小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
37 巻 , 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 日本小児歯科学会
    1999 年 37 巻 5 号 p. 893-914
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    現在各大学において小児に対する齲蝕予防,齲蝕進行抑制に対する取り組みが基本的にどのように行われているかを明らかにするため,平成10年12月に全国29の歯科大学,大学歯学部の小児歯科の小児歯科学講座に対しアンケート形式による調査を行い,集計・分析を行った。
    1.保護者教育では集団指導に比べ個人指導に重点がおかれ,その指導内容も間食指導,口腔清掃指導を中心とした指導が行われていた。
    2.各大学においてフッ化物の応用は積極的に行われており,またフッ化ジアンミン銀溶液は3歳未満の患児への齲蝕進行抑制剤として使用されていた。小窩裂溝填塞にはフッ化物添加の填塞材を応用している大学が多かった。
    3.定期健診ではほとんどの大学において間食指導,ブラッシング指導,フロッシング指導,フッ化物や小窩裂溝填塞材の応用が行われていた。また,咬翼法エックス線写真撮影,プラークスコア算出,齲蝕活動性試験もほぼ半数の大学において行われていることがわかった。
    4.非協力児への対応は,各大学とも定期健診の間隔を短くするなどし,口腔清掃指導は保護者も含めて予防に重点をおいた対応をとっていることがわかった。また,各大学ともPMTC(Professional mechanical teethcleaning)は有効であると考えており,大半の大学では実際に行われていた。しかしコンピュータによる齲蝕抑制の管理やレーザーの使用などは機器が高価なことからあまり利用されていなかった。
  • 仲岡 佳彦, 田村 康夫
    1999 年 37 巻 5 号 p. 915-932
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,筋電図積分値平均移動曲線法を用い,乳房哺育児36名を対象に乳児の成長発達による吸啜時の口腔周囲筋筋活動の筋協調パターンを検討し,さらに乳児26名を対象に,乳房哺乳と各種人工乳首哺乳間との筋協調パターンの違いについても比較検討を行ったものである。その結果,以下の結論を得た。
    1)乳房哺乳群全体の吸啜サイクル時間の平均は632.3msで,月齢問に有意な差は認められなかった。筋活動ピーク時間およびピーク時間割合は,いずれの群も舌骨上筋群が1吸啜サイクルの中で後半に位置していたのに対し,側頭筋,咬筋および口輪筋の活動ピークは前半に位置していた。1吸啜サイクルで参加する筋の順序は,口輪筋と側頭筋が最も早く,次いで咬筋,最後に舌骨上筋群の順であった。
    2)乳房哺乳群,丸型人工乳首群,有弁型人工乳首群の3群で吸啜サイクル時間とピーク時間を比較すると,授乳形態間で有意な差は認められなかった。
    3)ピーク時筋活動量は,いずれの授乳形態においても舌骨上筋群が最も大きい活動を示し,次いで口輪筋であり,側頭筋と咬筋はほぼ同程度の筋活動量を示していた。しかし各筋では授乳形態間で有意な差は認められなかった。
    以上より,吸啜運動では一定の筋協調パターンが存在することが明らかとなり,それは月齢により変化しないこと,また授乳形態にもほとんど影響されないことが明らかになった。
  • 芥子川 浩子, 原田 洋, 龍崎 健栄, 田村 康夫
    1999 年 37 巻 5 号 p. 933-947
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,吸啜から離乳食への移行期間と,その後3歳児および成人における咀嚼運動について,咀嚼運動リズムと咀嚼筋筋協調パターンの観点から検討を行った。吸啜群(23名)をコントロールとし,1群は6,7か月児(14名)を,2群は8,9か月児(14名)を,3群は10か月-1歳児(8名)を,4群は1-2歳児(7名)を,5群は3歳児(13名)を,また6群は成人(10名)を対象とした。被検食品は米飯をそれぞれの年齢に併せて用いた。
    1)乳児は,離乳食開始問もない頃より既に視覚的に食物を認識後,開口動作,摂取動作,咀嚼様運動,嚥下運動の順で咀嚼を行っていた。
    2)サイクル時間と持続時間は,1群から3群で有意に長く,その後4群から6群で有意に短くなった。
    3)離乳期乳児は舌骨上筋群の活動が活発で,側頭筋と同時に活動する様相が認められた。そこで筋協調パターンを側頭筋と舌骨上筋群の筋活動から,持続的舌圧接型,周期的舌圧接型および成熟型の3型に分類した。
    4)持続的舌圧接型の占める割合は1群で最も高く,2,3群で次第に減少し,4群以降では著明に減少した。一方,周期的舌圧接型は1群から4群までは共通して50%以上と高かったものの,その後は減少していた。
    5)成熟型の咀嚼パターンは,成長発育に伴い明瞭に増加していた。
    以上の結果より,離乳初期では舌を活発に使用し,閉口筋と同時に活動する咀嚼パターンが観察されたが,離乳の進行と成長発育に伴い,顎閉口筋である側頭筋・咬筋と,開口運動や食物の転送に携わる舌骨上筋群との機能の分離が進み,次第に咀嚼機能が成熟することが示唆された。
  • 大山 洋, 進士 久明, 熊坂 純雄, 大館 満, 山本 有美, 内村 登
    1999 年 37 巻 5 号 p. 948-952
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の齲蝕は,咬合機能に為害作用を与えるため,咀嚼器官の正常な成長発育を育成するには口腔諸器官の機能と形態に十分考慮し,修復する必要がある。本研究では,齲蝕重症度指数(CSI)を指標として乳歯列をCD0-6群に分類し,咬合接触面積,咬合力および平均咬合圧力をデンタルプレスケール®50-HのTypeRを用いて評価を行い,齲蝕が小児期の咬合発育に及ぼす影響について検討し,以下の結論を得た。
    1.咬合接触面積において,CD0群およびCD1群はCD3群,CD4群,CD5群およびCD6群に比較し,有意に高い値を示した。また,CD2群はCD3群とCD6群に比較し,有意に高い値を示した。
    2.咬合力において,CD0群,CD1群およびCD2群はCD3群,CD4群,CD5群およびCD6群に比較し,有意に高い値を示した。
    3.平均咬合圧力においては,各群間で統計学的に有意な差は認められなかった。本結果からCSI値が大きくなるに従い咬合接触面積,咬合力は低下することが示唆された。特にCSI値が10より大きくなると咬合接触面積や咬合力は著しく低下することが明確となった。したがって齲蝕の予防はもちろん,齲蝕に対しては,できるだけ早く治療を行い,生理的な咬合発育に近ずける必要があると考えられた。
  • 白數 慎也
    1999 年 37 巻 5 号 p. 953-960
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutans は歯の齲窩から多数検出されることなどから本菌が齲蝕の重要な原因菌であると報告されている。そのため齲蝕の進行に伴いS.mutansが歯髄に進入し,歯髄細胞に障害を与える可能性が考えられる。そこで本研究ではS.mutansによる細胞致死活性がヒト歯髄培養細胞において発現されるかを調べ,さらにS.mutansが歯髄細胞においてアポトーシス細胞を誘導するか否かについて検討した。細胞致死活性率は3-[4,5-dimethylthiazol-2yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)法,lactate dehydrogenase(LDH)法および5-bromo-2'deoxy-uridine (BrdU)法により測定し,これらの値は有意に上昇した。また,アガロースゲル電気泳動,フローサイトメトリーおよび enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法によりDNAの断片化を確認し,アポトーシス誘導を検討した。以上のことから,S.mutans による歯髄細胞の細胞死はアポトーシスによるものであると示唆された。
  • 原 直仁
    1999 年 37 巻 5 号 p. 961-972
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    覚醒剤常用者を母体として出生した新生児口腔領域の発育にどのような影響が現われるのかを調べる目的で,特に舌乳頭の茸状乳頭に注目して観察を行った。
    実験群は妊娠直後のラットに塩酸メタンフェタミンを出生前日まで連日投与し,それより生まれてくる新生児ラットを観察した。対照群は同容量の生理食塩水を投与した母親から生まれてくる新生児ラットを用いた。出生後,1週,3週,5週のラットの茸状乳頭とその上皮剥離標本である結合織芯(connective tissuecore)の微細形態を走査電子顕微鏡で観察した。
    生後1週では,茸状乳頭は円形のドーム型を呈し,対照群と実験群に著明な差は認められなかった。しかし,生後3週ではCTCで実験群の茸状乳頭は対照群と比較して先端が細くなっていた。生後5週では外形においても実験群の茸状乳頭は明らかに萎縮像が認められ,CTCでは不規則な形態が認められた。
    本研究の結果,覚醒剤常用者を母体とする新生児への影響は,口腔諸組織の発育に大きく関与し,これらの形成不全から機能障害が誘発されることが示唆された。
  • 進士 久明, 檜山 雄彦, 松原 聡, 小澤 伸也, 内村 登
    1999 年 37 巻 5 号 p. 973-980
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    機械的なブラケット撤去によるエナメル質の損傷や撤去時の衝撃による患者の不快感などを減弱させる目的で,炭酸ガスレーザーを応用した金属製ブラケットの撤去法を検討し,以下の結論を得た。
    1.エナメル質に直接レーザーが照射されても表面構造に変化を認めず,かつ,効果的にブラケット撤去が可能であった照射条件は,ノーマルパルスで,出力2W,パルス幅20msec,繰り返し率20ppsで,4秒間同一部位への照射であった。
    2.適切な照射条件により,ブラケット撤去を行った歯の観察では,接着剤がレーザーの熱により軟化されていたが,ブラケットベース周囲のエナメル質には,変化が認められなかった。
    3.炭酸ガスレーザーを応用してブラケットの撤去を行った歯の歯髄組織への影響を検討した結果,歯髄には著明な変化が認められなかった。
    以上より,炭酸ガスレーザーを応用したブラケット撤去は,エナメル質に対して安全であり,患者への衝撃も少なく有効なブラケット撤去法であることが示唆された。しかし,レーザー光が金属に照射された場合には,反射するという性質があるため,照射位置や角度を考慮に入れ,周辺組織の安全性を確保し,ブラケット撤去を行う必要がある。また,歯面とブラケット間の接着剤へ適切に照射されない場合は,かなりの撤去時間を要するなど未だ改良しなければならない点が存在した。
  • 高橋 喜久雄, 飯島 美智子, 赤岩 けさ子, 羽場 千砂子, 兼元 妙子, 吉田 正一, 小柴 宏明, 谷口 和義, 藥師寺 仁
    1999 年 37 巻 5 号 p. 981-990
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    過去5年間に船橋市さざんか歯科診療所を受診した障害児106名について実態調査を行った。また,併せて船橋市在住の障害児の保護者464名を対象に無記名方式のアンケート調査を行い,受診患者側の要望について検討した。
    1.受診小児の年齢は3歳から18歳,平均7歳9か月であった。障害別分類では,精神遅滞が30.2%と最も多く,次いで自閉症27.4%,精神遅滞・自閉症合併例14.2%,Down症候群11.3%であった。
    2.処置内容では,歯周治療(491歯),保存修復(432歯),小窩裂溝填塞(247歯)が多かった。
    3.治療時の対応法としては,レストレイナー®の使用が55.7%を占めていた。また,受診小児の約1割は全身麻酔下の治療のため大学病院へ紹介されていた。
    4.アンケートの回収率は56.9%であった。歯科受診の既往は80.7%にみられ,受診機関では一般歯科診療所が68.5%と最も多かった。
    5.治療に関する情報の入手経路は,「障害を持つ仲間から」との回答が26.1%で最も多かった。一方,無回答および「入手経路がない」との回答が合わせて39.0%を占めていた。
    6.歯科的な希望事項に関しては,「歯科健診(31.9%)」,「齲蝕治療(31.1%)」,「齲蝕予防処置(15.7%)」,「歯石除去(11.9%)」等が多く,障害児の保護者が齲蝕の治療だけでなく,口腔衛生全体に関心を持っていると考えられた。
  • 三輪 全三, 井川 資英, 飯島 英世, 齋藤 亮, 高木 裕三
    1999 年 37 巻 5 号 p. 991-999
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において乳歯および幼若永久歯の歯髄の生死診断法としては従来からの電気診断法が主流であるが,この方法は患児に痛みを与えるほか,返答に客観性を欠く,感覚閾値の高い歯では反応しないなどの欠点がある。今回,著者らは透過光光電脈波法を用いて,小児の健全および外傷を受けた幼若永久前歯を対象として,歯髄血流に由来する脈波の検出を行い,小児の幼若永久歯の歯髄診断への応用を検討した。
    歯髄透過光光電脈波の導出のため,予め被検歯の個歯アダプターを即重レジンを用いて作製し,これに組み込んだ光ファイバーを介して被検歯口蓋側より発光ダイオード(LED)からの青緑色の一定の強度の光を照射し,唇側から透過光を採取した。透過光は,CdS光電セルにより光電変換し,歯髄脈波として検出した。同時に指尖脈波も導出し,データーレコーダーに記録した後,必要に応じて平均加算などの波形処理を行った。
    その結果,小児の健全な幼若永久歯からは成人の永久歯よりも明瞭な,指尖脈波に同期した歯髄脈波を検出することができた。外傷歯では,電気診に反応しないが歯髄脈波の観察された症例もみられた。血管収縮剤を含む局所麻酔薬の注射後,脈波振幅は歯髄感覚と関連した推移を示した。以上の結果から,本法の外傷歯を含む幼若永久歯の歯髄診断への有用性が示唆された。
  • 石田 万喜子, 川口 稔, 宮崎 光治, 本川 渉
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1000-1008
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の外傷固定に用いるフッ素徐放性のガラス繊維強化型スプリント材を試作し,その機械的性質とフッ素イオンの溶出を評価するとともに,操作性や除去性について検討した。その結果以下の知見を得た。
    1.フッ素イオンの徐放源としてフッ素樹脂(PMF)を配合した試作スプリント材の曲げ強さや曲げ弾性係数はPMFを含まないコントロールと同等の値を示した。
    2.PMFを配合した試作スプリント材の曲げ強さおよび曲げ弾性係数は水中浸漬後も低下しなかった。
    3.試作スプリント材からのフッ素イオンの溶出量は1日後で量大値を示し,その後は徐々に減少したが,PMF40を20wt%配合したスプリント材が最大の溶出量を示した。
    4.操作性の指標とした粘着性は,調製後の日数の経過とともに減少し,市販のコンポジットレジンに比べて著しく小さな粘着力を示した。
    5.試作スプリント材の酸処理エナメル質への接着強さはおよそ18MPaであり,その破壊様式はすべてボンディング材内部あるいはスプリント材とボンディング材との境界部近傍でのレジン凝集破壊であった。
    6.試作スプリント材のブリネル硬さは市販コンポジットレジンのおよそ1/2であった。
    7.試作スプリント材の吸水量は約2mg/cm2でマイクロフィラータイプのコンポジットレジンとほぼ同程度の値であった。
    8.試作スプリント材はコンポジットレジンに比べて著しく切削量が多く,切削除去が容易であることが示唆された。
  • 氏家 真由子, 丘 芳美, 久保 周平, 藥師寺 仁
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1009-1014
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,歯根未完成上顎切歯を対象に,それらの歯根形成程度を3段階に区分し,幼若永久歯の生理的動揺度を評価することを目的に本研究を実施した。被検歯は,上顎中切歯98歯および上顎側切歯73歯であり,動揺度測定には,デンタル・モビリティ・チェッカー®(株式会社ヨシダ)を使用し,歯根形成程度別にみた生理的動揺度の測定を行い,以下の結論を得た。
    1.中切歯の各歯根形成程度別にみた動揺度測定値は,歯根形成1では5.0から2.3を示し,平均値は3.32であった。歯根形成IIでは4.3から2.2で平均値は2.91,歯根形成IIIでは3.5から1.8で平均値は2.76であり,歯根の形成程度が進行するに従い測定値すなわち生理的動揺度は減少した。
    2.側切歯の歯根形成程度別にみた動揺度測定値は,歯根形成1では3.8から2.4を示し,平均値は3.18であった。歯根形成IIでは3.9から2.1で平均値は3.00,歯根形成IIIでは4.3から2.1で平均値は2.77であり,中切歯と同様,歯根の形成程度が進行するに従い生理的動揺度は減少した。
    3.本研究に用いた動揺度測定器は,小児患者にも恐怖心を与えることなく使用可能であり,測定時の歯牙に加わる衝撃も少ないことから,小児歯科臨床においても有効に使用できるものと考えられた。
  • 南 貴洋, 星野 倫範, 藤原 卓, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄, 浜田 茂幸
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1015-1019
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    スクロースを化学修飾して得られた甘味料スクラロース(トリクロロガラクトスクロース)のStreptococcusmutans のビルレンス因子に対する作用について検討した。その結果,スクラロースはS.mutansをはじめとする各種の口腔レンサ球菌による酸産生の基質とはならず,それ故に齲蝕誘発性のない甘味料であることが示唆された。また,スクラロースは,S.mutansの増殖,グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)によるスクロースからのグルカン合成,あるいはスクロース依存性平滑面付着能については,有意の阻害作用を示さなかった。
  • 鬼頭 秀明, 河合 利方, 東 公彦, 青山 哲也, 外山 敬久, 鍋田 和孝, 福田 理, 土屋 友幸
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1020-1025
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,幼少期(就学前)に受けた歯科治療時の抑制治療の記憶が,その後の治療態度にどの程度関連しているかについて,質問調査法により比較,検討したものである。調査対象は,本学歯学部の4年生から6年生の350名である。その結果は,以下のようであった。
    1)幼少期(就学前)の歯科治療経験の有無について,明確に記憶している者は全体の61%であった。さらに自分の受診態度について,はっきり覚えている者は全体の10%のみであった。以上のことから,大多数の者は過去の歯科治療時の記憶が明確ではなく,極めて曖昧な傾向にあることが示唆された。
    2)抑制的対応経験を持つ者の中で,現在でも歯科治療に対して明確に恐怖や不安を感じる者は全体の18%であった。しかし抑制経験を持たない者の中で現在でも恐怖,不安を感じる者は5%を占めたのみであり,両群には10%以上の差が認められた。一方,抑制経験のある者の中で,現在も歯科治療に対して明確に恐怖や不安を感じない者は16%を,抑制経験を持たない者の中で,現在でも恐怖を感じない者は28%を占め,両群においても10%以上の差が認められた。X2検定では,いずれも有意差は認められなかったが,何らかの抑制経験のある者は,抑制経験の無い者よりも歯科治療に対して恐怖や不安を感じる傾向にあることが示唆された。
  • 内藤 真理子, 龔 瑞泰, 村田 真知子, 鶴田 靖, 木村 光孝
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1026-1030
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症に関して,学童期からの予防に対する認識と生活習慣の実態を把握する目的で,北九州市の大学に通学する健康な女子大学生48人を対象に,質問票による調査を実施した。第一報では,18歳までの生活習慣と本人および周囲の骨粗鬆症予防に関する認識の関連について報告を行った。第二報では,現在に至るまでの生活習慣や既往歴,骨粗鬆症予防に対する意識と橈骨骨密度の関連について検討し,以下の結論を得た。
    1)学童期から「伝統的日本食中心」あるいは「偏食傾向がない」食生活を送っている学生の骨密度は,そうでない学生と比較して高い傾向が認められ,前者においては有意差が認められた。
    2)15歳以前に,骨折や1か月に3kg以上の体重減少の既往があると回答した学生の骨密度は,ないと回答した学生と比較して低い傾向が認められた。
    3)学童期から現在まで,骨粗鬆症予防に対して意識したことがないと回答した学生の骨密度は,そうでない学生の骨密度より有意に低い傾向が認められた。
    4)小児期の生活習慣に関する指導や骨粗鬆症に対する意識を促す教育が,骨粗鬆症予防に何らかの影響を及ぼすことが示唆された。
  • 星 仁史, 石川 美和子, 守安 克也
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1031-1046
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    混合歯列期に低位乳歯がみられ,それに隣接する第一大臼歯の近心傾斜によって後継永久歯の萌出余地不足をきたした4症例に対して,第一大臼歯の近心傾斜を改善し,低位乳歯や後継永久歯の萌出余地を獲得することを目的に萌出余地回復処置を実施した。これらの4症例について,エックス線写真や研究用模型で経年的に臨床観察を行い,萌出余地回復法の低位乳歯に対する改善効果について検討を加えた。
    症例1では,上顎左側第二乳臼歯が低位であり,隣接する第一大臼歯の歯軸傾斜を改善したところ,対合歯と咬合関係が得られるまでに再萌出した。症例2では,上顎左側第二乳臼歯が低位であり,隣接する第一大臼歯の歯軸傾斜を改善したところ,咬合面全体を確認できるまでに再萌出した。症例3では,下顎左側第一および第二乳臼歯が低位であった。隣接する第一大臼歯の歯軸傾斜を改善して経過を観察したところ,後継永久歯の発育に伴いこれらの歯の歯根吸収が進行した。第一乳臼歯が脱落した後,第一小臼歯は萌出したが,第二小臼歯は先行乳歯の抜歯と開窓術を行った後,正常な位置に萌出した。症例4では,上下顎左側第二乳臼歯が著しく低位にあり,とりわけ下顎第二乳臼歯は完全に埋伏していた。これらの歯に対して萌出余地回復処置を実施中に上顎第二小臼歯は歯槽骨内萌出運動を示し,下顎第二乳臼歯は後継永久歯の発育による歯根吸収をきたした。
    以上の所見から,低位第二乳臼歯の萌出余地回復のために,隣接する第一大臼歯の歯軸傾斜の改善を行うことにより,混合歯列期にみられた低位乳歯の再萌出と後継永久歯の萌出を促し得ることが示唆された。
  • 大須賀 直人, 斎藤 珠実, 田村 正徳, 寺本 幸代, 岩崎 浩, 宮沢 裕夫
    1999 年 37 巻 5 号 p. 1047-1054
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    男性でありながらX染色体を3本過剰に有する性染色体異常(XXXXY症候群)に遭遇したので,歯科的所見を加え,その概要を報告する。
    1.妊娠経過は,子宮内胎児発育遅延があり,在胎39週4日に頭位経膣分娩にて出生。出生時はApgar score3点(1分),5点(5分)と新生児仮死であった。
    2.患児は,合併症として肺動脈弁狭窄,尿道下裂,二分陰嚢,左内反足,心身発達遅滞および体重増加不良がみられた。
    3.手根骨の化骨状態は骨核数が3個認められ,暦年齢とほぼ一致していた。また,エックス線写真により,第一乳臼歯のTaurodont teethが認められた。
    4.側貌頭部エックス線規格写真分析より,骨格は全体的に小さい傾向が認められたが,下顎骨体長はやや大きく,下顎枝高は小さく,下顎骨が時計回りに回転していた。
feedback
Top