高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
33 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 今井 淑夫, 上田 充, 愛沢 達夫, 大沼 正国
    1976 年 33 巻 11 号 p. 633-641
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビス (4-ヒドラジノフェニル) スルホン (BHPS) やビス (4-ヒドラジノフェニル) メタンのような香族ジヒドラジンと, 芳香族ジアルデヒドやジケトンとをジメチルスルホキシド (DMSO) やm-クレゾール中で溶液重縮合させて, 固有粘度が0.1~0.7のポリヒドラゾンを合成した. 芳香族ジカルボン酸誘導体 (酸塩化物や活性エステル) と芳香族ジヒドラジンをN-メチル-2-ピロリドン (NMP) 中, 室温で重縮合させることにより, 固有粘度が0.4までのポリヒドラジドをほぼ定量的に得た. 無水ピロメリト酸と芳香族ジヒドラジンをNMP中で開環重付加反応させ, 引き続いて加熱により脱水環化させて, 固有粘度がおよそ0.2のポリイミドーアミンを合成した. BHPSから得られた縮合系高分子は, NMP, DMSO, ピリジンなどを含む広範囲の溶媒に溶解した. 熱重量分析の結果, 大部分の縮合系高分子は空気中ならびに窒素中において, およそ350℃で10%の重量減少を示した.
  • 上田 充, 今井 淑夫
    1976 年 33 巻 11 号 p. 643-648
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリアミド生成用モノマーとして, 3-(カルボキシメチレン) フタリドから3-(クロロホルミルメチレン) フタリド, 3-(p-ニトロフェノキシカルボニルメチレン) フタリド, 3-(フェニルチオカルボニルメチレン) フタリドを合成した. これらの活性フタリド誘導体と脂肪族ならびに芳香族ジアミンとの重縮合-開環付加反応をN-メチル-2-ピロリドン中で行い, 固有粘度が0.33までの新規なポリアミドをほぼ定量的に得ることができた. これらの活性誘導体の中では, p-ニトロフェニルエステルがもっともよいモノマーであることが認められた. 得られたすべてのポリアミドは, ピリジンやm-クレゾールを含む広範囲の溶媒に可溶である. 脂肪族系ポリアミドは200℃以下に軟化点を有するが, 一方, 芳香族系ポリマーは300℃までは軟化点を示さなかった.
  • 角田 誠, 鈴木 康弘, 柴山 恭一
    1976 年 33 巻 11 号 p. 649-654
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    橋かけ高分子の誘電性質に及ぼす分子鎖要素の種類および橋かけ密度の影響をジアクリルエステルプレポリマーより得た橋かけ構造体について, 特に低温域の誘電挙動を研究した. その結果, 橋かけ点間分子鎖構造の違いによって特徴的な分散挙動が観測された. この分散を橋かけ点間分子鎖の局所運動に起因したものと考え, 分子運動束縛効果と双極子・双極子の相互作用の効果より, この挙動を説明する定性的モデルを提示した. すなわち, 分子運動束縛力は, 分子鎖がフレキシブルな場合には橋かけ点近傍に集中するが, 剛直な分子鎖が橋かけ点間に存在する場合にはその部分にも分布する. また, 極性部が橋かけ点近傍にだけ存在する場合には, 相互作用の力は橋かけ点間距離に依存するが, 極性部が分子鎖全体に存在し, 分子鎖がフレキシブルな場合には, 隣接分子鎖との相互作用が起こり, その程度は分子鎖の易動性に依存する.
  • 山崎 信助, 服部 滋, 浜島 求女
    1976 年 33 巻 11 号 p. 655-662
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    1個の粒子中に2成分以上のポリマーを含む多層構造の複合ポリマーラテックスの生成方法と生成条件を検討するため, ポリメタクリル酸メチルとポリスチレンから成る2層構造の複合ポリマーラテックスの重合条件と生成ポリマーラテックスの重合条件と粒子状態の関係を検討した. また得られた複合ポリマーラテックスを乾燥した微粉末ポリマーは, ガラス相ポリマーどうしの相溶性の悪い2成分系ポリマーの不均一混合物であるが, 圧縮成形したポリマーは予想以上の強度が保持されることが認められた. また成形ポリマーの透明性は, 複合ポリマーラテックスの粒子径の大きさに依存して, 粒子径が3000A以上の場合は真珠様の干渉色をもった乳白色の不透明なポリマーであり, 粒子径が2000A以下の場合は, 見る角度によって色の変わってみえる透明なポリマーが得られた.
  • 山崎 信助
    1976 年 33 巻 11 号 p. 663-672
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸エチルからなる2層構造の複合ポリマーラテックスを生成し, 自然乾燥によって生成した皮膜の性質について検討した. その結果, ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸エチルから成る2層構造の複合ポリマーラテックスから生成した皮膜は, 同一組成比の共重合体ラテックスやブレンドラテックスに比べて皮膜物性に顕著な差が認められ, それは粒子構造の違いによって発現されることを, 自然乾燥皮膜の形態, 最低造膜温度 (MFT) と組成比の関係および引張り強度と伸び率などから明らかにした. とくに, 中心層がポリメタクリル酸メチルで外殻層がポリアクリル酸エチルから成る2層構造複合ポリマーラテックスは, 放置安定性が良く, 同一組成の共重合体ラテックスに比べて高い引張り強度を持った強靱な皮膜が生成することを認めた.
  • 田中 誉郎, 藤本 隆光, 柴山 恭一
    1976 年 33 巻 11 号 p. 673-677
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    X線および熱解析の研究により, 180℃飽和水蒸気圧下におけるポリエチレンテレフタレート (PET) フィルムの加水分解に及ぼす電子線照射の影響について調べた. PETフィルムに, 10~20Mradの電子線を照射すると, 照射線量の増加に伴い, 密度および融点がわずかに低下するが, ガラス転移温度は変わらない. 照射PETフィルムは, 未照射PETフィルムに比べてはるかに加水分解されやすくなる. 未照射PETフィルムの結晶域は, 加水分解によりかなり破壊されることが分かった. 電子線照射過程において, 分子鎖切断とそれに続く再結合過程によって形成される無定形および結晶域中の欠陥が, PETフィルムの加水分解に著しい効果を及ぼしたと考えられる.
  • 結城 康夫, 大谷 三夫, 大内 貴広
    1976 年 33 巻 11 号 p. 679-684
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-アセトアミドフェニルビグアニドとメタクリル酸メチルとの反応により2-アミノ-4-(p-アセトアミドアニリノ) -6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン [3] を合成した. [3] はジモルフィズムを示し, 安定結晶 (α-型) は211℃で融解するが, 不安定結晶 (β-型) は183.5℃で融解後α型へ再結晶化する. 次に [3] の塩酸加水分解により2-アミノ-4-(p-アミノアニリノ) -6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン [1] を得た. アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として [1], [3] とスチレン (M1) との共重合を行い, [1], [3] の共重合パラメーターとしてそれぞれ次の値を得た. [1] (M2) ではr1=0.46, r2=0.50, Q=0.82, e=0.41, [3] ではr1=0.40, r1=0.52, Q=0.92, e=0.45.
  • 大石 勉, 木村 規
    1976 年 33 巻 11 号 p. 685-691
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N-n-ヘキシル-マレイミド (I), N-シクロヘキシル-マレイミド (II), N-ベンジル-マレイミド (III) の単独重合, 共重合をアゾビスイソブチロニトリル (IV) を開始剤としてテトラヒドロフラン中, 60℃で行った. 単独重合の初速度 (Rp) はRp=k [I] 2.5 [IV] 0.80, Rp=>k [II] 2.8 [IV] 0.80, Rp=>k [III] 2.7 [IV] 0.54となった. kは速度定数である. 全重合の活性化エネルギー (E), 頻度係数 (A) はE=22.8kcal/mol (I), 22.2kcal/mol (II), 24.1kcal/mol (III), A=9.5×1011 (I), 6.4×1011 (II), 6.6×1012 (III) となった. またN-置換マレイミドとメタクリル酸メチル (V) との共重合におけるモノマー反応性比r1, r2およびQ, e値を次のように決定した. I (M1) -V (M2) 系でr1=0.17, r2=2.02, Q1=0.56, e1=1.43, II (M1) -V (M2) 系でr1=0.13, r2=2.29, Q1=0.50, e1=1.50, III (M1) -V (M2) 系でr1=0.14, r2=1.54, Q1=0.79, e1=1.63となった.
  • 緒方 直哉, 田中 穂積, 斎藤 容一
    1976 年 33 巻 11 号 p. 693-695
    発行日: 1976/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2,6-ジメチルフェノールと炭酸ガスによるKolbe-Schmidt反応により, 3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ安息香酸を得た. このヒドロキシ安息香酸の無水トリフルオロ酢酸中での直接溶液重縮合ならびにアセチル化合物のbulk重合を行い, 比較的溶解性の良いポリステルが得られた. また他のm-, p-ヒドロキシ安息香酸との共重縮合ならびに炭酸エチレン (エチレンカーボネート) を用いた重縮合反応によりポリエステルエーテルを得た. ポリマーはIRスペクトル, 元素分析にて確認した.
feedback
Top