛細血管の増生および炎症性細胞浸潤が腫瘤全体にみられたことより,炎症過程を経た修復性ないし反応性の線維組織の過形成,すなわちfibrous hyperplasiaと診断された。
    誘因は,十分明らかではないが患児が示指を割合頻繁に口に入れていたことが考えられる。また,上顎正中切歯部に過剰歯胚が2本認められたが,腫瘤と過剰歯との関係はないと思われた。
  • 梅田 正博, 堀田 毅, 寺延 治, 中西 孝一, 島田 桂吉, 船越 禧征, 稗田 豊治
    1986 年 24 巻 4 号 p. 793-800
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔領域の奇形腫の報告例は少なく,今回乳児の頬粘膜部に発生した奇形腫の1例を経験したので概要を報告する。
    患者は4カ月男児で,口腔内腫瘤の精査依頼にて当科を紹介来院した。全身的には特記事項はなく,他の合併奇形もなかった。腫瘤内に歯胚様X線不透過像がみられ,奇形腫との臨床診断のもと,全麻下にて摘出した。腫瘍内には歯胚のほか,歯原性上皮塊,骨組織,筋組織等の外・中胚葉性組織を認め,成熟奇形腫と診断した。術後経過は良好である。
    また,本邦における口腔鼻咽腔奇形腫の報告例70例について検討し,次の結果が得られた。
    1)本腫瘍は1歳未満の乳児または新生児に多くみられ,約78%が女性に発生した。
    2)鼻咽腔領域に発生することが多く,口腔より発生したものは少なかった。口腔に発生したものでは,口蓋が最も多かった。
    3)唇顎口蓋などの合併奇形が,しぼしぼ認められた。
  • 島田 幸恵, 内田 武, 武岡 部旭, 山下 登, 井上 美津子, 向井 美恵, 鈴木 康生, 佐々 竜二, 久野 斉俊, 鈴木 康之, 岩 ...
    1986 年 24 巻 4 号 p. 801-811
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京小児療育病院,みどり愛育園において昭和55年2月より,全身麻酔下治療(以下「全麻」) , 外来治療( 以下「外来」) および年1 回の口腔内検診を行ってきた。そこで,両施設の小児の昭和59年までの5年間における治療状態などについて調査し,あわせて入院児の口腔内状態の変化を観察した。
    1)処置者数は,「全麻」は減少から横ばい傾向に,「外来」では,増加傾向がみられた。
    2)治療内容は,「全麻」で修復処置が多く,1人平均処置歯数は12.2歯であり,「外来」も,当初,抜歯が多いが,修復処置も増え,1人平均処置数も増加してきている。歯年齢別にみると,乳歯列では修復処置,混合歯列では交換期の抜歯も,また,永久歯列では修復処置および予防填塞処置が多かった。
    3)歯髄・根管処置では,「全麻」では年々減少傾向を示しているが,「外来」では年々増加し,特に永久歯の抜髄および根管治療が増えてきている。
    4)齲蝕罹患状況の変化では,両施設ともD(d)歯率の減少および齲蝕罹患者の減少がみられた。また,特に『みどり』ではF(f)歯率の著しい増加がみられた。
    5)カリオスタットによる齲蝕活動性は,『東小児』で齲蝕活動の低いものが60%以上となるが,『みどり』では低いものが50%近く占めるが,逆に齲蝕活動性の高いものが30%近く占めていた。全体として,口腔内状態の改善傾向がうかがわれた。
  • 加藤 一生, 安福 美昭, 大土 努, 森崎 市治郎, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1986 年 24 巻 4 号 p. 812-818
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    大阪大学歯学部小児歯科において,昭和42年より60年までの19年間に行われた障害児の全身麻酔下歯科治療について,症例内容を調査し,それをもとに症例を昭和50年以前と55年以降の2つの時期に分けて比較検討したところ,次の結果を得た。
    1)症例総数は105(男児76,女児29)であったが,昭和58年以降に症例数の増加が認められた。
    2)患児の治療時年齢は,昭和50年以前では10歳以下が中心であったが,55年以降は11歳以上が大多数を占めた。
    3)患児の障害の種類としては,昭和50年以前ではCP,MRの順に多かったが,55年以降ではCPは減少し,情緒障害が増加してきた。
    4)昭和50年までは全ての症例が入院にて行われたが,55年以降では外来症例が過半数を占めた。
    5)平均処置歯数は,昭和50年以前では10.6本,55年以降では7.1本であり,減少がみられた。
    6)処置内容は,昭和50年以前では乳歯の処置が過半数を占め,抜歯,アマルガム修復が多かった。55年以降では処置の対象はほとんど永久歯であり,インレーおよび鋳造冠の形成,印象の頻度が最も高かった。
    7)平均治療時間は,昭和50年以前では1時間50分,55年以降では2時間6分であり,やや延長してきている。
    8)全身麻酔を複数回行って一口腔を計画的に治療した患児が,昭和55年以降に9名認められた。
  • 赤木 真一, 高木 敏朗, 長田 真由美, 高野 文夫, 大野 紘八郎, 大森 郁朗
    1986 年 24 巻 4 号 p. 819-836
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本教室では,昭和47年本学附属病院小児歯科外来を訪れた小児の齲蝕罹患状態の実態調査を行い,その結果を報告した。今回,著者らは,その後10年以上を経過した現在の小児の齲蝕罹患状態を知る目的で,昭和59年5月から昭和60年11月までに本学を訪れた小児の乳歯ならびに第一大臼歯の齲蝕罹患状態を調査し,前回報告したものと比較検討を行った。
    乳歯の齲蝕において,一人当りdef歯数およびdef歯率の年齢的推移を前回の調査と比較すると,特に2-3歳児において大きな減少が認められ,それ以降の年齢群でも減少傾向が認められた。また,一人当りdef歯面数およびdef歯面率でも類似した傾向が認められた。
    各歯種別のdef歯率およびDMF歯率の年齢的推移をみると,低年齢児の上顎乳切歯および乳犬歯で著しい減少が認められた。これは,齲蝕の初発年齢の上昇を示唆するものと考えられた。乳臼歯では,前回と今回でその増齢的増加傾向に著しい変化は認められなかった。第一大臼歯においては,上下顎とも著明な変化は認められなかった。
    歯種別歯面別df率を2歳児と4歳児について比較したところ,2歳児における上顎乳前歯の唇面齲蝕の減少が顕著であった。乳臼歯部では,4歳児において上下顎とも,咬合面齲蝕が減少しているのに対し,隣接面齲蝕は増加傾向を示した。第一大臼歯の歯面別DF率の年齢的推移を比較したものでは,各歯面の齲蝕罹患率に大きな変化の認められなかった。
  • 山田 聖弥, 野坂 久美子, 佐々木 仁弘, 甘利 英一
    1986 年 24 巻 4 号 p. 837-849
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低位乳臼歯5症例10歯を経験し,後継永久歯との交換まで経過観察を行った。症例の初診時年齢は,2歳1カ月から11歳4カ月である。経過観察期間は,1年から10年であり,なお,観察に用いた資料は,病態写真・X線写真・石膏模型である。
    結果:
    1)発現状況に性差はなかった。
    2)歯種は,D,E各4歯,D,E各1歯であり,下顎に多かった。
    3)発現に左右対称性のみられたのは1症例のみであった。
    4)咬合状態は不正咬合が多かった。
    5)後継永久歯はすべてに存在していた。
    6)経年観察では5歯中,2歯で低位の状態が増強し,3歯で減弱した。低位増強の大きな要因は,隣接歯からの圧力と考えられ,逆に,減弱の要因は,後継永久歯の萌出力の影響と思われた。
    7)低位歯10歯中5歯は自然脱落し,4歯は脱落寸前で容易に抜歯された。1歯は便宜抜去された。
    8)後継永久歯との交換は正常に行われた。
    これらの結果から,低位歯の処置としては,低位の程度が軽度の時は経過観察し,中等度の時は保隙装置,あるいは接触点の保持のための修復,高度の時は,隣接歯の状態によりspace regainingをそれぞれ行うのが妥当と考えられた。
  • 1986 年 24 巻 4 号 p. 850a-
    発行日: 1986年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 24 巻 4 号 p. 850b-
    発行日: 1986年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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