高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
35 巻, 11 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 市原 祥次, 河野 巽, 江上 正之, 福井 節也
    1978 年 35 巻 11 号 p. 677-684
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    (1) 2軸延伸ポリプロピレンフィルム表面へbleed outした帯電防止剤量と帯電防止性, および (2) 帯電防止剤の拡散速度と熟成温度および帯電防止性の関係について検討した. 帯電防止剤は, はじめ島状にフィルム表面に浸出し, 次に島が互につながり始めフィルム表面に一様な単分子膜が形成されると, ほぼ一定の帯電防止性を示すようになる. 帯電防止性を熟成時間の対数に対して図示した曲線は, 時間軸にそって平行移動させると温度・時間の重ね合せができる. 帯電防止性と表面の帯電防止剤量が比例し, 帯電防止剤の浸出が拡散方程式に従うとして帯電防止性の時間変化を表す式を求めた. 結果は実用上十分な精度で実測結果を再現する.
  • 橋本 静信, 古川 功, 山本 英明
    1978 年 35 巻 11 号 p. 685-692
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ-p-キシリリデンの合成法をp-キシリレンジクロリドを出発原料としてDMSOを溶媒とし, カリウム-t-ブトキシドを用いる溶液法ならびにトリ-n-ブチルアンモニウムクロリドを用いる相間移動触媒法によって比較検討した. 後者の方法は好収率でポリマーを与えるが, 主鎖中にエーテル結合を含み熱安定性は前者によるポリマーに比して劣るという結果を得た. 一方, 芳香環に塩素原子やニトロ基を含むボリ-p-キシリリデンおよび主鎖中にカルボニル基やスルホン基を含むポリ-p-キシリリデン誘導体を合成し, その熱安定性を比較した結果, 置換基による影響はほとんど認められず, いずれも340℃付近より減量が認められた.
  • 田中 良明
    1978 年 35 巻 11 号 p. 693-698
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    α-クロロ-ω-ヒドロキシポリテトラメチレンオキシドとシアン酸ナトリウムとをN, N-ジメチルホルムアミド中で反応させ, ポリテトラメチレンオキシドを側鎖にもつイソシアヌル酸トリエステルトリオールを高収率で得た. この生成物については元素分析, IRおよびNMRスパクトルより構造を確かめた. また, 同一分子量のボリプロビレンオキシド系トリオールに比べ高粘度であった, このトリオールと粗製4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナートの反応により硬質ポリウレタンフォームを得た. 得られたフォームは高い耐熱・耐炎性を示し, friabilityも良好であった. なお, 本条件下では, イソシアヌル酸トリエステルの生成はイソシアヌル酸ジエステルナトリウムを中間体とする経路をとることを確かめた.
  • 村田 康雄, 住田 雅夫, 宮坂 啓象, 石川 欣造
    1978 年 35 巻 11 号 p. 699-703
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ケブラー繊維の唯一の溶媒である硫酸が, ケプラー繊維に対し一般の高分子-溶媒系に見られる可塑剤的効果を持つか否かを検討するため, 応力-ひずみ曲線, 応力緩和を異なる濃度の硫酸水溶液中で測定した. 繊維の破断強度, 破断伸度は硫酸濃度とともに減少するが, 1%ひずみでのヤング率は硫酸濃度60%付近まで濃度依存性を示さず, 60%を越えると溶解により急激に減少する. 又, 緩和弾性率は時間に対して著しい緩和現象を示さなかった. 硫酸水溶液中でのケプラー繊維の伸張による破壊機構は一般の高分子-溶媒系に見られる可塑剤的なものではなく, 硫酸溶液による一種の環境応力き裂 (enviromental stress cracking) と思われる.
  • 大津 隆行, 山田 文一郎, 杉山 茂
    1978 年 35 巻 11 号 p. 705-711
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸2,6-ジメチルフェニルのラジカル重合におけるオルト置換基の効果を研究するため, 30℃. 塊状重合における生長反応および停止反応の速度定数を回転セクター法により決定し, それぞれ, 68および2.1×106l/mol, secという値を得た. メタクリル酸フェニルについて報告されている値との比較から, 2,6-ジメチル置換による生長反応速度の低下が明らかになる. 又, 共重合におけるモノマー反応性比との組合せから交互生長の速度定数を計算した. これらの値の2,6-ジメチル置換による変化から, o-置換基の導入はモノマーとしてばかりでなく, ポリマーラジカルとしての反応性も低下させることが分かる. これらの効果は, 2-および6-位のメチル基がモノマーにおいては二重結合と, ポリマーラジカルにおいてはラジカル中心と比較的近いコンホメーションを取ることによる生長反応におけるメチル墓の立体効果で説明される.
  • 清田 優, 佐藤 守之, 横山 正明
    1978 年 35 巻 11 号 p. 713-719
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    4,4′- [3,3′- (アルキルホスホリルジフェニレン) -ビス (イミノカルボニル)] ジフタル酸二無水物 (APBDA) と芳香族ジァミン類から, 主鎖にリン原子を含むポリアミドーイミドを合成した. 得られたポリマーは, DMF, DMA, DMSOなどの有機溶媒に不溶で, 用いたジアミンがS, Pなどのヘテロ原子を含むもののみが濃硫酸に可溶であり, 濃硫酸中0.1g/dl, 30℃で測定した還元粘度は0.24-0.26であった. 一方, 熱分析の結果, いずれのポリマーも空気中および窒素気流中での分解は400-500℃で起こり, 700℃での熱分解残存量は65-78%と難燃性の良好なポリマーが得られた. これらのポリマーの重量減少に対する見掛けの分解の活性化エネルギーは40-62kcal/molの範囲にあった. 又, 耐炎性を定性的に調べた結果, いずれの含リンボリアミド-イミドも炎を取り除くと, ただちに消火する程度の自己消炎性を示した.
  • 大塚 保治, 千賀 孝雄
    1978 年 35 巻 11 号 p. 721-727
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    イソフタル酸ジアリル (DAI) を部分的に重合して得られるプレポリマーゲルロッド (GR) を過酸化ベンゾイル (BPO) を含んだメタクリル酸メチル (MMA) に所定の条件で浸せきしてから熱処理して, 屈折率が中心軸からの距離の2乗に比例して減少する光集束性プラスチックロッド (LFR) を得た. LFRのレンズ特性から屈折率分布定数Aを求めた. A値および浸せき熱処理工程中の重量増加率ΔWは, GRの粗成・BPO濃度・浸せき温度・浸せき時間・熱処理条件によって変化する. 代表的なLFRについて, その化学組成・組成分布から屈折率分布を求め, A値から求められる屈折率分布と比較し, 良い一致を見た. DAIのGR中の網状ポリマーはフタル酸ジアリル (DAP) のGR中の網状ポリマーより不飽和度が高く, LFRの作成にはDAIの方がDAPより適している.
  • 上野 博, 大塚 晋也, 平和 雄, 岸本 昭
    1978 年 35 巻 11 号 p. 729-733
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    著者らは前報において溶融状態におけるボリスチレンのbulk diffusion coefficient (DB) およびlocal diffusion coefficient (DL) について報告した. 本報告では結晶性高分子であるナイロン12を用いて, 溶融状態におけるDB, DLの温度依存性, 分子量依存性を検討した. その結果, 数平均分子量 (Mn) 9200-29000, 温度185-250℃の範囲でDBは10-10-10-18cm2/secのオーダーであり, DBの見掛けの活性化エネルギーは71.1-114kJ/molを得た. 一方, DLは上記温度範囲で10-5-10-6cm2/secのオーダーであり, 見掛けの活性化エネルギーは22.2-23.0kJ/molと小さく, 分子量依存性もほとんど見られない. さらに測定した分子量範囲でDB, DLの分子量依存性は異なり, DBは分子量に対して指数関数的に変化するのに対し, DLは分子量の増加とともに一定値に漸近する挙動を示す.
  • 大塚 保治, 千野 雅男
    1978 年 35 巻 11 号 p. 735-741
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル (3FMA) とo-クロロ安息香酸ビニル (VCB) をベンゾイン (B) の存在下に光共重合し, 光集束性プラスチックロッド (LFR) を得た. 中心軸近くの屈折率分布は放物線形であり, その分布定数Aと放物線形分布を持っている範囲の半径ReをLFRの光学特性より測定した. 仕込モノマー比3FMA/VCB=3.0-5.0の範囲で3FMA量が増すにつれてAおよびRoは低下した. 3FMA/VCB=4.0のとき, [B] =0.025-0.100wt%の範囲では [B] とともにAは増大し, Rcは小さくなる一方, 共重合温度T=20-30℃の範囲ではTとともにAおよびRcはともに低下した. これらの結果は既報の計算機シミュレーションによる計算結果から定性的に説明される. 光共重合法によるLFRの作成には低温共重合がよいことが結論された.
  • 今井 清和, 松本 昌一
    1978 年 35 巻 11 号 p. 743-746
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ブロビオン酸ビニルおよび酪酸ビニルの60℃, 塊状重合から得られるポリビニルアルコール (PVA) について, その含水ジメチルスルホキシド溶液の濁り時間, ヨウ素呈色反応および水中膨溝度を測定した. その結果, これらPVAの性質は酢酸ビニルから得られるPVAのそれと異なり, PVAの構造規則性は, 酪酸ビニル>プロビオン酸ビニル>>酢酸ビニルの順であると推定された.
  • 今井 清和, 前田 運平, 松本 昌一
    1978 年 35 巻 11 号 p. 747-750
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニルの重合をエチレンカーボネート, アセトニトリル, 無水酢酸, アセトン, メチルアルコールおよび40%含水メチルアルコール中, 60℃で行い, 得られたPVAについて, 濃厚水溶液の粘度安定性を測定した. そ の結果, 母体ポリ酢酸ビニルの重合温度が一定であるにもかかわらず, この濃厚水溶液の粘度安定性が重合溶媒で著しく変わり, 重合時の溶媒効果が無視できないことを認めた.
feedback
Top