臨床血液
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50 巻, 4 号
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Picture in Clinical Hematology No.36
特集:リンパ系腫瘍—新WHO分類(第4版)はどのように変わったか—
第70回日本血液学会総会
シンポジウム2
症例報告
  • 杉本 由香, 西井 一浩, 宮田 恵里, 藤枝 敦史, 山口 素子, 桝屋 正浩, 片山 直之
    2009 年 50 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/29
    ジャーナル 認証あり
    若年初発多発性骨髄腫(MM)の治療として,自己末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)が第一選択とされることが多いが,自家移植では生存曲線はプラトーにならず,graft versus myeloma (GVM)効果にて治癒が期待しうる治療法として同種移植が注目されている。
    当院でもタンデムauto-PBSCT後の再発1例と,化学療法で部分奏功後,auto-PBSCTを施行した2例の,計3例に同種骨髄非破壊的移植を施行した。しかし全例,骨髄での形質細胞の増生は認めないものの,形質細胞腫(plasmacytoma)単独の病型で再発・増悪を認めた。
    この理由として,前処置に全身放射線照射が含まれていないことや,骨髄内病変には奏功しているGVM効果がplasmacytomaには奏功していないことが考えられ,若干の考察とともに,3例の臨床経過を報告する。
  • 新井 文子, 廣田 理子, 福田 哲也, 東田 修二, 森 吉寛, 寺田 典生, 佐々木 成, 三浦 修
    2009 年 50 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/29
    ジャーナル 認証あり
    サリドマイドは多発性骨髄腫(MM)に対し有効であるが腎障害合併時の邦人での血中濃度動態の解析はなされていない。私達は再発難治性MM患者5名(維持透析患者1名,保存期腎不全患者3名,正常腎機能患者1名)を100∼200 mg/dayのサリドマイドで治療し,内服後12時間,16時間に採血を行い,血中濃度を測定した。維持透析患者では透析日の12時間後,16時間後はそれぞれ透析前後に相当した。腎機能低下による血中濃度の上昇や蓄積性は明らかではなかった。透析前後での血中濃度低下は非透析日の同時間より大きい傾向にあり,透析により除去される可能性が示唆されたが,内服12時間後の血中濃度は透析の有無で明らかな差は認めなかった。以上から,邦人MMの腎機能障害時でも低容量サリドマイドは腎機能正常者と同量で投与可能と思われた。投与量と血中濃度,効果,有害事象との関連について今後は多数例での解析が必要である。
  • 川谷 恵里, 岸川 優紀, 三小田 周弘, 桑原 伸夫, 森 大輔, 小副川 晃一, 松石 英城, 権藤 久司
    2009 年 50 巻 4 号 p. 300-303
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/29
    ジャーナル 認証あり
    症例は64歳,男性。急性骨髄性白血病(FAB分類,M7)の寛解期にmitoxantrone/cytosine arabinosideを用いて地固め療法を実施した。地固め療法後14日目に白血球数0/μlとなり,15日目には発熱と心窩部痛を認めた。直ちにcefozopranの投与を開始したが,16日目に心停止状態で発見され,19日目に死亡された。16日目に実施した頭部CT検査にてクモ膜下出血が確認された。また,15日目の血液培養でグラム陽性桿菌が検出され,のちにB. cereusと同定された。剖検にて大脳,小脳,肝,肺にB. cereusのコロニーが多数確認され,肝細胞の壊死も認めた。くも膜下出血部位の血管に動脈瘤や菌塊は確認できなかったが,血管壁の壊死が著明で,くも膜下出血の原因と考えられた。白血病患者の化学療法後に合併するB. cereus敗血症は,くも膜下出血のリスクを有し,急激な経過をたどるため,化学療法後にはB. cereus敗血症を考慮した抗生剤の選択が重要であると考えられた。
  • 松井 崇浩, 日高 道弘, 河北 敏郎, 井上 佳子, 榮 達智, 原田 奈穂子, 武本 重毅, 長倉 祥一, 塚本 敦子, 清川 哲志, ...
    2009 年 50 巻 4 号 p. 304-308
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/29
    ジャーナル 認証あり
    キメラ型抗CD20抗体rituximabの主な副作用はアレルギー症状であり,特に初回投与時に起こりやすいinfusion reactionは有名であるが,以降の副作用が問題となることは比較的少ない。我々は造血器腫瘍に対しrituximabでの治療を実施し,その後に血清病を呈した2症例を経験した。1例は原発性マクログロブリン血症,もう1例はSjögren症候群を有したMALTリンパ腫の患者であり,いずれの症例もrituximab中止及びステロイド投与により症状は速やかに改善した。造血器腫瘍の治療例に生じたrituximabの血清病の報告は世界的にも稀で発生頻度も低いと考えられるが,これまでの報告例と我々の経験した症例から,(1) rituximab単剤投与,(2) Sjögren症候群,(3) 投与前の多クローン性γグロブリン上昇,が危険因子となる可能性が示唆された。
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