高分子論文集
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35 巻, 2 号
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  • 結城 康夫, 早川 洋司, 中谷 充成
    1978 年 35 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジンモノマーとしてN1, N5-ビスアリールビグアニドと塩化メタクロイルとの反応により7種の2, 4-ビス (アリールアミノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジンを合成した. 次にアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として, ジメチルスルホキシド溶液重合を行い相当するホモポリマーを得た. またスチレン (M1) との共重合を行い, 共重合パラメーター (r1, r2, Q, e) を求めた. モノマー反応性比の逆数 (1/r1) はHammettの置換基定数 (σ) とρ=+0.14の関係が認められた.
  • 後藤 弘太郎, 河合 鱗次郎
    1978 年 35 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    シリカ粉を充てんしたエポキシ樹脂の硬化過程での粘度を平行板型プラストメーターで測定した. 試料はシリカ粉を充てんしたエピコート828および834に, 有機酸無水物およびイミダゾールを硬化剤としたものである. 硬化に伴う粘度の増加を次のような実験式に表した. すなわち, 硬化前の粘度をη0とし, ある程度硬化した時の粘度をηtとするとln (ηt0) =kln (1/1-x) ここでx=t/τ, τ; ゲル化時間, この式はゲル化時間の1/2ぐらいまでの範囲で適用される. 定数kは硬化剤の種類, フィラーの充てん割合によって異なった値となるが, この実験ではおよそ2-4の範囲の値を得た.
  • 奈倉 正宣, 漆谷 光幸, 篠原 晴雄, 石川 博
    1978 年 35 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリアミノ酸の微細構造と分子運動との関係を, 天然ポリアミノ酸でβ型結晶を有する柞蚕精練絹繊維とそのモデル物質としてのpoly (L-alanine) β型繊維について検討し次の結果を得た. (1) 柞蚕絹繊維のモデル物質としてのpoly (L-alanine) β型繊維の結晶内分子運動は, まず160℃付近より分子シート内の分子間水素結合距離の増加率が増すような運動が起こり, 次いで190℃付近より分子シート全体がゆらいで分子シート間距離の増加率が増すような運動が考えられる. (2) 柞蚕精練絹繊維の結晶内分子運動はpoly (L-alanine) β型繊維と同様であり, かつ, 家蚕精練絹繊維とも類似している. (3) 柞蚕精練絹繊維中にはわずかに配向した無定形鎖が存在し, 応カーひずみ曲線にはその低い配向度の無定形鎖が引き伸ばされることによる平坦部が出現する.
  • 坪田 実, 高平 厚, 植木 憲二
    1978 年 35 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エマルション塗膜の顔料効果に知見を得る目的で, 酢酸ビニルホモポリマー, アクリルコポリマーエマルション塗料について, 塗膜の物性に及ぼすルチル形チタン白 (R-TiO2), カーボンブラヅク (CB) の顔料容積濃度 (PVC) の影響を検討した. 塗膜の応力-ひずみ性, 動的粘弾性の温度依存性について調べた. 実験結果は次のようである. (1) エマルション塗膜における顔料効果も本質的には溶液形のそれと同一と考えられる. (2) PVC増大に伴い, エマルション塗膜の弾性率・抗張力は増大し, 破壌伸びは低下した. (3) 塗膜のTgは顔料の種類ならびにPVCにかかわらず変化しなかった. (4) PVC増大に伴う塗膜の動的弾性率の上昇割合はガラス領域におけるよりゴム領域における方が大きかった. (5) 顔料-ビヒクル間相互作用はCB系塗膜の方がR-TiO2系のそれより大きかった. (6) 以上の実験結果を顔料補強理論と対比して考察した.
  • 沢村 茂, 佐藤 寿弥, 田中 康之
    1978 年 35 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々のアニオン触媒を用いてアリルおよびビニルメタクリレートを重合させると, 側鎖にアリル基またはビニル基を持つ各種タクチシチーの線状ポリマーが得られた. 過酸化ベンゾイルを用いて側鎖に残るアリル基またはビニル基の二重結合をラジカル重合させ, 側鎖を80%以上反応させることができた. ポリマーの反応性は原料ポリマーのタクチシチーによらず, 溶媒の種類により著しく影響されることが明らかになった. 1H-NMRとIRスペクトルにより後重合生成物は, 主としてはしご状構造をとることが推定された. 分子量は反応に伴い低下した. 後重合の際の粘度の低下は分子量から予想される値より大きく, はしご状構造をとることによる分子構造の変化を示した.
  • 結城 康夫, 大谷 三夫, 湯川 邦夫, 秋田 敏郎
    1978 年 35 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    m-アミノフェニルビグアニドとメタクリル酸メチルとの反応により2-アミノ-4- (m-アミノアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジン [1] を合成した. また [1] は2-アミノ-4- (m-ニトロアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジンを鉄一硫酸第一鉄系で還元することによっても合成された. [1] と塩化ベンゾイル, フェニルイソシアナート, フェニルイソチオシアナートとの反応により, それぞれ相当するイソプロベニル-1, 3, 5-トリアジンを得た. これらのモノマー (M2) とスチレン (M1) との共重合を行い, 共重合パラメーター (r1, r2, Q, e) を求めた. このうち [1] については既報のモノマーとともに, 1/r1についてのHammettプロットを行い, ρ=+0.11の値を得た.
  • 川瀬 進, 土居 秀章, 加倉井 敏夫
    1978 年 35 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    超音波照射によるポリマーの機械的切断の切断型式を明らかにするため, アニオン重合で調製したポリ (α-メチルスチレン) (MW=1.64×106, 4.45×105, 2.93×105) に対する切断初期の切断速度定数のポリマー主鎖上の分布型を調べた. 切断前後のポリマーの分子量分布曲線から切断により生成したポリマー分子数を時間tの関数として求め, 切断速度定数Kjp (p-mer群からj-mer群の生成する際の切断速度定数) を算出した. その結果, Kjpはポリマー濃度が低い場合 (0.02g/100ml) や混合溶媒 (トルエン-シクロヘキサン, トルエン-MEK) の場合多少増加するが, Kjp値に影響を及ぼす支配的因子は重合度であり, Kjpは重合度が大きい方が大きい. 一般に, Kjpの主鎖上の分布型式は重合度が大きい場合はポリマー鎖の中心に近づくにつれてランダム型になり, 重合度が小さい場合は, 中心の方が大きくなるセンター型となる.
  • 半田 隆, 吉澤 秀二, 鈴木 昌明, 金元 哲夫
    1978 年 35 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    木材の木理角を変えた動的粘弾性係数 (E′, E″) の温度変化から, 高温領域の255, 230, 190, 125℃付近に4種類のE″のピーク (a, b, c, d) と低温領域の-50, -120℃付近に木材構成成分の局所運動とメチロール基の回転配向に対応するピークを分離した. (d) は木材の伸びの変曲点, 吸熱の谷に対応し, ポリスチレンの注入により著しく誘起され, 木材実質部界面の変化による吸収, (c) は非晶化木材, 電子線照射木材, 電子線重合によるWPCで増幅され, 非晶領域のセルロース, ヘミセルロースの吸収, (b) はE′の急激な低下を伴い, セルロース結晶の面間隔の増大が詔められるが非晶化は起こらず, 重量減少のない解重合により運動しやすくなった部分の吸収, (a) は重量減少を伴う酸化発熱分解や面間隔の急激な増加で示された非晶化に対応して, 繊維方向の伸びの増加にもかかわらず急激な接線方向の収縮と対応した, フィブリル傾角の減少するような構造転移の吸収と各々解釈された.
  • 三輪 実, 大沢 直志, 小原 庸博, 中山 晃
    1978 年 35 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    充てん粒子としてガラスビーズ, マトリックスとしてエポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂を用いて粒子充てん高分子複合材料を作成し, そのヤング率の粒子サイズ依存性を検討した結果, 次のことが明らかとなった. いずれの系の複合材料においても, そのヤング率は粒子サイズの減少につれて増大し, 明らかに粒子サイズ依存性が認められた. その粒子サイズ依存性の傾向は, 不動層の存在を考慮した体積分率修正係数ψを導入し, これをKernerの式に適用して表すことができた. ψは粒子サイズの増大につれてほぼ直線的に減少し, 次式で表される. ψ=ψ0Rここで, Rは平均粒子半径, ψ0, βはマトリックスと充てん材の組合せと界面の接着状態によって決まると考えられる定数である.
  • 小菅 詔雄
    1978 年 35 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリルーメラミン樹脂塗膜の高温水中における劣化を応力緩和測定により追求した, 塗膜の作製方法を電着塗装や有機溶剤による塗装に分け, 各々を140-200℃で硬化したものを使用した. その結果をまとめると次のようになる. (1) 緩和曲線は2ないし3個の大きさの異なる緩和時間を有する項の和として表現でき, 最大緩和時間 (τ2) は高温水中における塗膜中の網目鎖の切断反応を反映している. (2) 電着塗膜においては硬化温度の上昇に伴いτ2は増大し, 同時に網目鎖密度n0も増加するが, 溶剤型塗膜の緩和測定から求めたτ2に比べて値が小さく, 耐水性は劣ることが予想される. (3) 硬化触媒のp-トルエンスルホン酸を添加した系において硬化温度の上昇に伴いτ2n0は平行して増加しない. これはメラミンの自己縮合によるミクロゲル構造の生成が他の系よりも促進されるためであると考えられる.
  • 池野 忍, 横山 正明, 三川 礼
    1978 年 35 巻 2 号 p. 137-138
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高誘電率で低損失の高分子材料を得る試みにスチレン-n-ブチルビニルピリジニウムTCNQ (テトラシアノキノジメタン) 共重合体を絶縁性ポリマーにブレンドした. ポリスチレンとのブレンド系は比抵抗値が高く (1016Ω・cm) 高分子TCNQ塩が45wt%の系の誘電率は11-14であり, tanδは110Hz以下では2%以下であった. ポリスルホンまたはポリピニルピリジン中へのブレンド系はポリスチレンの場合に比べて誘電率は15-70と高くなるがtanδが10-50%と大きく比抵抗値が1010-1011Ω・cmと小さくなった.
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