本報では,電極/正孔輸送層および正孔輸送層/発光層の界面制御が有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の素子特性に与える影響について検討した.0.75 nm の超薄膜酸化モリブデン(MoO
3)の正孔注入層を indium tin oxide(ITO)電極と N,N′-diphenyl-N,N′-bis(1-naphthyl)-1,1′-biphenyl-4,4′-diamine (α-NPD)正孔輸送層の界面に挿入することで,ITO と α-NPD 界面でオーミック接合が形成され,有機 EL 素子の駆動電圧の低減と素子寿命の向上が観測された.MoO
3 正孔注入層を用いることに加え,α-NPD 層と tris(8-hydroxy-quinoline)aluminum (Alq
3)発光層のへテロ接合界面において 5 nm の界面混合層を形成させることで,有機 EL 素子の駆動電圧と素子寿命がさらに改善された.
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