木材の木理角を変えた動的粘弾性係数 (
E′,
E″) の温度変化から, 高温領域の255, 230, 190, 125℃付近に4種類の
E″のピーク (a, b, c, d) と低温領域の-50, -120℃付近に木材構成成分の局所運動とメチロール基の回転配向に対応するピークを分離した. (d) は木材の伸びの変曲点, 吸熱の谷に対応し, ポリスチレンの注入により著しく誘起され, 木材実質部界面の変化による吸収, (c) は非晶化木材, 電子線照射木材, 電子線重合によるWPCで増幅され, 非晶領域のセルロース, ヘミセルロースの吸収, (b) は
E′の急激な低下を伴い, セルロース結晶の面間隔の増大が詔められるが非晶化は起こらず, 重量減少のない解重合により運動しやすくなった部分の吸収, (a) は重量減少を伴う酸化発熱分解や面間隔の急激な増加で示された非晶化に対応して, 繊維方向の伸びの増加にもかかわらず急激な接線方向の収縮と対応した, フィブリル傾角の減少するような構造転移の吸収と各々解釈された.
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