含フッ素高分子は, 耐熱・耐寒性, 耐薬品性, 耐候性などに優れ, 難燃性, 絶縁性, 低摩擦性, 非粘着性といった特性を有する機能性に富む材料である. 本報では, 特異的な物性をもつものの溶媒への溶解性が低く, しかも多様な固体構造を有するために構造解析が困難とされてきたパーフルオロ高分子に着目し,
19F Magic Angle Spinning (MAS) NMR法を用いた分子構造分析や固体構造解析に焦点をあてて概説した. まず, 固体
19F MAS NMRの測定原理とMASの効果について述べ, 次いでこの手法を, 結晶性のポリテトラフルオロエチレン (PTFE), テトラフルオロエチレン (TFE) とヘキサフルオロプロピレン (HFP) のランダム共重合体 (FEP), TFEとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体 (PFA), 非晶性のパーフルオロポリマー, そしてパーフルオロエラストマーおよびイオノマーに適用して得られた分子構造と分子運動性に関する知見を紹介するとともに, パーフルオロ高分子のキャラクタリゼーション手法としての
19F MAS NMRの有効性についてまとめた.
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