高分子論文集
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31 巻, 5 号
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  • 川崎 信弘, Andrews R.D.
    1974 年 31 巻 5 号 p. 273-279
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    DSC測定により結晶性ポリクロロプレンの融解二重ピークを検討した。
    結晶性試料と非晶性試料とのブレンド物についてDSC測定を行った結果, 非晶分率が増すほど低温側融解ピークの相対的強度が増したこと, 両ピークの温度位置の結晶化温度依存性をHoffman-Weeksの式に従ってプロットしたところ低温側ピークのこう配が0.9, 高温側ピークのそれが2/3で, いずれも外挿して得られる平衡融点がおよそ65℃であったこと, などから低温側ピークを結晶化の際に立体規則性の劣る鎖によって形成された熱力学的に不安定な不完全結晶の融解によるものと結論した。
    熱処理による融解挙動および応力挙動の変化を検討した結果, ポリクロロプレンのfibril状結晶は不完全な結晶と完全性の高い結晶とが混在して形成しているものと考えた。
  • 川崎 信弘, Andrews R.D.
    1974 年 31 巻 5 号 p. 280-285
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリクロロプレンの結晶性試料と非晶性試料とのブレンド物について応力緩和および動的粘弾性の測定を行い, 結晶の存在が線形粘弾性各量に及ぼす影響を検討した。
    20℃における緩和弾性率 (10秒) をブレンド比に対してプロットしたところ逆S字形の傾向を示した。結晶性試料と非晶性試料とは分子状の混合をせず, それぞれ格子状の構造を成しているとして導かれた次の力学式は緩和弾性率のブレンド比依存性のデータをよく説明することができた。
    E=x2/ (1+x) 2EC+1/ (1+x) 2EA+2x/1+x (x/EC+1/EA) -1
    φ=x2/ (1+x) 2+2x2/ (1+x) 3
    ここで, E, EC, EAはそれぞれブレンド物, 結晶性試料, 非晶性試料の弾性率, またφは結晶性試料の体積分率である。Eとφとはxというパラメータで結びついている。
  • 川崎 信弘, Andrews R.D.
    1974 年 31 巻 5 号 p. 286-290
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリクロロプレンの結晶性試料と非晶性試料とのブレンド物について定速伸張を成した時の応力挙動を検討した。
    試料中をfibril状の結晶が網目状に連なっており, 伸張の進行とともに細分化し, それをつなぐ分子鎖が引き出されてtie moleculeになると考えることにより, 試料の高い応力レベルあるいは高度の分子鎖配向を説明した。
    対数真応力を縦軸, ひずみを横軸として応力-ひずみ関係を表した場合, ブレンド物間で縦移動のみにより重ね合わせが可能であったが, この妥当性は格子モデルより導いた移動量aφに関する次式により証明した。
    logaφ=log (1+x) 2/x2
    φ=x2/ (1+x) 2+2x2/ (1+x) 3
    ここで, φはブレンド系における結晶性試料の体積分率であり, aφとφとはxを媒介として結び合わされている。
  • 小田 隆, 前田 松夫, 日比 貞雄, 渡辺 修一
    1974 年 31 巻 5 号 p. 291-297
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリブテン-1皮膜を急冷後ただちに延伸した場合, および作製後1週間以上放置した後延伸した場合の六方晶の配向挙動をX線回折法および複屈折法により検討した。
    急冷後ただちに延伸した場合には結晶分子鎖軸の配向はひずみの増加とともに単調に増加し, ひずみを回復させてもヒステリシスを示さない。一方作製後経時した後延伸した皮膜においては, 結晶分子鎖軸の配向は約50%のひずみで複屈折と同様に負値で極小値を示し, さらにひずみの回復とともにヒステリシスを示す。
    上記の結果は微結晶および結晶集合組織の変形機構に基づいて議論する。
  • 西野 潤, 横田 敏隆, 藤井 恵史, 宗玄 清仁, 玉置 克之, 坂口 康義
    1974 年 31 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリル酸・アクリル酸の第三ブチル・フェニル・1-ナフチル・2-ナフチル・8-キノリル・デカヒドロ-2-ナフチル各エステル, およびN, N-ジメチル・N-第三ブチル・N, N-ジイソプロピル・N, N-ジシクロヘキシル各アクリルアミド, およびアクリル酸のテトラ-n-ブチルアンモニウム・ラウリルアミン各塩を・極性の異なる数種の溶媒中で, ラジカル開始剤によって重合させた。得られたポリマーの立体規則性を, 主としてそれらから誘導されるポリアクリル酸の電位差滴定曲線の比較により検討した。一般に, かさ高い置換基はアイソタクチシティを増大し, その効果は芳香族置換基によって助長されるようである。若干の場合, 生成ポリマーの立体構造は重合溶媒に依存していた。
  • 荒木 綱男, 照沼 大陽, 小田井 隆, 服部 毅, 霞 雅晴, 会田 文男
    1974 年 31 巻 5 号 p. 305-308
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N-メチロール・アクリルアミドにフェニル尿素を反応させてN-アクリルアミドメチルーN′-フェニル尿素 (AMPhU) を合成した。過酸化ベンゾイル, およびアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として, これを単独重合させ, 得られた重合物の収率, 性質を調べた。またアゾビスイソブチロニトリルを開始剤とし, AMPhU (M1) をメチルメタクリレート (M2) と78℃で共重合させ, モノマー反応性比r1=0.88, r2=0.12を得た。
  • 荒木 綱男, 照沼 大陽, 谷川 勝志, 安藤 直樹
    1974 年 31 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ヒドロキノン (I), レゾルシノール (II), ピロカテコール (III), ピロガロール (IV) のような多価フェノールのアクリルアミド-N-メチロール誘導体をI, II, III, IVとN-メチロールアクリルアミドの反応によって合成した。また過酸化ベンゾイル (BPO) あるいはアゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤とし, これらの誘導体の重合を試みた。I, IIのアクリルアミド-N-メチル誘導体は重合がきわめて困難であり, III, IVのそれは良い重合性を示した。そこでI, II, およびIVのアクリルアミド-N-メチル誘導体のOH基をアセチル化して重合を行ったところ, それぞれの誘導体がよく重合した。これらの誘導体の重合性の相違をポリフェノールのOH基との関連において論じた。
  • 鈴木 恵, 自念 栄一, 岩本 正治
    1974 年 31 巻 5 号 p. 314-320
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    複合材料の欠点といわれる耐久性についてクリープ破壊を取り上げ, 寿命の予測とfractgraphyの観点から検討した。その結果, ガラス繊維が多く含有されるほど高温特性は向上するが, 同じ作用応力なら破壊時間は長く, また同じ破壊時間なら大きな作用応力に耐えることが分かった。時間-温度重ね合わせの法則の適用により求めた活性化エネルギーの大小により, 高含有率の試料の方がぜい性的で, fractgraphからもそれが確認された。しかし, 高温になるにつれ, ぜい性的な破面は延性的となり, 繊維が母材の流動を阻止しなくなり, 強化機構が働いていない様相がよく分かった。
  • 中山 和郎, 金綱 久明
    1974 年 31 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    固体ポリエチレンの静水圧押出しを押出し比, 3から9の範囲で行った。いろいろな押出し温度での押出し下限圧力, P0, を測定し, ln RE′に対してプロットした。ln RE′+ (90-TE℃) が1.8を越すと, 傾きが急に大きくなり, このことはひずみ硬化に関係していることが分かる。ひずみ硬化について調べるために, Pughの式を使って, 平均の変形抵抗 (σ0) を推算した。また, 潤滑状態を調べるために, いくつかの液体を圧力媒体として使った。その結果, ポリエチレンの静水圧押出しにおいて, 圧力媒体は潤滑剤として働いていることが結論できる。
  • 鴨川 昭夫
    1974 年 31 巻 5 号 p. 327-335
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    顕微鏡にて刃先の先端における切削状態を観察し, また, プラスチックと金属の被削性を完全流れ型切削で研究した。
    すなわち, 次のような結果を得た。1) すべり線がせん断面に観察された (アクリル樹脂, ポリアミド樹脂について), 2) すべり線は, せん断された切りくずが白色化するためによく分かる, 3) プラスチックの硬度数および最大破断点が大きければ切削抵抗および最大せん断応力が上昇する, 4) 金属と比較すると弾性回復が著しい, 5) 金属に比較してプラスチックは, せん断ひずみ, せん断応力の値がきわめて小さく, 微小変形 (塑性変形) であることが分かる, 6) 金属の場合, すくい角が10と20°で引張りながら切削すると, 仕上面は滑らかになるが, プラスチックの場合には悪くなる。
  • 萩原 幸, 田川 徹, 土田 英俊, 篠原 功, 鍵谷 勤
    1974 年 31 巻 5 号 p. 336-340
    発行日: 1974/05/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリテトラフルオルエチレン (PTFE) にγ線を照射すると, その引張り強度および伸びは線量とともに急激に低下する。この強度低下は空気中照射もしくは照射後の加熱によっていっそう顕著となる。さらに, この崩壊反応は高温で, 特に, ハコゲン置換メタンを共存させると効果的に起こることを見いだした。生成気体の分析から, 空気中における崩壊反応はCOおよびCO2の発生を伴っており, 一方, CCl4を添加した場合にはCF2Cl2およびCFCl3が生成し, CHCl3を添加するとCF2Cl2, CHF2Cl, CFCl3, CHFCl2, CH2Cl2などが生成することが分かった。以上の結果に基づきハロゲン置換メタンによる崩壊促進機構をラジカル連鎖反応によって説明した。
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