小児歯科学雑誌
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49 巻 , 5 号
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原著
  • 永石 恵子, 小倉 英稔, 西田 宜弘, 近藤 亜子, 田村 康夫
    2011 年 49 巻 5 号 p. 439-451
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,乳児期の口蓋形態の特徴を明らかにする目的で,無歯期における成長変化を,1−2 か月群,3−4 か月群および5 か月以上群の3 群に分け検討し,また授乳方法が口蓋形態に及ぼす影響について,レーザーを応用した非接触型三次元計測装置を用いて検討した。その結果,長径では切歯乳頭部と歯槽弓最大幅径として表される左右歯槽頂上の点間の口蓋前方部に有意な増大がみられ,幅径では乳犬歯歯槽部遠心壁の左右歯槽頂上の点間,歯槽弓の最大幅径として表される歯槽頂上の点間,および上記2 線上の近遠心的中間部の点間においても有意な増大がみられた。口蓋の深さや口蓋内表面積では,3 群間で差は認められなかった。吸啜窩の出現は全体で70.3%であり,3 群間で差はなく,また吸啜窩幅径も無歯期では成長による変化はなかった。母乳,ほ乳瓶,混合乳の授乳方法により,歯槽弓および口蓋形態に及ぼす影響は認められなかった。以上より,無歯期での歯槽弓および口蓋形態の変化には,口蓋前方部の成長が長径・幅径とも大きく,乳前歯の成長と骨内萌出とが関係していることが示唆された。しかし,授乳方法による口蓋形態への影響は認められなかった。
  • 余 永, 有村 栄次郎, 稲田 絵美, 齊藤 一誠, 武元 嘉彦, 村上 大輔, 下田平 貴子, 福重 雅美, 北上 真由美, 山﨑 要一
    2011 年 49 巻 5 号 p. 452-458
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    歯科医療従事者が患者に対して歯の刷掃指導をする際,患者の手技の習得段階は主観的にしか評価されていないのが現状である。また,口腔の健康と全身の健康の関連性が徐々に明らかになってきているものの,口腔の健康に大きく影響を与える刷掃手技に関して,指導・評価の指標も明確にされていない。歯科医療従事者が適切な指導を行い,評価するためには,刷掃動作を定量的に評価する方法を確立し,科学的な根拠を示す必要がある。本研究では被験者の運動情報を3 次元座標値として取得することが可能なモーションキャプチャシステムを用い,歯科衛生士が歯を刷掃する際の歯ブラシの動きを記録した。得られた数値の時系列変化量から歯ブラシの往復運動のピーク周波数と往復幅を反映するパワースペクトル値を算出して,刷掃動作を定量的に評価し,以下の結論を得た。1 .本システムは,被験者の運動情報を高精度かつ連続的に,3 次元空間座標値として取得することができ,刷掃動作時の歯ブラシの動きを定量的に評価することが可能であった。2 .歯科衛生士の刷掃動作の特徴として,上顎右側臼歯部頬側の刷掃時周波数は,左側より低く,また,動きが不安定な傾向があったものの,個体内変動が小さいことから,個人の固有運動リズムが存在することが明らかになった。この固有運動リズムは,歯磨きの有用な指標の一つになり得ると考えられた。
  • 榊原 章一, 中野 崇, 加藤 一夫, 中垣 晴男, 福田 理
    2011 年 49 巻 5 号 p. 459-464
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    齲蝕は歯垢中の細菌が産生する酸が歯質を脱灰することによって起こる。一方フッ化物は齲蝕予防効果があり,歯垢中に低濃度で常時存在することでそれを発揮する。フッ化物による齲蝕予防効果の1 つに歯垢細菌の糖代謝に対する抗酵素作用があり,菌体外への乳酸などの有機酸の生成を抑制する。本論文ではフッ化物の具体的な効果を解明するため,250 ppmF NaF 溶液を用いた際の,歯垢細菌へのフッ化物の影響を調査した。NaF 溶液で洗口した群を実験群,蒸留水で洗口した群を対照群とし,各群の洗口後,10 分後に10%グルコース溶液にて洗口を行い,更にその後5 分後に歯垢採取を行い,採取した歯垢のフッ化物,乳酸及びグルコースの濃度を測定した。本実験より以下の結果を得た。・実験群では,フッ化物濃度は有意に上昇した・実験群ではグルコース洗口後の乳酸の産生濃度が有意に減少した・実験群ではグルコースの残留量が多い傾向にあった本実験の結果より,フッ化物洗口によってフッ化物イオンが歯垢中に取り込まれ,歯垢細菌の乳酸産生を抑制したことが明らかとなった。しかしながら,NaF 溶液による歯垢中フッ化物濃度の上昇は一時的であるため,今後は歯垢中フッ化物濃度を長時間高濃度に維持する方法について検討が必要である。
臨床
  • 岩寺 信喜, 種市 梨紗, 篠口 杏子, 野島 靖子, 南川 元, 吉原 俊博, 八若 保孝
    2011 年 49 巻 5 号 p. 465-473
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において上顎正中埋伏過剰歯に遭遇することは多い。今回我々は,逆生の上顎正中埋伏過剰歯が後方へ移動を示したまれな症例を2 例経験した。2 症例とも,逆生の埋伏過剰歯の存在による歯列咬合などに影響は認められなかった。CT 像により,2 症例とも埋伏過剰歯の歯冠が,上顎骨口蓋突起の鼻腔側の骨を一部突き破っている状態,すなわち粘膜内萌出の状態が観察された。2 症例とも,手術により,埋伏過剰歯は摘出された。その後の経過は良好である。以上のことから,臨床上,逆生の埋伏過剰歯による影響が認められない場合でも,詳細な状態把握により,埋伏過剰歯の摘出が必要になる症例の存在が示され,埋伏過剰歯の状態把握にCT は有効であることが示唆された。
  • 太田 増美, 池田 孝雄, 安達 詩季, 難波 隆夫, 朝田 芳信
    2011 年 49 巻 5 号 p. 474-481
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    第一大臼歯の異所萌出は第一大臼歯の近心位への萌出により近接した第二乳臼歯の歯根吸収を引き起こし,後継永久歯の萌出余地不足を招来する。そのため,早急な第一大臼歯の正常な位置への誘導が必要である。今回,著者らは上顎第一大臼歯さらに上下顎第一大臼歯の異所萌出が認められた2 例においてバンド,エラスティックチェーン,リンガルボタンを利用したHalterman の装置とその改良型装置により第一大臼歯の遠心への萌出誘導を行った。これらの治療の結果以下のことが示された。1 .Halterman とその改良型装置は萌出誘導期間が2~3 か月と比較的短く,装着中に痛みや違和感を示すことはなかった。2 .Halterman 改良型装置は上顎だけでなく下顎の症例に対しても有効な装置であった。このことより,上下顎第一大臼歯の異所萌出に対してHalterman とその改良型装置は比較的容易に第一大臼歯を遠心に誘導することが可能であり,さらに短期間で行えることから患者に負担が少ない有効な治療法であることが示唆された。
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