メルカプチドやその類縁系によるポリ塩化ビニル (PVC) のチオエーテル化反応を検討し, つぎの結果を得た。
(1) RSNaを用いるチオエーテル化反応は, ジメチルホルムアミド (DMF) 中, 室温でよく進行し, PhSNa (当量) の場合反応率は80%に達する。
(2) RSH+無機塩系 (DMF, 50℃) ではNaCNが最もすぐれるが, RSHが
p-チオクレゾール (当量) の場合, K
2CO
3でも (DMF, 60℃) 90%の反応率に達し, C=Cの生成も少ない。
(3) アリルオレカプタンの場合, その前駆体として扱いやすいチオウロニウム塩とNaOH (DMF, 40℃) を用いても, (1) の場合とほぼ同程度 (~50%) のチオエーテル化が可能である。
(4) PVCがまったく不溶の水中での反応でも, PhSNa (当量) と第四級アンモニウム塩型の界面活性剤を用い (80℃), 20%程度までのチオエーテル化が可能である。
(2), (4) について, 簡単に反応機構を論じた。
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