小児歯科学雑誌
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27 巻 , 1 号
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  • 中原 浩一, 西嶋 克巳
    1989 年 27 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の顎骨の成長発育において,骨吸収,乳歯歯根吸収,骨形成,永久歯石灰化をそれぞれ独立してみることはできない。形成と吸収のバランスで正常な小児の顎骨の形成を維持する骨組織と乳歯および永久歯を構成している全細胞が密接な関連を必要としている。われわれはヒト抜去乳歯を用いて,乳歯歯根吸収面の微細構造観察に走査電子顕微鏡を用いた。乳歯歯根象牙質吸収窩は大小の皿状吸収小窩を呈し,その吸収小窩には,象牙細管の突起が認められた。線維性結合組織で支持され,被覆された円形の破歯細胞が観察され,さらに線維性組織を除去,洗浄すると,小窩内には石灰化したコラーゲン線維様の基質線維が配列をしていた。セメント質吸収面は皿状吸収小窩で,規則的に走行する線維性結合組織で被われており,円形又は楕円形の破歯細胞周囲には太い血管様結合組織が集まっていた。吸収小窩のX線元素分析では象牙質吸収小窩でP・Caが多く分析され,他にAl,Mg・Na・Znが検出された。破歯細胞ではS・P・Ca・Znが検出された。セメント質吸収小窩ではCa・P・Mg・Na・Znが分析された。
  • 逢坂 亘彦
    1989 年 27 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯咬合完成前期から第三大臼歯萌出完了期のインド人頭骨140体を石膏で複製し,レーザー光線を利用した計測装置と,3方向より撮影した写真上で下顎孔の位置を計測し以下の結果を得た。
    なお,下顎孔の位置は先人の方法に準じ下顎小舌尖端とした。
    下顎小舌角度は加齢的にやや減少するが,小児では約45°となる。
    咬合平面と下顎小舌尖端との関係は咬合平面より高いものが多い。
    下顎枝高径は加齢的に成長し増加量は計測項目中最大となる。
    下顎枝幅径は加齢に伴いゆるやかな増加をとげ,ほぼ下顎枝高径と似た成長をする。また前,後下顎小舌距離も加齢的にゆるやかに増加し下顎枝幅径と並行して成長する。
    下顎小舌高径は加齢的に徐々に増加し下顎枝高径と似た成長をする。
    最後臼歯遠心面からの距離は大臼歯の萌出にともない減少する。
    下顎枝高径に対する下顎小舌高径の割合は各時期とも約44となり,下顎枝幅径に対する後下顎小舌距離の割合は加齢的に前方に移動する。
    以上のことを臨床に応用すれば,小児の下顎孔の伝達麻酔は,反対側乳犬歯と第一乳臼歯の間に注射器をおき咬合平面に対し約10°の角度をもち,正中線に対し約45°の方向で下顎枝の高さの1/2,幅の1/2のところに有る下顎小舌尖端を目標に最後大臼歯遠心面から20-30mm針を進めれば,安全かつ確実に麻酔効果が得られると考える。
  • 深田 英朗, 本橋 正史, 吉田 治彦
    1989 年 27 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    現在我が国の小学校において実施されている定期歯科健康診査が, 永久歯齲蝕状況にどの様に影響を及ぼすかについて知ることは,学校歯科保健活動計画について検討する上で有意義である。我々は東京都の某私立学校付属中学校1年生生徒272名を調査対象とし,定期歯科健康診査を児童について実施しない方針をとる調査校付属小学校から進学した生徒およびそれを実施している他の小学校から進学した生徒の間で,齲蝕罹患状況および処置状況を比較した。さらに前者については,調査校付属幼稚園における歯科保健活動および齲蝕状況の関連性についても検討を行い,以下の結論を得た。
    1)調査校付属小学校以外の小学校における定期歯科健康診査の受診は,永久歯齲蝕の処置状況には明らかに好ましい影響を及ぼしたが,罹患状況には明らかな影響は認められず,歯科健康診査の受診が齲蝕罹患状況の改善にも貢献し得るような対策について検討する必要性が考えられた。
    2)永久歯齲蝕罹患状況および処置状況には,就学前の集団管理の状況によると考えられる相違がみられ,永久歯齲蝕の予防にとって,早期からの集団的歯科健康管理の充実が必要であることが強調された。
  • 熊谷 恵津子, 蔡 淑玲, 野坂 久美子, 山田 聖弥, 甘利 英一
    1989 年 27 巻 1 号 p. 30-40
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ectopic emptionについて,岩手医科大学小児歯科外来を訪れた患児4,324名のX線写真,石膏模型ならびに病態写真を用い,その出現状況や歯,ならびに歯列弓の大きさ,さらに混合歯列, 永久歯列期における歯列状態を検索した。また, ectopic eruption の調査部位は,group I :上・下顎中切歯,group II :上・下顎側切歯,group III :上・下顎第一大臼歯,group IV :group I-IIIの混合の4つに分類して行った。その結果,つぎのような結論が得られた。全体のectopic eruptionの出現率は5.6%であり,性差はみられなかった。しかし, 分類別では, Group I の出現が全体の半分以上を占め, Group III は非常に少なく, 全体の ectopic eruption の4 . 6 % にすぎなかった。また, Group I-III では,下顎よりも上顎での出現率が高かった。性別では,Group IIIは男児に,Group IIは女児に高い出現が認められた。また,中切歯は両側性に,下顎側切歯と上顎第一大臼歯は片側性に多くの出現を示した。Ectopic eruptionの歯の歯冠幅径はやや大きい傾向にあるが小野の平均値との間に有意差はなかった。しかし, 切歯部の ectopic eruption の場合,その歯数が多くなるほど,乳犬歯間距離は小さくなっており,咬合誘導が行われずに永久歯列に移行した症例では,Basal Arch Lengthと歯列弓長径が大きく,Basal Arch Widthと歯列弓幅径は小さかった。乳歯列から永久歯列まで経年的に観察した症例では,混合歯列期の前歯部は叢生が多く,半数以上の症例に咬合誘導が行われた。
  • 田中 光郎, 加藤 一宏, 小野 博志, 門磨 義則, 今井 庸二
    1989 年 27 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は水酸化カルシウム系根管充填剤のラット皮下埋没実験において,根管充填剤中の水酸化カルシウムが皮下で4週の間に完全に炭酸カルシウムに変化することを明らかにしたが, この変化が in vitro でも生じ得る化学的な反応であるのか否か, また, その経時的な変化の動態を調べるために,カルビタール,ビタペックス,水酸化カルシウム単味の3種の薬剤の血清中,さらに後二者について,その空気中での変化を調査した。また,水酸化カルシウムの血清,蒸留水への溶解性についても併せて検討した。
    その結果,水酸化カルシウムはそれが含まれる薬剤の材質にもよるが,血清中においては数週間のうちに中和され炭酸カルシウムに変化することが明らかになった。一方,空気中における変化は血清中にくらべるとはるかに遅く保存中,あるいは浸出液との接触のない場合などにはほとんど変化しないものと思われた。また,水酸化カルシウムは血清,蒸留水にも溶解するが,炭酸カルシウムはほとんど溶解しない事が明らかになり,血清との接触によって炭酸カルシウムに中和された水酸化カルシウムの化学的無刺激性を示唆していると思われた。これらの事は水酸化カルシウムの薬理作用を考える上で重要な事実であると思われる。
  • 森 栄
    1989 年 27 巻 1 号 p. 46-63
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯に刺激を加えた場合,どの歯が刺激を受けているかを判断する位置感覚が,歯の交換期にどの様に変化していくかは興味ある問題である.そこで今回は,乳歯歯根吸収および永久歯歯根形成によって位置感覚がどの様に変化するのか,さらに乳歯歯根表面積との関係をも検討した.
    検査対象としては,679名(平均8.3歳)の12,315歯で,X-ray像で歯根状態を確認後,20gの垂直圧を歯に加え,どの歯が圧迫されたかを被検児が指で示すことによって答えさせた.また,歯根表面積の測定には,抜去歯100歯を用い,画像解析装置で行い,以下の結論を得た.
    1)乳歯,永久歯の各歯群とも近心位の歯ほど位置感覚が高く,遠心位の歯ほど低かった.
    2)上下顎別による位置感覚の差はほとんど認められなかった.
    3)根吸収度が進行するほど位置感覚が向上した.
    4)根形成状態が進行するほど位置感覚が低下した.
    5)生活歯髄切断や抜髄など歯髄処置を行った乳歯の位置感覚は,健全歯より高かった.
    6)歯根の完成した第一大臼歯では,増齢的に位置感覚が低くなる傾向がみられた.(相関係数上顎0.83,下顎0.88)
    7)歯の位置感覚と歯根表面積との間に負の相関係数がみられた.(相関係数上顎-0.94,下顎-0.89)
  • 大野 秀夫, 森主 宜延, 大野 和夫, 奥 猛志, 小椋 正
    1989 年 27 巻 1 号 p. 64-73
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    思春期における顎関節症の症状変動について,中学生;男性70名,女性75名,合計145名ならびに高校生;男性202名,女性227名,合計429名を対象にあしかけ3年,経年的に追跡調査し,以下の結論を得た。
    1.顎関節症の調査期間中の発症頻度の経年的変動は,男女合計で中学生;1回目(1984年)10.3%,2回目(1985年)15.9%,3回目(1986年)15.9%,高校生;1回目11.7%,2回目18.4%,3回目31.0%であった。尚,各回の調査年度は,以下省略する。
    2.顎関節雑音の調査期間中の発症頻度の経年的変動は,男女合計で中学生;1回目6.9% , 2 回目1 2 . 4 % , 3 回目1 3 . 8 % , 高校生; 1 回目9 . 3 % , 2 回目1 7 . 2 % , 3 回目2 8 . 2%であった。
    3.顎関節部疼痛の調査期間中の発症頻度の経年的変動は,男女合計で中学生;1回目3.4%,2回目5.5%,3回目4.1%,高校生;1回目2.8%,2回目2.6%,3回目3.5%であった。
    4.開口障害の調査期間中の発症頻度の経年的変動は,男女合計で,中学生;1回目0.7%,2回目3.4%,3回目4.1%,高校生;1回目1.2%,2回目1.6%,3回目2.3%であった。
    5 . 顎関節症発症者の症状形態は単独症状者が圧倒的に多く( 中学生; 7 0 % ~ 9 3 % , 高校生; 8 8 % ~ 9 2 % ) , 症状内容は, すべての調査時において, 顎関節雑音が, 中学生で64.3%から83.3%,高校生で85.7%から97.1%と大部分を占めていた。複合症状者の症状内容については,顎関節雑音を軸に顎関節部疼痛ならびに開口障害が伴って発症する傾向にあり,発症の症状分布には,一定の傾向は示されなかった。尚,ここで示した百分率は,発症者総数に対する出現率である。
    6.個人内の症状変動については,男女合計で3症状のいつれかの症状が,すべての調査時に出現した者は,総対象者中,中学生で2.8%,高校生で5.1%,調査期間中,1度は発症し,発症が持続しなかった者は,中学生で28.3%,高校生で34.5%であった。連続して発症した者(2回ならびに3回連続して発症を示した者)の症状において,顎関節雑音が安定していた。
  • 柳沢 幸江, 田村 厚子, 寺元 芳子, 赤坂 守人
    1989 年 27 巻 1 号 p. 74-84
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    様々な咀嚼機能を持った個々の人間にとって,より好ましい食物物性の在り方を探るために,物性と嚼咀の相互関係を捉えてきた。本研究は咀嚼筋活動量による食物分類を作ることを目的に,まずテクスチュロメーターにより測定した食物物性から咀嚼筋活動量を推定する方法を検討した。咀嚼筋活動量は筋電図による咀嚼筋の活動量から求めた。被検者は正常咬合者である成人男女各10名ずつで,咀嚼開始から嚥下開始までの咀嚼筋活動量を左右の閉口筋3筋について計測した。
    回帰分析を用いて食物物性値と咀嚼筋活動量の対応性を分析し,その結果をもとに咀嚼筋活動量による食物分類を行った。得られた結果を以下に示す。
    1)3種のテクスチャーパラメーター即ちかたさ・凝集性・ひずみを用いることによって,高い精度で咀嚼筋活動量を推定することができた。
    2)テクスチャー測定値を用いた推定方法から,食物物性が既知である144種の食物の咀嚼筋活動量を明らかにした。
    3)食物を咀嚼筋活動量のレベルにより10ランクに分類することができた。また,「物性による食物分類」に咀嚼筋活動量の尺度を加えることができた。
  • 武田 康男, 堀内 信子, 中田 稔
    1989 年 27 巻 1 号 p. 85-91
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    The dental caries experience of a sample of 97 children with Down's syndromewho had deciduous dentition was contrasted with that of 57 non affected healthychildren. The children with Down's syndrome had a caries experience less thanone-third that of the control. However between the two groups, there was nodifference in the relative caries pattern between occlusal, surficial and proximaltooth caries. We investigated the relationship between two factors, the delayederuption pattern and any other environmental factors (tooth bursting, sugarcontrol, nocturnal bottle feeding and caries activity) and the low dental cariesexperience in children with Down's syndrome. For the eruption factor of thedeciduous teeth, we calculated the post eruptive age and excepted the delayederuption pattern of children with Down's syndrome. It was apparent that twofactors did not influence the low dental caries experience of the deciduous teethin children with Down's syndrome.
  • 菊地 賢司, 三木 真弓, 宮本 幸子, 有田 憲司, 西野 瑞穂
    1989 年 27 巻 1 号 p. 92-100
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の歯根吸収の機序について,生化学的な解析を加えるために,自然脱落間近のヒト乳歯歯根吸収組織より細胞の分離および継代を試みたところ,培養開始約3日後より,組織片周囲から紡錐形およびサイコロ状の細胞のout growthを認めた。継代を行うと,しだいに同一の形態を示す細胞群となり,歯嚢由来と考えられる間葉系細胞と,エナメル器あるいは口腔粘膜上皮由来と考えられる上皮細胞の集団を得た。これらの細胞群はすべて20代以上継代可能であったが,15代を越えるとやや増殖能が低下し始めるため,8-13代目の安定した増殖能を示す細胞を実験に供することとした。
    次に,これらの細胞の増殖に及ぼす上皮成長因子(EGF)の影響について検討した。その結果,EGFは,歯根吸収組織より分離された間葉系細胞および上皮細胞のDNA合成能をともに,著明に促進することが示された。このことはEGFが,乳歯の歯根吸収および自然脱落の過程に関与することを示唆していた。
  • 岡崎 雅子
    1989 年 27 巻 1 号 p. 101-119
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎関節症の予防的管理上必要とされる顎関節雑音の客観的診査方法の確立を目的として対照群(11関節),クリック音群(13関節)および捻髪音群(4関節)の顎関節雑音の音響学的分析を行った。さらに,顎関節雑音を有する者の顎運動機能の状態を知る一手段として, 対照群( 1 1 名) , クリック音群( 8 名) の下顎切歯限界運動路と咀嚼筋筋電図の記録解析を行い顎関節雑音分析の臨床的意義について検討した結果,以下の結論を得た。
    1.顎関節雑音は外耳道部から明瞭な記録が得られた。
    2.顎関節雑音の原波形について,クリック音群は捻髪音群に比べて持続時間が短く立上りが急であった。パワースペクトル分布は捻髪音群が最も高域まで分布し,続いてクリック音群が高く,対照群は最も低かった。
    3.下顎切歯限界運動路について,クリック音群は対照群に比べ運動路のバラツキが大きい傾向が示された。
    4.咀嚼筋筋電図について,クリック音群は対照群に比ベタッピングにおけるSP出現頻度が低く,SPDが短縮する傾向が示された。また,クリック音群は対照群に比ベガム咀嚼時の持続時間,間隔および周期が長いことが示された。
    5.以上のことから,顎関節雑音を有する者は顎機能障害が潜在している可能性が高いことが示唆され,顎関節雑音を顎関節症の予防的管理に用いることは有効であると考えられた。
  • 鈴木 克政
    1989 年 27 巻 1 号 p. 120-136
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ヨードホルムは創傷,潰傷の殺菌,消毒のために使用されるが,本剤を主成分とするヨードホルム系根管充填剤を乳歯根管充填として適用した場合,その病理組織学的所見では,適用周囲に壊死層が形成され,強い炎症反応を示すことが報告されている。本研究は,この点を考慮し,ハムスター臼歯歯胚を用い,器官培養ならびに生体内培養を行い,歯胚の発育に及ぼすヨードホルムの影響について,検索したものである。まず,生後2日目のシリアン・ハムスター下顎第二臼歯歯胚を摘出し,Trowll型改変チャンバー内でGrid法を用いて器官培養を行った。24時間後にヨードホルム(1.0, 3.3, 6.6, 10.0μg/ml)を含む培養液に交換し,さらに48時間培養を続けた。この時,歯胚の組織に,濃度に応じた障害が観察された。さらに,器官培養後の歯胚を,同系交配雌ハムスターの頬袋内に移植し,生体内培養を3週間行った。この時,対照群で90%の歯胚が発育を示したが,ヨードホルム濃度に応じて生存率が低下した。また,作用群で形成された歯牙の歯冠部に厚い不整象牙質層が観察されたが,その歯根部象牙質はほぼ正常であった。この事は,ヨードホルムによって障害を受けた歯胚組織が,その障害が少ない時には回復する傾向を有し,一定期間後に正常な象牙質を形成し得ることを示唆している。
  • 寳田 貫, アルバラード グァダルーペ, 西田 文彦, 西野 瑞穂
    1989 年 27 巻 1 号 p. 137-143
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咀嚼機能, 顎運動を解明する目的で筋電図学的検査がよく行われるが, 小児を対象とした一般検査では操作性の簡便性や心理的ストレスが小さいことなどから,ほとんどの場合表面電極が用いられる。しかし,その際問題となる電極抵抗については詳細な報告が少ない。今回,我々は表面電極抵抗の性状を詳細に観察すると共に,電極抵抗が,記録された筋電図にどの様な影響を与えるかを調べた。被験者は成人男子6名,被検筋は左右側頭筋前腹及び咬筋とした。電極貼布部位を皮膚前処理剤にて処理後,電極径5mmの小型生体電極を電極糊を介し両面テープにて皮膚上に装着した。双極誘導の電極中心間距離は20mmとし,不関電極を前額部に設定,不関電極と各電極間の抵抗値を測定した。測定は日を改めて5回,貼布直後から1分毎に10分間行った。筋活動量はガム自由咀嚼時のオーバオール値をFFT解析により求めた。その結果,
    1)側頭筋前腹導出では初期抵抗が20kΩ 以下の場合に初期から安定しており,咬筋では30kΩ 以下の場合,2分以内に安定化した。
    2)双極誘導の極間抵抗値が変化しても記録された筋活動量に差は認めず,極間抵抗の大きさとは無関係に筋活動量は一定の範囲内にあった。Key words:筋電図,表面電極抵抗値,FFT解析
  • 高木 みどり, 高橋 実, 成田 恵理子, 下岡 正八
    1989 年 27 巻 1 号 p. 144-152
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    重症齲蝕のために乳歯を早期に抜去し, 可撤型保隙装置( 小児義歯) を装着している小児の欠損部位別(前歯部欠損と臼歯部欠損)の発音への影響についての違いを調べる目的から本実験を行った。被験児は,Hellmanの咬合発育段階 II Aの小児で,可撤型保隙装置を装着している前歯部欠損児8名,臼歯部欠損児8名の計16名である。これら被験児の装置装着時における前歯部欠損の小児と臼歯部欠損の小児について,また,装置撤去時における前歯部欠損の小児と臼歯部欠損の小児について比較検討し,次のような結論を得た。
    1)母音ホルマントの出現周波数域については,母音(ア行)ではほとんど相違がみられなかったが,前後に子音が存在する場合(カ行,サ行,タ行)は,前歯部欠損と臼歯部欠損の相違が多く認められた。
    2)ホルマント別にみると,装置撤去時におけるiのホルマントに,欠損部位による相違が著明にあらわれた。
    3)各周波数領域における成分の強さについては,特に"オカアサン"とア行において,装置装着時よりも撤去時のほうが,前歯部欠損と臼歯部欠損の相違が多く認められた。
  • 小椋 正, 旭爪 伸二, 西田 裕光, 早稲田 睦子, 田代 正昭
    1989 年 27 巻 1 号 p. 153-160
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    薬剤漏出による3 歳男児の皮膚糜爛を生じた症例を経験したので, 皮膚の時間経過を中心に報告し,合せてウサギによる実験の病理所見とボランティアの人7名のパッチテストを行った結果次のような結論を得た。(1)表皮の皮膚障害は,約1年経過すれば完全に回復するが,真皮の皮膚障害は3年経過すると注意しないと解らない程度にまで色は薄れるものの痕跡は残っていた。(2)過酸化水素溶液のウサギへの貼布では通常使用する3%よりも4倍濃度の高い12%の溶液の24時間以上の貼布で真皮にまで変化が起こった。(3)次亜塩素酸ナトリウム溶液のウサギへの貼布では,通常根管拡大などに使用している10%溶液を20分貼布した時は表皮に40分以上の貼布では真皮にまで変化が起こった。(4)混合溶液のウサギへの貼布では,10%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を単独で貼布したものより反応は弱かった。(5)アトピー性皮膚炎の人2名と正常な皮膚の人5名の上腕屈側に10倍稀釈液を48時間貼布したが,全ての人で何の反応も現わさなかった。(6)以上の結果から今回のこの糜爛は,アレルギー反応によるものではなく,一次刺激によるものだと考えた。また,最も注意を要する溶液は次亜塩素酸ナトリウム溶液であった。
  • 奥 猛志, 森主 宜延, 大野 秀夫, 小椋 正
    1989 年 27 巻 1 号 p. 161-181
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎骨の左右非対称を伴う思春期の顎関節症患者3例を経験し,2例には,形態的・機能的改善を期待して,EMG Biofeedback療法を試みた。治療経過ならびに結果より,以下のことが考えられた。
    顎骨の非対称は,咀嚼筋機能の不調和をひきおこし,顎関節症を発症させる原因となりうる。顎関節症症状は,Splint療法,咬合調整ならびに咬合再構成により改善できる。また,咬筋の活性化の為に用いたEMG Biofeedback療法では,形態的変化はみられなかった。機能的変化は認められたが,安定しなかった。
  • 富沢 美惠子, 山田 幸江, 登内 喜美江, 渡辺 ヒロ子, 野田 忠
    1989 年 27 巻 1 号 p. 182-190
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    生後1 カ月8 日, 5 カ月2 7 日の2 例の男児のR i g a - F e d e 病に対して, 乳切歯切縁部を光重合レジンで被覆することによって治癒した症例の臨床経過について報告する。この方法は,外来で簡単に行うことができ,歯質の薄い先天性歯の削合による仮性露髄の危険性もなく有効であると思われた。
    また,昭和54年9月から昭和62年8月までの8年間に,新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来で経験した先天性歯の7症例について,予後調査および抜去歯の病理組織所見を含めて報告する。
    (1)性別では,男児3例女児4例で,初診時年齢は,生後21日から3カ月19日であった。
    (2) 出生時体重は,1例のみ低出生体重児であった。
    (3)先天性歯は,出産歯6例,新生歯1例で,すべて下顎乳中切歯であり,右側のみ5例,左側のみ1例,両側性1例であった。過剰歯は認められなかった。
    (4)Riga-Fede病は3例に認められた。
    (5)先天性歯の予後観察では,1例が自然脱落,2例が抜歯され,残存している4例中3例には,咬耗が著しかった。
    (6)早期に脱落ないし抜歯されたものでは,隣在歯の近心傾斜や空隙の狭少化が認められた。
    (7)抜歯した先天性歯の未脱灰薄切切片と,マイクロラジオグラムによる所見では,歯質は非常に薄く,石灰化も不良で,歯根形成もほとんど認められなかった。
  • 斎藤 浩人, 田口 洋, 渡辺 ヒロ子, 竹内 弘美, 野田 忠
    1989 年 27 巻 1 号 p. 191-196
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは4 歳7 カ月児における下顎両側乳中切歯の水平埋伏という珍しい症例を経験したので報告する。
    患児は,既往歴・家族歴・全身状態において異常は認められなかった。初診時の口腔内は,下顎両側乳中切歯を除く全乳歯が萌出を完了していた。右側乳中切歯は完全に埋伏し,左側乳中切歯は唇側面を歯頂側に向けた状態で約2mm切縁が舌側歯肉に出ていた。両側とも唇側歯肉に硬い膨隆を認めた。レントゲン検査によって両側乳中切歯の水平埋伏が認められた。両側乳中切歯を抜去したところ,歯根がその約2分の1のところから舌側に彎曲していた他は正常な形態を有していた。病理組織的には,歯根の一部に吸収像が認められたが, エナメル質, 象牙質に異常は認められなかった。抜歯後3 年3 カ月現在, 両側永久中切歯は歯冠の約3分の2を萌出しているが,両歯とも軽度の舌側傾斜と捻転が認められ,正中は離開している。
    本症例の水平埋伏の原因は不明であるが,胎生期に何等かの原因によって歯冠が舌側に傾斜し,萌出方向が異常となり充分な萌出力が得られなくなり,また舌の圧力なども作用して埋伏したと考えられる。
  • 有田 憲司, 天羽 美佐, 鎌田 浩二, 梁川 哲雄, 西野 瑞穂
    1989 年 27 巻 1 号 p. 197-207
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1 9 8 6 年6 月から1 9 8 8 年4 月までの約2 年間に, 徳島大学歯学部附属病院において,含歯性嚢胞と診断された小児10名11例を経験し,全症例に対して可及的嚢胞壁摘出法および舌側弧線装置による保隙を行い,その治癒経過について検討した。
    経過観察期間は,最長28カ月,最短6カ月,平均15.9カ月であった。性差があり,男児に多く認められた。発見時の年齢は9歳が最も多く,HellmanのDental age III Aと III Bに集中していた。発現部位は,下顎第2小臼歯に最も多く認められた。先行乳歯は,すでに抜歯されていたり, 残根状態であった2 例を除いて, 健全であったものは上顎に認められた1例のみで,他はすべて歯髄処澱の既往があった。オルソパントモX線写真上の嚢胞の大きさは, 近遠心径が1 5 m m-3 5 m m のものが9 例, 5 0 m m - 5 5 m m のものが2 例であった。嚢胞内永久歯の状態は,遠心偏位,近心偏位,頬側傾斜,偏位傾斜なしの4タイプが認められ,遠心偏位のものが術後の永久歯胚の萌出速度が最も速いことが認められた。治癒の早さは従来の開窓法と比べ, 嚢胞消失までは早く, 嚢胞内永久歯の萌出はやや遅かった。全例とも嚢胞が消失し,しかも11例中8例は,矯正治療の必要なく嚢胞内永久歯を,正常な歯列内に萌出させることができた。したがって,小児における含歯性嚢胞の処置として,可及的嚢胞壁摘出法と舌側弧線による保隙装置の併用法はきわめて有効であることが認められた。
  • 関 みつ子, 岩崎 光秀, 武井 謙司, 前田 隆秀
    1989 年 27 巻 1 号 p. 208-219
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ehlers-Danlos症候群は,先天性結合織代謝異常症の一つで,皮膚の過弾力伸展,関節過伸展,皮膚と血管の脆弱性による易出血,創傷の治癒不全を主徴とし,現在では臨床症状,遺伝形式,生化学的所見から少なくとも10型に分類されている。本邦において,歯科領域からの報告は2例のみであり極めて少なく,本症候群田型は過去に歯科的所見はほとんど無い。
    今回,我々は臨床的には本症候群VII型と考えられる6歳8カ月の女児の症例を経験した。本症例は出生時より内反足,心室中隔欠損を認め,皮膚の脆弱性および関節の再発性脱臼および関節の弛緩による運動発達の遅滞を示した。現症としては, 皮膚の過弾力伸展, 関節の過伸展が認められた。顔貌では両眼の隔離, 軽度の斜視, 内眼角贅皮, 外眼角の下垂,鼻翼および鼻根部の幅の広さと本症候群における特徴的な顔貌を示した。口腔内では,歯間乳頭部において軽度の歯肉腫脹を認め,ブラッシング時同部における出1血を見た。また,エナメル質減形成および顎関節の過可動,高口蓋と従来からの報告とほぼ一致する所見が見られた。
  • 尾崎 正雄, 石井 香, 本川 渉, 吉田 穰
    1989 年 27 巻 1 号 p. 220-228
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において遭遇する心身症は,患児を取り巻く環境に起因するものが多い。したがってその治療には,歯科心身医学的な立場からの環境調整や心理療法が必要である。今回筆者らは,心理的因子により発現した顔面チックを持つ9歳の患児(男)に対して,歯科心身医学的アプローチを行い,次のような知見を得た。
    1 . 保護者に対するインテーク面接の結果, 患児のチックは母親の干渉的な養育態度と学校生活でのストレスが加わったことによって出現し,慢性化したものと診断された。
    2.母親に対する心理面接による再教育の結果,母親が患児に対する干渉的態度を反省し,温かい目で患児の行動を見守れるようになった。
    3.患児に対するプレイセラピーにより自己表現を行わせることによって,チックの出現回数の減少がみられた。
    4.最後にトークン・エコノミー法も用い,好結果を得た。
    5.以上の結果から,小児歯科領域において遭遇する心身症には,十分に配慮された条件設定のもとでの歯科心身医学的対応は,非常に効果的であるとの感触を得た。
  • 細矢 由美子, 有冨 匡子, 城臺 維子, 緒方 則子, 晶川 浩実, 後藤 譲治
    1989 年 27 巻 1 号 p. 229-242
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    長崎大学歯学部病院小児歯科診療室に来院した患者について,葉書により定期診査受診の通知を行った昭和62年度の定期診査受診状況について調査し,葉書による定期診査の通知を行っていなかった昭和60年度の結果と比較し,下記の結論を得た。
    1)葉書により定期診査の通知を行う事により,定期診査受診率は増加した。
    2)62年度の治療終了者に対する初回定期診査受診率は,69.9%であった。
    3)初診時年齢別定期診査受診率は,低年齢児ほど高く,就学前の者の方が就学後の者より高かった。
    4)交通の便が悪い地区と遠方で小児歯科標傍医がいる地区より来院した患者の定期診査受診率が低かった。
    5 ) 治療終了者に対する主訴別定期診査受診率は, 齲蝕予防( 86. 2 % ) と齲蝕治療( 71. 3% ) が高く, 抜歯( 50 % ) , 歯牙形態異常( 50 % ) , 疼痛( 50. 5 % ) が低かった。
    6)定期診査受診群と受診しなかった群間の初診時齲歯数に有意差はなかった。
    7)62年度の咬合誘導装置装着患者の定期診査受診率は,60年度より低下していた。
    8)全身疾患の有無別には,定期診査受診率に差がなかった。
  • 1989 年 27 巻 1 号 p. 243-307
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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