小児歯科学雑誌
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30 巻 , 5 号
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  • 甘利 英一
    1992 年 30 巻 5 号 p. 867-881
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本論文は,小児歯周組織の時経的な変化を知る目的で,昭和63年度日本歯科医学会委託研究費で1 3 大学の小児歯科学講座が, 1 歳6 カ月, 3 歳, 6 歳, 9 歳および1 2 歳児の総計6,114名の小児を,同一判定基準に基づいて野外調査を行ない,歯周疾患の罹患状態を疫学的に検索した。
    とくに歯肉を中心とした口腔軟組織は,歯列や咬合によって影響を受けるため,歯の萌出や配列による歯肉の影響に対しての検討を目指した。
    観察部位は,年少児の診査も考えて上下顎乳・永久歯の中切歯,犬歯の近遠心,唇舌側中央の辺縁歯肉と正中部の歯肉乳頭である。
    野外調査からは次の結果が得られた。
    歯肉炎の罹患者率は1歳6カ月児ですでに31.9%である。
    以後,罹患者率は次第に増加するが,症状は軽度で,歯垢付着と歯肉炎との相関が年少児では明確でない。
    年少児の歯垢と歯肉炎との関係は,成人とは異なり,歯肉の歯垢への抵抗性,または歯垢の病原性の弱さによるものと考えられる。
    歯肉炎の増悪傾向は,6歳児から見られ,12歳頃には歯石沈着も認められるようになり,成人の歯周疾患の基礎ができ初めてくると考えられる。
    さらに,年小児の診査方法,検索方法の改善が必要と思われた。
  • 鈴木 康生, 山下 登, 佐々 竜二, 岩本 都
    1992 年 30 巻 5 号 p. 882-892
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重度な心身障害児を含む脳性麻痺児の外来歯科診療の可能性と問題点を検討する目的で,その治療時の取り扱い難易度の評価を行った。
    対象は心身障害児施設内に入院(園)する軽度~重度の脳性麻痺児と通院の外来児である。今回,調査対象としたのは施設内歯科室で治療を行い,観察記録をとどめた55名である。評価基準は「協力状態」「顎・顔面の緊張,不随意運動の状態」「呼吸状態,口腔内異常反射の状態」を総合して判定した。評価はランク0~Vの6つに分類した。その結果,
    1)初回治療時の評価では"治療上やや支障あり・困難を伴う"のランクII・IIIの者が50%強を占めていた。
    2 ) 一口腔単位での齲蝕治療完了者は2 6 名で, その平均治療回数は4 . 2 回, また, ランクH~IVの比較的治療困難な者の中でも約半数が治療を完了していた。
    3)外来診療が3回以上継続して行われた者の難易度評価の変化状況をみると,比較的軽度の者では「良化」r不変」がやや多いのに対し,重症児,通院児では「変動」「悪化」の者が若干増える傾向もみられた。また,こうした障害児では歯科治療による変化は,かなり個人差があることがわかった。
    4)処置と難易度との関係では,所要時間に多少影響があることがわかった。以上の結果から,心身障害児でも外来治療の可能性が十分あることが確認されたが,一部の重度脳性麻痺児では外来でのリスクも大きく,鎮静法や全身麻酔下治療が適していることも示唆された。
  • 八若 保孝, 白川 哲夫, 野村 陽子, 小口 春久
    1992 年 30 巻 5 号 p. 893-903
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,口腔習癖を有する小児4人を対象に,筋機能訓練を指導し,それと並行して, 口唇圧計測システムを用いて安静時および嚥下時の上口唇圧( 坐位, 仰臥位) を, また,ばね秤を用いて口輪筋の強さを計測し,口唇圧と筋機能訓練,口唇圧と口輪筋の強さの関係を調べた。それに加えて,嚥下時口唇圧計測と同時系列で口輪筋の筋活動を表面電極により導出し,両者の関係についても調べ,以下の結果を得た。
    1)安静時上口唇圧の平均値は,訓練開始前で1.23g/cm2(坐位),1.59g/cm2(仰臥位)であり, 訓練開始後3 カ月で1.77g/cm2 (坐位),1.93g/cm2 (仰臥位) であった。安静時においては,対象小児4人のうち3人に上口唇圧の増加傾向が認められた。
    2)嚥下時最大上ロ唇圧の平均値は, 訓練開始前で4.35g/cm2(坐位),2.18g/cm2(仰臥位)であり, 訓練開始後3 カ月で8.38g/cm2(坐位),9.28g/cm2(仰臥位)であった。嚥下時においては,対象小児全員に上口唇圧の増加傾向を認めた。しかし,嚥下時の口唇圧の圧波形および最大口唇圧には著しいぱらつきを認めた。
    3)口輪筋の強さは,筋機能訓練により増加した。しかし,口唇圧の変化と口輪筋の強さの変化には,一定の相関関係は認められなかった。
    4)計測された上口唇圧が,口輪筋の筋活動を反映したものであることが示唆された。
    5)健常成人と比較して,対象小児の嚥下における口唇圧と口輪筋の筋活動との間に時間的ばらつきを認めた。これは小児の嚥下における筋の調和がまだ不十分であることの現れであると推測された。
  • 藤岡 万里, 山口 滋美, 井上 美津子, 佐々 竜二, 佐々木 洋, 福原 達郎
    1992 年 30 巻 5 号 p. 904-915
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳臼歯一歯のみの早期喪失が小児の咀嚼機能に対して,どのような影響を及ぼしているかについて検討を行った。
    被検児は, Hellmanの歯年齢IIA, IICで下顎第一乳臼歯一歯のみ早期喪失している小児10名(欠損群)と,欠損がなく歯列,咬合などに問題のない小児10名(対照群)を用いた。方法としては, MKG-K6を用いてガムとピーナッツのそれぞれの咀嚼運動パターンを経時的に観察し分析,検討を行った。
    1)定型的咀嚼パターンは,対照群及び欠損群の非欠損側で多くみられた。
    2)定型的咀嚼パターンは,ピーナッツ咀嚼時よりガム咀嚼時において多くみられた。
    3)経時的観察の結果,欠損群において習慣性咀嚼側が非欠損側片側のままの者と,両側へ移行した者とがみられた。また,定型的咀嚼パターンの出現率が上昇変化した者と変化しない者とに分かれた。
    以上のことより,乳臼歯一歯のみの早期喪失が,咀嚼機能に少なからず影響を及ぼしていること,また経時的観察により,この機能の改善には個人差があることが示唆された。
  • 木村 光孝, 内上堀 征人, 牧 憲司, 木村 京子, 高江洲 旭, 若杉 淳二郎, 古谷 充朗, 横本 満, Raymond L. Bra ...
    1992 年 30 巻 5 号 p. 916-924
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    光重合型裏層材FUJILININGLCの歯髄刺激を成犬を用いて病理組織学的に検索を行い,次のような結果を得た。
    1) 術後1 日目から3 日目の所見では, 窩底および窩壁から象牙細管に沿った部の象牙芽細胞は萎縮,消失がみられ軽度の炎症性細胞浸潤が認められた。
    2) 術後7 日目では, 象牙芽細胞層には萎縮, 消失および空胞形成などの所見もみられ,軽度の炎症性細胞浸潤は継続していた。
    3) 術後1 4 日目に至ると, 象牙芽細胞層には萎縮, 消失などが認められたが, 炎症性変化は消退し,修復象牙質の形成開始所見が認められた。
    4)術後35日から術後62日経過すると,象牙芽細胞層には軽度の変化は認められるものの,修復象牙質の新生が認められ,回復所見が認められた。
    以上の結果から,病理組織学的には,光重合型裏層材 FUJI LINING LC は,歯髄に及ぼす影響は少ないものと推定された。
  • 井上 美津子
    1992 年 30 巻 5 号 p. 925-946
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低年齢児における乳臼歯隣接面齲蝕の発生状況と, それに関連する要因について知る目的で,来院した3歳児302名を対象に調査を行った。乳臼歯隣接面齲蝕の検出には,咬翼法エックス線写真を用いた。また,関連要因としては口腔内・外の諸要因から21項目を選び,これらを3群に分け,乳臼歯隣接面齲蝕発生との関連について数量化分析を用いて検討した。その結果,以下の結論を得た。
    1)咬翼法エックス線診査の結果,第1,第2乳臼歯隣接面の50.7%に何らかの透過像が認められ, また, 対象とした3歳児302名中233名(77.2%) に乳臼歯隣接面齲蝕の発生が認められた。
    2)歯種, 歯面別に隣接面齲蝕の発生状況をみると,上顎乳臼歯より下顎乳臼歯, 第2 乳臼歯より第1乳臼歯の発生率が高かった。
    3) 乳臼歯隣接面相互間には, 齲蝕の有無に関して高い一致率が認められ,また齲蝕の有無および程度に関して,すべての歯面間に有意な関連が認められた。
    4)すでに他部位に平滑面齲蝕を有している小児では,90%以上の高率で乳臼歯隣接面齲蝕の発生が認められた。
    5)口腔内・外の諸要因と乳臼歯隣接面齲蝕との関連を, 数量化I 類およびII類を用いて分析した結果,現在の口腔環境にかかわる要因群の重相関係数が最も高い値を示し,特に「甘味物の摂取状況」と「カリオスタット値」の関与が大きいことが示された。
  • 石川 雅章, 張 抒, 孫 暁玲, 舩山 研司, 中田 稔, 神山 紀久男, 祖父江 鎮雄, 長坂 信夫, 小椋 正, 鄧 輝, 石 四箴, ...
    1992 年 30 巻 5 号 p. 947-955
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヒトの歯の大きさでは,従来より有意な左右差はほとんどないとされている。著者らは,1990年に行われた日中共同中国人小児歯科疾患学術調査より得られた歯列模型を計測するなかで,上顎永久前歯部歯冠近遠心幅径の左右対称性に着目して分析したところ,以下の結論を得た。
    1)中切歯,側切歯,犬歯とも左右側それぞれの平均値間には,有意な差はみられなかったが,左右差絶対値の平均からは,左右差がゼロであるという仮説は棄却された(P<0.001)。
    2)側切歯の左右差を横軸に,中切歯の左右差を縦軸に両者の散布図を描き,その相関を求めると,全178症例では1%の危険率で,側切歯に栓状や矮小の観察される8例を除いた170例では0.1%の危険率で,有意な負の相関が認められた。すなわち,中,側切歯間には,それぞれの歯冠近遠心幅径の大小を相互に補償しあう関係が存在すると思われた。
    3)中切歯と犬歯,側切歯と犬歯の組み合わせの左右差散布図では,どちらも有意な相関は認められなかった。
    4)中,側切歯散布図を男女別に検討すると,以上の補償関係は男児により明瞭に発現していた。
    5) 左右の側切歯のどちらか又は双方に先天的欠如, 栓状, 矮小が観察される側切歯特異例, および側切歯の左右差が0.5mm以上ある症例を個別に検討すると, 側切歯が矮小の形態をとる場合にのみ,この補償関係は観察されず,小さいほうの側切歯と同側の中切歯は,対側と同じであるかやはり小さくなっていた。
  • 嘉藤 幹夫, 永井 利明, 稗田 豊治
    1992 年 30 巻 5 号 p. 956-963
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    クラウンディスタルシューを使用したとき,咬合力によって,クラウンディスタル を用いて解析し,変位および相当応力の変化から検討を行った結果,以下の結論を得た。
    1. クラウンディスタルシューに咬合力が加わることにより, クラウンディスタルシューは,遠心で下方に変位し,ディスタルシューの遠心端がもっとも大きく変位することを認めた。
    2.クラウンディスタルシューに咬合力が加わることにより,クラウンディスタルシューのクラウンとディスタルシューの連結部分でもっとも相当応力が高くなることを認めた。
    3.クラウンディスタルシューに咬合力が加わる位置が,クラウンとディスタルシューとの連結部分に近いほど,変位および相当応力が低くなることを認めた。
    4. クラウンディスタルシューは, クラウンとディスタルシューとを鑞着して作製するのではなく,むしろ鋳造して一塊型とするほうが脱離,脱落および変形が少ないと考えられる。
  • 南 貴洋, 青野 亘, 長島 滋, 田村 康治, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1992 年 30 巻 5 号 p. 964-969
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ウーロン茶抽出物のヒト口腔内におけるプラーク沈着に対する抑制効果を検討した。35名の被験者に対し,口腔内のプラークを除去後,3日間口腔内清掃を禁止し,ウーロン茶抽出物溶液による洗口のみを行わせた。その結果,プラークの沈着量が対照実験にくらべて有意に減少した。しかし,唾液中の総レンサ球菌数およびミュータンスレンサ球菌数については変化が認められなかった。以上の結果は,ウーロン茶抽出物がプラーク形成に対する抑制作用を有していることを示している。
  • 宮迫 隆典, 一瀬 智生, 市川 史子, 吉田 かおり, 山本 益枝, 信家 弘士, 長坂 信夫, 川端 康司
    1992 年 30 巻 5 号 p. 970-978
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,小児の健全な成長発育を把握し,地域の歯科医療の推進に貢献する目的で,広島県湯来町の保育所および幼稚園の協力を得て,昭和62年より毎年,幼児の歯科検診を実施し,幼児の口腔内の縦断的観察を行っている。今回,幼児の生活環境のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。
    1)自分自身の齲蝕予防に心がけている親は41.9%であった。
    2)幼児の食生活では,果実,菓子類が好まれ,野菜類は好まれない傾向が認められた。おやつの回数は, 通園日1 日1 回および休園日1 日2 回が約80%を占めた。また, 6歳児の買い食いは, 4歳,5歳児の15~20%と比較して, 約40% と増加しており, 6 歳と他の年齢間に統計的有意差を認めた。
    3)幼児の歯磨きでは,朝食後と就寝前の歯磨きが70%以上を占め,就寝前以外の歯磨きでは,幼児自身が磨くことが多く,時間も短かったが,就寝前の歯磨きでは,過半数以上の親が手伝い,3分以上磨く者の割合が多かった。
    4) 親子関係では, 親自身が齲蝕予防に心がけている方が心がけていない方より, 朝食後,夕食後に子供の歯磨きをよく手伝い,おやつを与える回数も少なく,統計的有意差を認めた。
  • 細矢 由美子, 池田 靖子, 高風 亜由美, 安藤 匡子, 後藤 讓治
    1992 年 30 巻 5 号 p. 979-988
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    牛乳歯エナメル質に対するレジンの接着性に及ぼす光照射時間の影響について観察した。
    ボンディング材とコンポジットレジンは,クラレ社製 Photo Bond と Photo ClearfilA(シェード:US)を使用した。エッチングは,40%正燐酸ゼリーで30秒間行った。光照射は, ボンディング材に対して10秒間, コンポジットレジン材に対して20, 40及び6 0 秒間行った。サーマルサイクリング試験の有無別に剪断接着強さを測定した。剪断試験後のエナメル質面とレジン面をSEMで観察した。
    1)非サーマルサイクリング群並びにサーマルサイクリング群ともに,剪断接着強さは光照射時間が40秒と20秒間並びに40秒と60秒間で有意差がみられ,40秒の場合が高かった。さらに,60秒と20秒間にも有意差がみられ,60秒が高かった。
    2)光照射時間別に接着強さを非サーマルサイクリング群とサーマルサイクリング群間で比較すると,両群間に有意差がみられたのは,光照射時間が20秒の場合のみであり,サーマルサイクリング群の方が高かった。
    3)剪断接着強さは,必ずしも光照射時間の延長に伴い増加するものではなかった。
    4) 光照射時間が20秒と短い場合には, 剪断力によりエナメル質と接する部位のレジンが容易に破折し,接着強さは低かった。
  • 塩野 幸一, 清水 久喜, 上田 泰弘, 柿元 協子, 谷 斉子, 小椋 正, 斎藤 徹, 神山 紀久男, 石川 雅章, 小野 博志, 武井 ...
    1992 年 30 巻 5 号 p. 989-1010
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科疾患と咀嚼機能との関連を検討するため, ゼラチンで調製した3 種類の咀嚼ゼリーを使用し, 北京, 楽山および香港に在住する中国人小児に対して, 自由に咀嚼させ嚥下するまでの咀嚼時間と咀嚼回数を記録し,咀嚼機能を評価した。
    1.無齲蝕児と重症齲蝕児の間に大きな差は認められなかった。
    2.嗜好性によって咀嚼機能は大きな影響を受けなかった。
    3.正常咬合児と不正咬合児の咀嚼機能に著名な差は見出せなかった。
    4. 調査した3 地区の中で, 楽山の幼児は北京と香港に比較して咀嚼能力が高いことが示唆された。
  • 楽木 正実, 大土 努, 新谷 誠康, 張 美華, 祖父江 鎭雄, 宇根 成実
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1011-1016
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    萌出途上にある幼若永久歯の小窩裂溝填塞剤として,リン酸四カルシウム(4CP)にフッ化物を配合したものを粉末としたセメントを試作し,理工学的性質およびエナメル質におよぼす影響について検討した。フッ化物としては,フッ化カルシウムまたはフッ化ストロンチウムを用いた。硬化液はリンゴ酸15.0wt%,ポリアクリル酸30.0wt%(数平均分子量5000),およびトリカルバリル酸5.0wt%の混合液を用いた。4CPセメントにいずれのフッ化物を配合しても,硬化時間は延長し,圧縮強度は低下し,崩壊率は増加した。フッ化カルシウムでは30%まで,フッ化ストロンチウムでは2%まで配合した4CPセメントは,硬化時間と圧縮強度についてのカルボキシレートセメントのADA規格(No.61)を満たしていた。フッ化カルシウムを2または30%,またはフッ化ストロンチウムを2%配合した4CPセメントを用いて牛歯エナメル質中へのフッ素の取り込み量を測定した結果,いずれのセメントからもフッ素が取り込まれていることが判明した。
  • 土肥 順尚, 長澤 篤, 水柿 文子, 辺見 敏代, 宮内 充子, 川島 成人, 大西 敏雄, 岡田 玄四郎, 鬼満 雅, 近藤 政子, 赤 ...
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1017-1024
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺者は,筋の発育障害,筋協調運動の異常により各種の機能障害をもつことが多く,このことがさらに骨格的な形態に影響を及ぼしている。従来,脳性麻痺者は顔面の変形,歯列弓並びに口蓋の形態異常が多いことが報告されているが,この三つの関係について検討した報告は見られない。そこで今回は,脳性麻痺者の顔面の変形状態と歯列および口蓋形態との関係を検討するため,脳性麻痺者19名を被験者に,さらに顔面の変形を有する脳性麻痺者7名と,顔面の変形のみられない脳性麻痺者12名とに分類し,対照として顔面の変形のみられない健常者の成人7名より採得した上顎石膏模型を資料にした。そして,歯列弓形態と口蓋形態との関係については距離的測定のほか,定量的に分析できるフーリエ級数を応用し観察したところ,以下の知見を得た。
    1.健常者では,歯列弓形態と口蓋の浅層約1/4の領域との間に有意な相関を認めた。
    2.脳性麻痺者全体では,歯列弓形態と口蓋の浅層から約3/4までの領域との間に有意な相関を認めた。
    3.顔面の変形のみられない脳性麻痺者では,歯列弓形態と口蓋の浅層から約1/2までの領域との間に有意な相関を認めた。
    4.顔面の変形を有する脳性麻痺者では,歯列弓形態と口蓋の浅層から約3/4までの領域との間に有意な相関を認め,変形を有する者は変形がみられない者より歯列弓形態が口蓋の深部まで影響を及ぼしていると推察された。
  • 森主 宜延, 奥 猛志, 松本 晉一, 豊島 正三郎, 小椋 正, 堀 準一
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1025-1030
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京都内4高校生1,343名を対象に顎関節症の発症頻度,徴候の分布,徴候形態について調査し以下の結論を得た。
    1.東京都内高校生の顎関節症の発症頻度は,本研究では17.4%であった。
    2.顎関節症の性別発症頻度は,男子15.7%,女子19.4%と女子が高頻度を示したが,統計的有意差を示さなかった。
    3.顎関節症の発症は,学校間に差がみられた。
    4. 3徴候の内,顎関節雑音が最多分布頻度を示した。
    5.徴候形態の分布頻度から,単独形態が高頻度を示し,複合形態については,女子が男子と比較し高頻度を示した。
    6.学年別顎関節症の発癌頻度の推移から,3年生が定量,定性的にも発症頻度が増加する傾向が示された。
  • 森主 宜延, 奥 猛志, 堀川 清一, 豊島 正三郎, 小椋 正, 堀 準一
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1031-1036
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東京都内の高校生1,343名を対象に,アンケート,インタビュー,そして臨床診査の3調査法による顎関節症の発症頻度の差について検討し,以下の結果を得た
    1. 3調査法による顎関節症の発症頻度は,インタビュー,アンケート,そして臨床診査の順に高頻度であった臨床診査とインタビュー間に有意差が示された
    2. 3調査法による発症頻度の性差は統計学的にはなかったしかし,学校別による差はあり,男女学生数の差の著しい学校では,3調査法による発症頻度に大きな差が示された.
    3.顎関節症状の有無の3調査法間の一致率は比較的高かったが,症状形態の一致率は低かった.
  • 木村 光孝, 西田 郁子, 尾崎 章寿, 今村 隆子, 太田 和子, 村田 真知子
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1037-1047
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    血液検査は生体の代謝状態を理解するために必要不可欠なものであり,その正常値を把握することは大変意義がある。しかし,その値も年齢によって変動するため,ヒトでは離乳期,幼児期,学童期,思春期,成年期,壮年期,老年期に相当するラットを用いて血液検査を行い,次のような結果を得た。
    1)ビリルビンは離乳期,成年期で高値を示す。
    2)総蛋白量は年齢とともに増加する。
    3)GOT,GPT,LDH,CPKは年齢とともに増加し,思春期および老年期で高くなる。ALPは離乳期,学童期,思春期で高値を示す。γ-GTPは離乳期で低く,学童期で高値を示す。
    4)コレステロールは離乳期および老年期で高値を示す。トリグリセライドは年齢とともに増加し,壮年期後減少する。
    5)糖質は成年期まで年齢とともに増加する。
    6)BUN,クレアチニンは離乳期,思春期で高値を示す。尿酸は離乳期で高い値を示す以外はほぼ一定の値を示す。
    7)Na,Clはほぼ一定の値を示す。K,Pは離乳期で高くその後減少する。Caは離乳期思春期,成年期で高値を示す。
    8)C-PTHは思春期,成年期,老年期で高値を示す。N-PTHは離乳期で高値を示す。CTは年齢的変動はみられない。1,25(OH)2VDは幼児期,成年期,壮年期で高値を示す。
  • 佐野 正之, 田辺 盛光, 佐藤 直芳, 諸星 孝夫, 吉村 譲, 岡藤 正樹, 巣瀬 賢一, 鹿田 裕子, 五嶋 秀男
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1048-1055
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    4歳8ヵ月の女児が,上顎左側第二乳臼歯の萌出遅延を主訴として来院した。エックス線診査の結果,上顎左側第二乳臼歯は完全に埋伏していた。その咬合面上に長径5~6mmの楕円径の透過像があり,その内に3~4mm程度の石灰化物様不透過像が観察された。石灰化物様硬組織を外科的に摘出し,病理組織学的検索を行った。その結果,集合性歯牙腫と診断した。また,歯牙腫をエックス線マイクロアナライザーで元素分析したところ,象牙質内ではカルシウムはほぼ均一であった。しかし,エナメル質内ではカルシウムおよびリンは複雑な濃度分布を示した。マグネシウムはエナメル象牙境にかけて高い濃度で存在していた。
  • 南 かおり, 塩野 幸一, 豊島 正三郎, 小椋 正, 旭爪 伸二
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1056-1063
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    9歳11ヵ月女児に,上顎両側犬歯の萌出異常が認められ,左側のみ側切歯歯根吸収が著しく,抜歯を余儀なくされた症例を経験した。そこで,本症例の臨床所見および治療経過を述べるとともに,側切歯歯根吸収の原因を推察し,さらに切歯歯根部の異常吸収に対する診査の要点などを検討し,以下の結論を得た.
    1.上顎左側側切歯歯根吸収については,犬歯の萌出異常と短期間で生じた急速な傾斜,嚢胞の存在,さらに前歯の短根傾向とが重複していたことが原因であると考えられた.
    2.上顎両側犬歯の萌出異常は,歯と顎骨の不調和,いわゆるdiscrepancyに起因するものではなかった。
    3. 10歳頃,口腔内診査を行い,犬歯歯冠部の位置が確認できない場合や位置異常がある場合,また側切歯の傾斜などがみられる場合は,歯根吸収の危険性を考慮し,パノラマエックス線写真などのレントゲン診査を行う必要があると思われた。
    4.パノラマエックス線写真で,犬歯歯冠部が著しく近心位にあり,その歯軸傾斜が近心に強い場合には,注意深い観察が必要である。また可能であれば,犬歯と切歯の位置関係および切歯の歯根吸収の位置と程度を確認するために,断層エックス線写真撮影を行うことが好ましいと思われた。
  • 宮沢 裕夫, 岩崎 浩, 大西 敏雄, 今西 孝博
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1064-1073
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Idiopathic hyperglobulinemic renal tubular acidosisは腎尿細管における重炭酸イオンの再呼吸障害に起因する代謝性アシドーシスを呈する疾患群である。症例は,初診時12歳4ヵ月の女児であった。全身所見は,身長93cm(-7.3SD.),体重12kg(-3.5SD.)と著しい発育の遅れが認められ人形様顔貌,鳩胸,クル病性念珠を呈していた。下肢はX脚で外反膝,および膝関節の屈曲拘縮,さらに内反足が認められた。また,手格骨エックス線より骨年齢は約8歳であった。口腔内所見としては,BDEに晩期残存がみられ,6|6は修復処置が施されていた。また,上下顎前歯部を中心に歯頸部付近の軽度な歯根の露出と歯牙の動揺が認められた。特に上顎中切歯では,歯肉の炎症,歯牙の動揺が著しく挺出も認められた。頭部エックス線規格写真より上下顎骨の前後的劣成長が認められ,特に上顎骨にその傾向が著明であった。
  • 谷地田 知子, 大島 邦子, 小杉 誠司, 野田 忠, 福島 祥絋
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1074-1080
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来において, 小児の頬粘膜に生じたInflammatory Fibrous Hyperplasiaを2症例経験し,次のような臨床的所見および病理学的所見を得た。
    1)患児は,11歳4ヵ月の女児および8歳6ヵ月の男児で,ともに既往歴,家族歴,全身所見に特記すべき事項はなかった。
    2)口腔内所見では,2症例とも左側頬粘膜に,小豆大および米粒大の境界明瞭,広基性の腫瘤が認められた。表面は平滑で正常粘膜色だった。臨床診断は粘液嚢胞の疑いであった。
    3)病理組織学的にみると,腫瘤の主体は膠原線維の増生で,筋性血管や神経線維束もみられ,また,僅かであるが上皮直下に慢性炎症細胞の浸潤もみられた。腺組織はみられなかった。病理組織学的診断は,Inflammatory Fibrous Hyperplasiaであった。
    4)処置方法は,局所麻酔下にて腫瘤を摘出した。術後の経過は良好であり,再発は認められない。
  • 一瀬 智生, 小倉 勇人, 吉田 かおり, 長坂 信夫
    1992 年 30 巻 5 号 p. 1081-1093
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,本学小児歯科外来を訪れた患児の中で,乳歯列に発現した乳歯過剰歯を有すると思われる4症例に遭遇した。3歳9ヵ月男児,6歳4ヵ月男児,4歳3カ月男児,3歳6カ月女児で,男児の3症例は上顎右側乳切歯部に,女児の1症例は下顎乳中切歯部に発現したものであった。家族歴には,6歳10ヵ月の同胞の兄に右側上顎乳中切歯が双生歯を呈し,その他,特記すべき事項はない。既往歴は,右側口唇裂の既往を有する症例が1例あり,その他,特記すべき事項はない。
    過剰歯はいずれも乳歯列弓内に存在し,色調は乳歯色,歯冠形態は乳切歯型をとっていたが,若干の形態異常を呈するものもあった。形態異常には,辺縁隆線の発達,偶角の鈍角化,歯冠長の増加などが認められた。乳歯列の過剰歯が歯列に与えている影響として,乳歯過剰歯および隣在歯の捻転,正中線の編位,捻転に伴う切端咬合,側方歯群の1歯対1歯の咬合が認められた。
    エックス線診査の結果, 乳歯過剰歯の歯根形成状態, 歯根吸収状態, 歯髄腔の状態, そして歯冠歯根比に特に異常はみられなかった。また,乳歯過剰歯の後継永久歯の存在は,4例中3例に認めた。
    乳歯過剰歯と判定するにあたって,男児の2症例は歯冠形態から乳歯過剰歯と判定できたが1例は隣在歯と同形態を呈し判定に困難を極めた。また,女児の1症例は,後継永久歯胚の位置と大きさによって乳歯過剰歯と判定することができた。
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